狂気の核

 死を意識したときに生命は輝く。圧倒的な力やそれがもたらした結果を目の当たりにしたとき、ヒトの心はおののくと同時に、恍惚となる傾向があるらしい。そう捉えないと、核開発に執着するヒトの心の構造が分からなくなる。

史上最大のばけもの

核爆弾」の史上最大のものは、1961年に旧ソビエト連邦によって爆発させられた「ツアーリ・ボンバ」とあだ名された水素爆弾で、広島型原子爆弾の3300倍の威力があったという。爆発の空気衝撃波は地球を3周した。放射線による致死域が半径6.6km、爆風による人員殺傷力が半径23km、熱線による致死火傷力が半径58㎞に及んだという代物で、これが東京都心で爆発したとすると、東は千葉県の九十九里浜、南は三浦半島の突端、西は奥多摩、北は茨城県つくば市ほどで囲まれる首都圏が、かつての広島と同じような姿となり、6発ほどでこの国の大多数の人命はもとより、産業も文化も根こそぎに失われてしまうであろう。広島型原爆の19800発である。この上に、いわゆる[死の灰」による被害が加わる。狂気としか言いようがない。 “狂気の核” の続きを読む

私の幻の鳥 「コジュケイ」

 昭和50年(19759)の頃、私は東京都府中市にある少年矯正施設に関係しておりました。東京はアメーバのように近郊へ近郊へと侵食を続けていましたが、矯正施設は塀に囲まれていますからスポットのように小さな自然が残されておりました。
その雑木林と果樹園との間で、これまで見たことのない中型の野鳥に出会ったのです。山国育ちの私が知っている「ヤマドリ」や「キジ」よりも小さく、尾も短く、全体にガッシリした感じの美しい鳥でした。ところが、それからはとんと姿を見せません。「幻の鳥・・・ご存知の方はお知らせください」というあやふやなスケッチ入りの手配書を事務所に張り出したものでしたが
、情報は一つもありませんでした。
何年も何年もたってから、ようやく再会し、「コジュケイ」という鳥だと知れました。・・・挨拶してもらいます。

幻?まさか でも、あまり見られたくないです

背面は銀色がかった下地に赤みを帯びた褐色の斑。前面は、首に銀色のスカーフ、胸から腹は薄いオレンジ色の下地に黒い斑点。なかなかに渋くて美しい鳥です。目も大きく目立ちます。

 大正年間に中国の南部から日本に移入されたものだそうですが、大陸から来たわりには、鳴き声は轟き渡るほどに大きいのに、いたって用心深く、なかなか姿を見せません。「ピック グイ ピック グイ」と鳴くのを日本では「ちょっと 来い
ちょっと 来い」と聞きなしていますが、「お前の方から出てこい」とじれったがる人がいるほどです。
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びっくり 「チョウゲンボウ」

チョウゲンボウ」はハトほどの大きさの猛禽類で、「ハヤブサ科」に属します。猛禽類のうちでは小型ですが、黄色に縁どられたがぐんと大きく、クチバシが短く、地上の獲物を探すときの飛び方もヒラヒラと蝶が舞うように軽げ見え、全体として、何ともいえない愛嬌が感じられます。挨拶してもらいます。

撮るのは良いけど・・・あなた うしろは崖ですよ 

 背面は全体に赤みを帯びた褐色ですが、腹と翼の裏は青みを帯びた褐色の斑点がまだらに散っていて、白っぽく印象されます。空を飛んでいる姿を下から見上げると、いたって目立ちません。 “びっくり 「チョウゲンボウ」” の続きを読む

アメリカはどうして銃の規制ができないのか

 今般のアメリカ大統領が選ばれる経過を通して、米国社会の分断化ということが指摘され続けた。

銃器氾濫の由来

 米国社会の分断は今に始まったことであろうか。そもそもあの国の自然について想っただけでも・・・大草原、砂漠、いくつもの長大な山脈、ハリケーン、トルネード、大寒波、山林火災、バッタの大群の来襲など・・・ヒトを拒んで荒々しいものがある。
そうした自然と闘いつつ、先住民を駆逐しながらヨーロッパの白人たちが押し寄せるように入植したので、早い者勝ち、フロンティア、砦、1500万人に達するとされる奴隷の持ち込みと酷使、独立戦争、南北戦争、ゴールドラッシュなどと、人の為したこともたけだけしい。 “アメリカはどうして銃の規制ができないのか” の続きを読む

いつもシンクロ フルスロットル 「カワウ」

カワウ」は、1970年代には全国で3000羽以下にも減少してしまい、絶滅してしまうのではないか、と危ぶまれたこともあるようです。その後、河川の水質の向上が進むにつれて魚が戻るとともに増加に転じ、現在は15万羽以上、首都圏だけでも1万羽以上は棲息していると推測されています。
多摩川中流の朝、上流に向かう群れが挨拶します。

おはようございます きれいに揃ってるでしょ

 全長80㎝、翼長130㎝。全身ほぼ茶褐色ですが、背中と翼はわずかに赤味を帯びます。黄色をしたクチバシの先が魚を捕えやすく鉤型に曲がっており、水に潜って活動しますから、脚の指の間に水かきが付いています。サギたちには水かきはありません。 “いつもシンクロ フルスロットル 「カワウ」” の続きを読む

私から見た外来野鳥始末記 「ガビチョウ」

 40年ちかくも前のこと、私は東京都多摩地区の南部に戸建ての家を求めました。庭先からすぐ続いて、林というよりも森が大きく広がっていたからでした。野鳥の楽園とも言えそうな首都圏の中のスポットで、ことにバードウィーク前後は、朝をさまざまな小鳥たちのさえずりと一緒に迎えるようで楽しく、この時期には何年間か、録音テープを回したほどです。

開発の波

 10年も経たころ、残念なことに、この森の一帯は大手の開発会社のプロジェクトにかかり、何台もの重機械のうなりとともに、あっという間に「○○台」と呼ばれる新しい街に姿を変えてしまいました。
コンクリートは私の家のすぐ近くまで迫っていましたが、ベルト状の急斜面が開発から逃れましたから、そこに生えている樹木の列が、からくも鳥たちが訪れてくれる場所として残りました。
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「カワウ」「ダイサギ」「アオサギ」たちの協同?

カワウ」たちが集まってさかんに魚を狩っているときに、「ダイサギ」や「アオサギ」が現場の岸近くにぼんやりと立ちながら、ただ眺めているように見えることがあります。これは、「カワウに追い立てられた魚が岸の方に迷いこんでくるのを待っているのだ」というのが、おおかたの観察であるようです。私は、狩場を選んだり、魚を追い込んでゆく段階では、サギたちがもっと積極的に協同しているのではないか、というふうに見ています。

カワウだけの編隊、サギだけの編隊、両方が混じり合った編隊がある

カワウのみ、サギのみ、混成、という順で見てください。

ついで、一緒に狩場を探したり偵察したりする様子がうかがえます。 “「カワウ」「ダイサギ」「アオサギ」たちの協同?” の続きを読む

川をとりしきるかのように 「アオサギ」

アオサギ」は、日本の水辺に繁殖する鳥のうちで最大のもので、体長95㎝近く、翼をひろげると160㎝にも達し、魚ばかりでなく、カエルやヘビ、カニ類、小鳥のヒナなども食べます。「グワァー」と吠えるように川辺を飛翔する灰色の巨体は、川をゆっくりと取り締まっているように見えることがあります。挨拶してもらいましょう。

 そろいぶみといこうか 先頭にいるのが わたしら

青というよりも灰色に印象され、現に英語圏では「灰色サギ(grey heron)」と名付けております。外国人がしばしば「どうしてあれが青(ブルー)なの」と不審がるのだそうです。英語圏でブルーといえば、スカイブルー、コバルトブルー、ネイビーブルー、プルシャンブルー、スモークブルーなどと、青みがはっきりしているものをいうのでしょう。日本では、アオサギを漢字で書くと「蒼鷺」となりますが、「」とは干した草のような青みがかった灰色をいうようで、この国の人の独特な色のとらえ方でありましょう。もっとも、アオサギが飛んでいるところを前方やや上から見ると、風切り羽のブルーと肩のあたりの白のコントラストがはっきりするのですが、その角度からのショットを探してみたのですが、ひどくピントが外れてしまったものしか見当たりません。はずかしながら、説明にはなるだろうとして出しておきます。

 

そうそう ほかの鳥たちを紹介するのを忘れていました。アオサギの後にいるのが「ダイサギ」、小さめのが「コサギ」です。夏なのでコサギには可愛らしい「冠毛」というオサゲが垂れているのが分かります。そうした面々の前の水面で、顔を出したり潜ったりしている黒い群れが「カワウ」です。 “川をとりしきるかのように 「アオサギ」” の続きを読む

名前は無粋 姿は優雅 「ダイサギ」

ダイサギ」はアオサギと並んで、サギ類ではもっとも大きく、体長90㎝、翼を広げると130㎝にもなります。大きいサギだからダイサギと呼ばれており、同じようなやり方で、他のサギたちも「チュウサギ」「コサギ」というふうに、まことに無粋に命名されております。・・・こんなことにめげずに挨拶してくれます。

ダイサギです よろしく 白鳥さんよりきれいでしょ

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心に共鳴する不思議なサエズリ 「ホオジロ」

ホオジロの声聞けば山里ぞ恋しけれ」とは、誰であるかは忘れてしまいましたが、何世代か前の高名な詩人が望郷の気持ちを詠った詩の一節と記憶しています。詩人はホオジロの声を都会で聞いて心を揺さぶられたわけですから、ホウジロは山里にも都会にもいるというわけで、ヒトとホウジロとの微妙な距離感というようなものが、この一節だけからもうかがわれます。挨拶してもらいましょう。

わたしたちホウジロです なかよし夫婦です

ホホジロは、姿かたちはスズメに良く似ています。スズメを全体に細くきゃしゃにして、首から上の黒と白の振り分け具合をはっきりさせた感じです。挨拶してもらった夫婦では、顔のあたりの色付けがはっきりしている方がオスです。スズメのように集団を作っているのも見たことがありません。 “心に共鳴する不思議なサエズリ 「ホオジロ」” の続きを読む