ヒトはなんとなく奇妙な積み上げをすることがある・・・私と剪定鋏

25年ほども前になる。ホームセンターで小さな剪定鋏を買った。
こうした道具を手に入れるときは、刃の擦り合わせや握り具合などの使い勝手を素人なりに納得したいものだが、ちかごろは難しくなっている。手にとって試すことができない。似たようなものが、似たように透明な硬いフィルムでラップされ、並んだ掛け金から層をなしてずらりと垂れている。
ひとつを抜きあげて裏返すと、「いったん木を挟んだら横にこじってはいけません」などと印刷してある。買い手はそろって小学生同然のレベルと想定しているらしい。

小さな剪定鋏との出会い

運にまかせて私が手に入れた剪定鋏は、しかし大当たりだった。切れる。小さくて軽い。スコリと枝を切り終えた手応えと、元に返るバネの調子がことに良好で、長時間使っても疲れない。切れが鈍くなったら研ぎさえすれば、新品と同様にもどる。泉州は堺で作られているものだった。 “ヒトはなんとなく奇妙な積み上げをすることがある・・・私と剪定鋏” の続きを読む