さまざまな説話で飾られる 「オシドリ」

「オシドリ」と聞けば、すぐに「おしどり夫婦」と頭が反応します。
「いとおしい」つまり「いと愛しい」が鳥とくっついて「いと愛し鳥」、やがて「オシドリ」と呼ばれるように。由来からして特別なのです。

オスはド派手 メスはひとまわり小ぶりで地味

カモの仲間で、オスが50㎝、メスが40㎝ほど。オスはカラフルに飾り立ててクチバシまでが赤。メスはぐんと地味な装いです。 “さまざまな説話で飾られる 「オシドリ」” の続きを読む

仁義ある闘い 「ヒヨドリ」Ⅲ

ドヤ顔のヒヨドリ

自動車で、目がつり上がって歯を剥きだしているようなフロントデザインを「ドヤ顔」と言うそうで、「どいたどいた」という気分を車に託すのがこのところのトレンドであるようです。
野鳥についていえば、とりあえず「ヒヨドリ」がドヤ顔といえそうです。「なるほど、鳥類は恐竜の子孫なのだ」と思い出させるような押し出しと、それを強調している灰色だけの衣装を選んでいます。時にカスリ模様が浮いて見えることがあって、ななか美しいのですが・・・。

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黄金に輝く崖

夏の早朝

朝まずめの中から切り立った崖が銀色に浮かび始め、輝きを増すにつれて黄金に変わり、迫力を増し、手前の川辺に大型の水鳥たちが集まって来たりして彩を添えると、しばらく幻想の世界に浸ることができます。ちょっと、ミステリアスな話ですが、この謎を解いてみようと思います。 “黄金に輝く崖” の続きを読む

湖とダム 海

湖とダムは北方が似合う

地球上に、湖というものは無数にあるのだろうと思います。
シベリア上空をジェット旅客機で飛んで、黒い湖が勾玉が連なったように延々と続いている光景を見た人はおおぜい居るはずです。北極圏だけでもそんなふうです。

阿寒湖、摩周湖、支笏湖、十和田湖、バイカル湖、オンタリオ湖、ネス湖・・・その深さや透明度や特有の生き物などのためもあって、それぞれに伝説とロマンに溢れています。
黒部ダム、佐久間ダム、アスワンハイダム・・・ダムもこのクラスになると、建設の途中から伝説を生んでいます。
水が堆積すると、私たちに語り掛ける不思議な力を持つようになるのでしょう。 “湖とダム 海” の続きを読む

ルーペ

 
六歳のときのことです。
夏のある日、父の引き出しを掻き回していると、不思議なものが見つかりました。ぽってり丸く透きとおったもので、上にかざすと、どんなものでも大きく見えるのです。

夢中になって、あたりを覗いてまわりました。新聞の写真がおそろしくツブツブなのに驚き、手の指におかしな渦があって、よく見ると渦の山にそって可愛らしい水玉がならんで光っているのに驚き、障子紙がひどく毛羽立っているのに感心し、死んでいる蜘蛛の頭を覗いたときにはあやうく目を回すところでした。
一段落してみると、不思議でたまらなくなります。ガラスらしいものがふっくらしているだけで、どうしてこんなことが起こるのだろう。

その日の夕飯の最中、コップの水を飲もうとした瞬間、すばらしいことがひらめきました。コップの向こう側に透けて見える指が、これが自分のものとは思えないほどに歪んで大きく見えるのに気付いたのです。
・・・さては、あの手品の道具の中にも、水が入っているにちがいない!あれだけの薄さで、あれだけ大きくして見せるのだから、ただの水ではなく、とろりとした特別上等な水が詰め込まれているのだ・・・。 “ルーペ” の続きを読む