ぴょんと潜って ぴょんと出る 「カイツブリ」

 たとえば、「昭和記念公園」には「水鳥の池」と呼ばれているバードサンクチュアリがあり、ことに冬にはカモの類が多く見られます。カモたちはグループやペアを作って行動するのが普通で、小春日和の昼などには、いっせいに羽の中に首を入れて、陽だまりに並んでいたりしているものです。
 そうした中に、1羽だけでいるので却って目立つのですが、小さくて丸っこいシルエットが、ひょいと消え、ぴよんと顔を出すことを繰り返しているとしたら、それはおそらく「カイツブリ」でありましょう。挨拶してもらいます。

 忙しいけど 元気してまーす!

 しきりに潜りを繰り返すので、表面の羽根が水滴だらけですが、綿毛のような細かい羽毛が厚く用意されていて暖かそうです。カイツブリの仲間のうちでは一番小さく、チャボほどの可愛らしい水鳥です。

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盆踊と花火

 ・・・日本の夏は、雨が降っているか、蒸し暑いか、そのどちらかである・・・
 ある外国人がこんなふうに書いているのを読んだことがある。「梅雨明け十日」というのを知らないのかな、とそのときは思った。

 その夏、外国人に言われたとおりになってしまった。びしょびしょ雨が降り続き、ドウダンツツジなりウメの徒長枝を整えようとしても雨だれが飛び散るありさまで、たちまち全身が濡れそぼり、そして蒸れる。梅雨が居座ってしまった感じで気温ばかりが上がり、不快だった。
 さすがに、八月に入るとそんな気候も持ち直したように見えたので、恒例になっている盆踊りをやろうとした。少年院の中庭が盆踊会場である。 “盆踊と花火” の続きを読む

カモネギどころか・・・「カルガモ」

 もともと「カモ」という水鳥は、ヒトの近くに居ながらおっとりしたところがあって、「デコイ」などのオトリに容易に騙されやすくもあり、捕まえやすい獲物だったのでしょうか・・・、「カモがネギしょって来た」「あいつをカモッてやる」などと使われるようになるほど、私たちから軽く見られているところがあります。
 そうでしょうか? けっこう貫禄のあるところで「カルガモ」に挨拶してもらいます。 “カモネギどころか・・・「カルガモ」” の続きを読む

群れて来る鳥・・・「ムクドリ」

 たしかに「ムクドリ」はよく群れます。「群れて来る鳥」が短略されて「ムクドリ」となったとする説が有力なようで、昔から「リャーリャー ギャーギャー ギュルギュル」と騒ぐ人(?)たちのことを「椋鳥」と呼んでうとましがる傾向があります。

 おれ いま群れてない 嫌うの

 クチバシから頭の線がシャープで、頬に銀色の斑が目立つせいか、どことなく金属的な印象を受けます。身近な鳥では、すこし大きめな「ヒヨドリ」と並んで、「たしかに鳥類は恐竜の子孫なんだな」と思わせる野鳥の筆頭でありましょう。ムクドリは、地面を歩くときには脚を前後させて、ノッシノッシとお尻を振るようにして歩くからなおさらです。 “群れて来る鳥・・・「ムクドリ」” の続きを読む

ホバリングできるか  「ヒヨドリ」2

 「ヒヨドリ」は前にも紹介したとおり、「ヒーヨ ヒーヨ」と鳴く中型の野鳥で、日本ではありふれておりますが、バードウォッチャーというものにはこだわりの強い人が多いとみえて、わざわざ外国から見に来ることがあるということです。
 全体に灰色に印象されますが、クローズアップしてみると、まるでシジミのように地味ながら美しい羽毛を持っています。全体にシャープで野性的。それにふさわしく、優れた飛翔力を見せます。

 このぐらいのいじわる なんでもないよ

 高みの枝からぐらりと地面に向ったかと思うと、すれすれで水平飛行に移り、翼を一閃二尖、それで高さをかせいだかと思うと、ぴたりと体側に畳み込み、身体をまっすぐにして弾丸のように距離をかせぎます。それを繰り返しますから、波状の飛跡を残します。 “ホバリングできるか  「ヒヨドリ」2” の続きを読む

カッコウと少年

 一羽のカッコウのヒナが巣立ちをしました。ゆっくりと羽ばたくだけで、ワシやタカに似たシルエットがあたりの小鳥たちをすくませることになりました。お父さんとお母さんが待っていた木立まで飛んで、ふわりと枝に降り立って胸を張りました。
 誇らしく、幸せでした。けれどもそれは、白地にグレイの横縞が入った胴を立てた父親から、次のように告げられるまでの、ほんのわずかな間だけのことでした。

  ・・・お前はモズの巣の中に産み落とされた。卵からかえると、自分の背中を使ってモズのヒナどもを次々と外に放り出し、モズの親たちが運んでくるエサも独り占めにした。この父と母にではなく、まんまとモズの夫婦に育ててもらったわけだ。あのしたり顔のモズの鼻をまたあかしてやったわ。われわれ一族がさずけられている生まれながらの知恵とはいえ、お前はよくやった・・・。

 幼いカッコウの全身がいきなりぞっと毛羽立ち、大きくふるえだしました。そういえば、はるか闇の奥から這い上がってくる幻の光景があったのです。 “カッコウと少年” の続きを読む

墨絵のような端正 「ハクセキレイ」

 日本には「ハクセキレイ」「セグロセキレイ」「キセキレイ」の3種のセキレイがいます。どれもムクドリほどの大きさの胴に長い尾をつけていて、20㎝を超えるほどの大きさですから、中型の野鳥といえるのでしょうが、どれも墨絵を思わせるほどに彩りがシンプルであるためか、それほど大きいとは印象されません。まず「ハクセキレイ」に登場してもらいます。

 ハクセキレイです 目を通る黒い線が目印ですよ

 そして3種とも、調子を取るように短く鳴きながら軽々と波状に飛び、降り立ってからも、腰と長い尾をリズミカルに上下させています。3種を見分けるために要点を図にまとめてみましょう。 “墨絵のような端正 「ハクセキレイ」” の続きを読む

鞍馬天狗か黒頭巾 「セグロセキレイ」

「セグロセキレイ」は、ハクセキレイと同じように黒と白だけで装っています。その黒と白の案配がセグロセキレイでは一段と整理されており、古くは鞍馬天狗か黒頭巾、新しくは黒いメダシボウといったものを思わせるほどです。

 個での縄張り争いでは譲らぬよ

 日本に見られるセキレイの特徴をまとめた図を、ここでも挙げておきます。

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清流の麗人 「キセキレイ」

 「黒と白とで装うのは男性の特権でしてよ。あなた、素敵ね」と言われた男がいます。大英帝国が輝き渡っていたころ、一人の青年が艱難辛苦に耐え、粉骨砕身を続けて、海軍士官となり、艦長になり、艦隊司令官になり、貴族に列せられ、ついには伯爵令嬢と結ばれるという冒険物語の中の話です。
 言われたのは、軍装整えたサー・ホーンブロア艦長。言ったのはバーバラ令夫人。これを鳥に配すれば、艦長が「セグロセキレイ」、令夫人が「キセキレイ」ということになります。

 私も素敵じゃなくてはね

 ここでも、日本で見られる三種のセキレイの特徴をまとめた図を挙げておきます。 “清流の麗人 「キセキレイ」” の続きを読む

運転免許証物語

 自動車の運転免許を取得しようとしたら、普通の人はいわゆる「教習所」のやっかいになる。ちかごろは、「ドライビングスクール」などと名付けられていて、「スタンダードコース」「ウイークデイコース」「クイックコース」「トップコース」「学生プラン」「合宿プラン」「ペーパードライバーコース」などと分けられ、「料金定額制」「安心パック」などと、広いニーズに応えられるように工夫されている。
 さて、一人の若い娘が、生活のリズムからどうしても通常の「教習所」に通えないので、都合の付いた時に個人レッスンを重ねて、飛び込みで実地試験をパスすることを目論んだ。それも警視庁の「府中運転免許試験場」に殴りこむのだという。
 周囲はあやうんだ。特定のスクールに所属して、普段練習しているコースで受験することには見過ごせないメリットがある。車種とコースの配置に慣れている。教習所では「講習修了試験」と呼ぶらしいが、受験者が複数いるときには、同一のコースで為されることが多いから、順番がさがるにつれ、「ああ、あそこが要注意。あれがポイントだ」としだいに伝えられてくる。料金定額を一応うたってあるので、生徒たちがほどほどのところで実地試験をパスできるように、教習所側も有形無形の努力をする。 “運転免許証物語” の続きを読む