成長するものを信じて子育てをしよう

「自分は大切にされ愛される価値がある」と信じて人生を始めるのと、「どうせ自分はとりえのない嫌われ者だ」として船出するのとでは、生涯の軌跡に大きな違いが生ずるであろう。

基本的信頼感と愛着

自分を肯定するとともに他人を信頼することができるという感覚を「基本的信頼感」といい、これをベースにして他人と暖かい絆を結べる情緒的な基礎を「愛着」という。それらは安定したものか、不安定か。 “成長するものを信じて子育てをしよう” の続きを読む

うちなる隷属性に溺れるヒト それを克服する人 克服を目指す人

ヒトは群れる。現生人類がようやく発展の道をたどり始めたころからの集団のありようの一面を、次のような順序で考えてみたい。

1 権力関係の発生と複雑化
2 軍隊の怖ろしさ
3 アドルフ・アイヒマンは特異な存在か
4 心に巣食う闇の機序
5 うちなる隷属性を克服する人
6 まとめ

1 権力関係の発生と複雑化

共同で狩りをしたり集団同士がぶつかったりすることを繰り返したりしているうちに、「あの人に付いているとうまくゆくことが多い」といった手続きでリーダーが選ばれるようになる。
はじめは、狩りの手配、魚介採集の場の選定、天候の見極め、他集団との折衝などに高い能力を示す人、つまり「原始的なカリスマ性」を備えた人を中心にしてまとまったであろう。次第に決定する者とそれに従う者の関係が育ってゆく。

リーダーのカリスマ性が強ければ強いほど、納得のゆく「上位目標」が次々と示され易く、集団は周囲を取り込んで大きくなってゆく。家族、一族、部族、民族、と大きくなった集団は次第に特有な考え方しきたりを持つようになる。同じような段階を踏んで、それぞれに固有の文化を持つに至っている集団同士が遭遇した時の葛藤を解決するのはいよいよ複雑になる。混乱を収める手段は思い切ったことを要するものになってゆきやすく、価値観の相違ともなれば決定的なもので、互いに存亡を懸けた衝突となりがちであろう。
原始カリスマ」は「軍事カリスマ」となり、軍事カリスマは、そのきらめきを保つために、かならず、「血統カリスマ」「伝統カリスマ」「制度カリスマ」を目指す。集団をできるだけ強固な「命令する者と服従する者」の構造の下に置こうとする。 “うちなる隷属性に溺れるヒト それを克服する人 克服を目指す人” の続きを読む

春の河原の・・・「カワラヒワ」

春も本番となると、多摩川の河川敷はその中洲までが、いちめん黄色の花で埋めつくされる所が少なくありません。アブラナが野生化したもので、「セイヨウアブラナ」と「セイヨウカラシナ」が群落をつくって場所を取り合っているようです。
その花が終わりに近づいて実に代わるころは、「カワラヒワ」たちにとっては楽園でありましょう。

春のうららの・・・もういくつ寝ると食べごろかな

4月中頃の写真です。止まっているけっこう丈夫そうな草を見てみます。葉が茎を巻くようにして付いているのがセイヨウアブラナ、茎を巻かずにすんなり葉が出ているのがセイヨウカラシナ。するとこれはセイヨウカラシナであることが分かります。この2種類が競いあっているわです。 “春の河原の・・・「カワラヒワ」” の続きを読む

ヒトの集団の性質

チンパンジーは群れる。ヒトはもっと群れる。群れた時に、ヒトはその中でどういう相互関係を作るのだろう。そして同じような集団が出会った場合、どういうことが生じる傾向があるのだろう。

少年のグループについての研究

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裸のヒトとその能力

ヒトの正体」を考えてゆくには、先ずは「生物としてのヒト(ホモサピエンス)が備えるにいたったもの」ということからまとめてみる必要があると思う。
次のような順序で見てゆきたい。

1 チンパンジーからヒトへ
2 高い身体能力
3 高い環境適応力
4 大脳の発達 ことに言語中枢の発達
5 知的発展の加速
6 まとめ

1 チンパンジーからヒトへ

2005年にチンパンジーのゲノム(DNAの全塩基配列)が解読されたところ、現生人類(ホモサピエンス)のそれと98.5〜99%は一致していることが判明した。言い換えれば、私たちの99%近くはチンパンジーなのである。
ただチンパンジーと比べて、ヒトには有意に進化のスピードの速い遺伝子が3%ほどあるという。この3%にこそ、私たちヒトの凄さと可塑性が潜んでいるのであろう。
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ライギョと谷の少年

初夏。新聞の地方版に次のような記事が載せられたことがあります。終戦から10年も経っていないころの話で、私は小学六年生だでした。

      ダムで雷魚みつかる
  〔木曾福島〕〇〇電力株式会社黒川渡ダムは、このほど土砂の堆積を除くため    に放水をおこなった。水位の下がった底近くで、木曾福島町上町、○○昇さん(十八歳)が十八日午後、一匹の奇怪な魚を発見し二時間後に網に入れた。日暮れまであちこち持ちまわられたが、ようやく雷魚と判明して一件は落着。雷魚は大正年間に台湾から移入されたという肉食性の淡水魚であるが、高い堰堤を乗り越えてダムに侵入し、このような高地で棲息していることが不思議がられている。

古いダム

「黒川渡ダム」という響きからは、「黒四ダム」とも「佐久間ダム」とも肩を並べられるような威風を感じます。規模は、はるかな後輩たちの数万分の一にすぎないけれど、技術の蓄積のために役立ったたくさんの古い人造湖のひとつには違いありません。それだけに場所を選り抜かれており、黒川渡ダムはあたかも、太古からそこにある沼のようなたたずまいを醸し上げていました。

雷魚! 肉食性だというから、コイやフナ、マスやヤマメやイワナなどを襲うのだろう。獲物が足らないときには、水没している家々の墓跡などを取り巻いてあばき、人骨をしゃぶるに違いない。そんなことをしながらも、たえず水面をうかがっており、ひょんなことで人間の子どもでもばちゃばちゃやっていないでもあるまいと、辛抱づよく待っている。
空にいる雷神とのつながりもあるであろう。電光がすさまじく飛び交い、雷鳴が谷のあいだを轟きわたるときには、いそいそと水面まで浮上してくる。ずるずるした皮膚を霊気にわななかせながら、恍惚と腹を裏返して漂うさまが目に浮かぶようでした。
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おめめぱっちり お風呂好き 「メジロ」

四季を通して私たちの身近にいてくれる、この愛らしい小鳥については、いまさら紹介するまでもないほどです。
姿や色はウグイスによく似ていますが、ウグイスはあの響きの良い大声のわりにはシャイで、ほとんど一匹でヤブの中を気ぜわしく移動しますから、まず人目に付くことがありません。向こうからはこちらがよく見えているのでしょう。用心深いのです。それに比べてメジロは・・・まず、あいさつしてもらいます。

イヌカキ上手でしょ!メジロでーす!

普段とはちょっと違うところを見てもらいます。 “おめめぱっちり お風呂好き 「メジロ」” の続きを読む

狂気の核

 死を意識したときに生命は輝く。圧倒的な力やそれがもたらした結果を目の当たりにしたとき、ヒトの心はおののくと同時に、恍惚となる傾向があるらしい。そう捉えないと、核開発に執着するヒトの心の構造が分からなくなる。

史上最大のばけもの

核爆弾」の史上最大のものは、1961年に旧ソビエト連邦によって爆発させられた「ツアーリ・ボンバ」とあだ名された水素爆弾で、広島型原子爆弾の3300倍の威力があったという。爆発の空気衝撃波は地球を3周した。放射線による致死域が半径6.6km、爆風による人員殺傷力が半径23km、熱線による致死火傷力が半径58㎞に及んだという代物で、これが東京都心で爆発したとすると、東は千葉県の九十九里浜、南は三浦半島の突端、西は奥多摩、北は茨城県つくば市ほどで囲まれる首都圏が、かつての広島と同じような姿となり、6発ほどでこの国の大多数の人命はもとより、産業も文化も根こそぎに失われてしまうであろう。広島型原爆の19800発である。この上に、いわゆる[死の灰」による被害が加わる。狂気としか言いようがない。 “狂気の核” の続きを読む

私の幻の鳥 「コジュケイ」

 昭和50年(19759)の頃、私は東京都府中市にある少年矯正施設に関係しておりました。東京はアメーバのように近郊へ近郊へと侵食を続けていましたが、矯正施設は塀に囲まれていますからスポットのように小さな自然が残されておりました。
その雑木林と果樹園との間で、これまで見たことのない中型の野鳥に出会ったのです。山国育ちの私が知っている「ヤマドリ」や「キジ」よりも小さく、尾も短く、全体にガッシリした感じの美しい鳥でした。ところが、それからはとんと姿を見せません。「幻の鳥・・・ご存知の方はお知らせください」というあやふやなスケッチ入りの手配書を事務所に張り出したものでしたが
、情報は一つもありませんでした。
何年も何年もたってから、ようやく再会し、「コジュケイ」という鳥だと知れました。・・・挨拶してもらいます。

幻?まさか でも、あまり見られたくないです

背面は銀色がかった下地に赤みを帯びた褐色の斑。前面は、首に銀色のスカーフ、胸から腹は薄いオレンジ色の下地に黒い斑点。なかなかに渋くて美しい鳥です。目も大きく目立ちます。

 大正年間に中国の南部から日本に移入されたものだそうですが、大陸から来たわりには、鳴き声は轟き渡るほどに大きいのに、いたって用心深く、なかなか姿を見せません。「ピック グイ ピック グイ」と鳴くのを日本では「ちょっと 来い
ちょっと 来い」と聞きなしていますが、「お前の方から出てこい」とじれったがる人がいるほどです。
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びっくり 「チョウゲンボウ」

チョウゲンボウ」はハトほどの大きさの猛禽類で、「ハヤブサ科」に属します。猛禽類のうちでは小型ですが、黄色に縁どられたがぐんと大きく、クチバシが短く、地上の獲物を探すときの飛び方もヒラヒラと蝶が舞うように軽げ見え、全体として、何ともいえない愛嬌が感じられます。挨拶してもらいます。

撮るのは良いけど・・・あなた うしろは崖ですよ 

 背面は全体に赤みを帯びた褐色ですが、腹と翼の裏は青みを帯びた褐色の斑点がまだらに散っていて、白っぽく印象されます。空を飛んでいる姿を下から見上げると、いたって目立ちません。 “びっくり 「チョウゲンボウ」” の続きを読む