こうわをきいて

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、和太鼓のリズムのように心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “こうわをきいて” の続きを読む

献立 二食

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民話や民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “献立 二食” の続きを読む

日記

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “日記” の続きを読む

ほうどりかんそう :盆踊り感想

何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “ほうどりかんそう :盆踊り感想” の続きを読む

新しく入って

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “新しく入って” の続きを読む

少年院で学んだこと

       
 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。ワードプロセッサーいわゆる「ワープロ」の全盛時代でしたが、それらの操作でものをいうのはIQよりもセンスだなあ、としばしば感じ入ったものでした。少年の表出の一例を挙げてみます。ストトンと打ち込んだものだからこそ、いつまでも新鮮なのでしょうか。 “少年院で学んだこと” の続きを読む

戻ってきた失せ物 Ⅰ 双眼鏡

 私は落とし物・忘れ物をよくやる。小学5年の頃、カバンを忘れて登校してしまい、3度目には廊下に立たされてしまったことがある。カバンを忘れるほどに何に気を取られていたのか、それも忘れてしまっている。

 大学1年の夏に、「木曾駒ケ岳国有林高山植物監視員」というアルバイトをしたことがある。
 営林署から貸与された「双眼鏡」を登山道の2合目の水場で首から外したまま置き忘れて、頂上に着いたとたんに気が付いた。今はそこそこのものをホームセンターなどで安く買えるが、当時はそんなではなかった。誰よりも早くその場に行き着こうと、頂上から一気に駆け下りて回収することができた。高山植物監視員を監視している人は居なかったから、こんな無駄をしてもアルバイト料を削られることはなかったが、みっともない話である。
 だが、「あったぁ!」という瞬間は何ともいえない。岩の上に夜露を少しのせてかしこまっている様子が、ただの機器ではない互いの因縁を生みだすようでさえある。

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戻ってきた失せ物 Ⅱ 剪定鋏

 少年のための矯正施設に居たころ。ある初冬、私は女子寮の中庭にある梅林の剪定作業を独りでしようとした。「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と昔から言われているように、梅は素人にも扱いやすい木である。枝が密に伸びていてけっこうに硬いから、私物の大型の剪定鋏を使っていた。ずっしりと重いその剪定鋏は園芸用の刃物では名の通った泉州堺のメーカーで作られたもので、切れ味、握り具合、戻り、などのバランスの良いすぐれものだった。
 二日目の作業の最中、握りの間に梅の枝を引っ掛けたまま捻じってしまったとみえて、ふいにスプリングが外れ、弧を描いて、はるかな草むらの中に跳び込んで行ってしまった。梯子に乗って、腕を伸ばした高さからである。

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戻ってきた失せ物 Ⅲ カバン

 私はカバンを何回か無くしたことがある。印象的なものでも2回。
 1回目は、新宿駅西口に「○○通り」といった横丁飲食街が全盛であったころ、つまり何十年も前のことだった。
 医局に入ってから3年目に、先輩から「司法精神鑑定」を手伝ってくれないかと頼まれ、そのための資料集めや下書きなどに集中したことがある。
 そうした書類を詰め込んだカバンを、深夜、新宿駅西口で夜食を掻きこんでいるときに、見事に「置き引き」されてしまった。届け出を受け付けた警官がカバンの内容を聞くと「これは面倒なことになるかもしれませんね」と言ったから、私の不安はいよいよ高まった。極め付きのプライバシーを手元から離してしまったのである。怖くて、2・3日は先輩と顔を合わすのを避け続けていた。

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戻ってきた失せ物 Ⅳ 奇妙な再会

 その他にも、いろいろな事情で私の手元から離れてしまい、やがて再び手にすることができたものは、思い出せるだけでも少なくない。土産物、電子手帳、財布、ナタ、ノコギリ、カマ、カナヅチやドライバーなどの道具類、衣類とそのポケットに入っていたもの、帽子、旅行カバン、小さなものでは時計、もっと小さなものでは時計に付いているバネ棒まで・・・

 ちょっと信じられないようないきさつで再会を果たせたものがあり、そうした例の一つに「カメラのレンズキャップ」がある。レンズの表面を守るために装着する黒色のプラスチックの軽いフタのことであるが、これはいくらも経たないうちに紛失してしまうだろうと予想されたので、あらかじめ、太めの麻の紐をつけてカメラの本体につないで置いた。

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