宿命のライバル 「カラス」と「トビ」

カラス登場

 「カラス」の賢さとしぶとさは、しばしば不気味がられるほどです。
生ごみをカラスに荒らされないようにする唯一の方法は、「おはようございます。ご機嫌いかがですか」とか「こんにちは。仲良くしましょうね」と、にこやかに挨拶してやることだそうです。すると、お隣の生ごみはさんざんに荒らされても、うちの生ごみは無事なのだそうです。
 筆者も、こんな話を聞いたことがあります。

 日本の商社で働いていた或る英国人の青年が、マンションの近くでカラスが生ごみを散らかしているのを見たので、コウモリ傘の先を向けて「Bang !Bang!」と警告しました。そうしたことを数回繰り返した或る朝、部屋のバルコニーの端に1羽のカラスが止まってしきりにこちらを窺っている様子です。人差し指を伸ばして「Bang! Bang!」と警告しました。すると次の日には3羽、次には7羽、10羽と増えてゆきます。ついには隣のマンションの屋根にまでズラリと並ばれることになり、ある日、出社しようと坂道を下っていると後ろから帽子を跳ね飛ばされたそうです。あれやこれやで、日本のカラスは気味が悪い(?)と言って、青年はシンガポール支社への転勤を願い出たそうです。 “宿命のライバル 「カラス」と「トビ」” の続きを読む

のっそり 「ノスリ」

寒風吹き抜ける枝の上で

 「ノスリ」はトビよりも一回り小さい猛禽類です。猛禽類ですが少し変わったところがあり、他の鳥を狙うよりもネズミやヘビやモグラの方を獲ることが多いそうです。
 鳥を追うことにはあまり積極的でないので、昔の鷹匠たちには「役立たず」とさげずまれていたようですが、これはヒトの都合による一方的な評価であって、ノスリには関係のないことです。
 ネズミなどを獲るのは名人で、長時間ひっそりとチャンスを待っていて、「野をする」ように急襲することから「のすり」と呼ばれるようになったという説があります。また空中でホバリングしていて逆落としに襲うことも有名です。 “のっそり 「ノスリ」” の続きを読む

こ気味いい 「コサギ」

白の明快さ

 日本にいるシラサギを大きさの順に並べると、ダイサギ>チュウサギ>コサギ>アマサギということになります。ああそうですか、といった名前の付け方ですね。
ダイサギ、アオサギ、コサギ、それにカワウに集まってもらいます。大きさの案配がだいたい分かると思います。
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さえずらないヒバリ 「タヒバリ」

さえずらない ヒバリ

 冬の野原、ことに河川敷を歩いていると、10メートルほど先の枯れた草むらから褐色のものが飛び出して、まっしぐらに低い高度で対岸に向かうか、行方の草むらの中に突っ込んで見えなくなるか・・・しばしば出くわす光景です。木の枝に止まるということをせずに、褐色のものが枯草に紛れ込むのですから、正体をしげしげと見られるということはあまりないと思います。向こうさんは草のあいだから何時だってこちらをお見通しというわけですから、ヒトとコトリの大きさの違いからとはいえ、どうも分の悪いことです。
 ある日、3〜4メートル先の藪の中がチラリと動いたような気がして、・・・と、向こうさんは何かによほど気を取られていたのでしょう。居ました。両方とも「おっ 何?」という具合でした。 “さえずらないヒバリ 「タヒバリ」” の続きを読む

名の由来を知ったら もう忘れない 「キンクロハジロ」

金・黒・羽白 

「キンクロハジロ」は冬によく見られるカモの仲間です。はじめてキンクロハジロと名前を教えられたときは「え、なにそれ」と聞き直してみたいほどに奇妙な感じを受けます。けれど、その由来はなんということはなく、金色の目、黒い体、白の目立つ羽、ということから「金・黒・羽白(きんくろはじろ)」なのです。もう忘れようもありません。たしかに、翼を広げると白が目立ちます。オスに登場してもらいます。

 そして、ただのカモではありません。水の中に潜って採餌します。普通は2m、15sec前後ですが、10mの深さに潜水できるという観察があるようです。カワウのように魚を捕まえるほどのスピードはありませんが、水底に潜むシジミなどの二枚貝は大好物のようで、殻ごとバリバリと食べてしまうというカモばなれしたところがあります。頑丈な嘴をしてますね。次はメスです。

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トビよ

 

トビよ 

 

  トビよ
  お前の脚に絡んだものを

  太陽にとどけてくれ
  
  どこまでも飛んで
  どこまでも飛んで
  翔ぶほど 輝きを増す中へ
  さらに翔んで

  

 

私のアオダイショウ


木曾谷はV字型に切り込まれているので、谷底の川に沿ってならんでいる民家は、どれも斜めの地盤を削るように整地して作られている。私の家も、階段状に組み上げられた幾つかの土蔵の上に乗ったものだった。

 その土蔵の中に独りで入って行くなどという振る舞いは、幼い私にはおよびもつかないことのひとつだった。暗がりと奥深い棚の奥。すえた臭い。そこらへんが化け物の巣にちがいない。
 そう思い込んで一歩を踏みこめば、端々からもう、こちらをためている化け物どもの目のぬめりや、ひっそりした息づかいがわかる。生暖かい空気がかすかに揺らいでいるようでもある。いつだったか祖母が、「アオダイショウ」の見込みのありそうなのをひとつがい、お百姓に吟味してもらって蔵のなかに放したのを、私はちゃんと憶えていた。 “私のアオダイショウ” の続きを読む

あこがれ 或るツルの渡り

  数年前、フランスの上空8千メートルほどのところを飛行していたジェット旅客機が、突然、左翼のエンジンに異常を発したことがある。パイロットは最寄りの飛行場に緊急着陸を敢行して、あやうく大惨事をまぬがれた。
 トラブルの原因は、一羽のヨーロッパ・コンドルであった。自分も、血と肉と羽毛で捏ね上げられた泥のようなものになってしまったが、ジェットエンジンのタービンの幾枚かを捻じ曲げて、回転をおおきく狂わせてしまったのである。
 高度8千mといえば、酸素濃度は平地の3分の1ほどになり、ヒトにとってはデスゾーンで、脳神経細胞はどんどん死滅してゆく。鳥類は肺臓の前後に気嚢という器官を備えており、吸うときも吐くときも、肺の中の空気の流れを一定の方向に保つことができる。死腔というものが無い。呼吸システムは哺乳類よりも明らかに勝っている。
 それにしても、コンドルが何のために途方もない高空を飛翔していたのか、理由は誰にも分からない。 “あこがれ 或るツルの渡り” の続きを読む

銀の星

 カラスのお母さんが三羽の赤ちゃんを産みました。みんな男の子だったので、一郎、二郎、三郎と名前をつけました。
 一郎と二郎は、お母さんたちが餌を運んでくると、黄色いクチバシを精一杯に開いて首を突き出し、自分がどんなに腹がすいているかを訴えました。三郎だけは、二人の兄さんたちのうしろに隠れるようにして、ひっそりと口を半開きにしているだけでした。これでは食べ物をもらえません。
 一郎と二郎は日に日に重くなり、つやつやと光る黒い羽根がだんだんに生えそろってきました。三郎は羽根が生えるどころか、がりがりに痩せ細り、生まれてきたばかりのトカゲの子に大きなクチバシを付けたような格好のまま、弱ってゆくばかりでした。ただどうしたわけか、頭のてっぺんに銀色の産毛がまとまって生えているのが目立ちました。 “銀の星” の続きを読む

低木の下でつつましく・・・ 「アオジ」

 冬。たとえば公園に植えられたサツキの下で、カサリコソリという音がします。気をそそられて覗きこみますと、スズメほどの大きさの小鳥が、動きを止めてこちらを見上げていることがあります。シャイな小鳥で、向こうから人前に姿を見せるということは、まずありません。
 といって、ヒトを見るなり間髪を入れずに逃げるというのでもなく、よく言われるように「たいそう警戒心が強い小鳥だ」とは私としては思いません。
 この機会に挨拶してもらいます。 “低木の下でつつましく・・・ 「アオジ」” の続きを読む