ウグイス Ⅲ 心ひかれる声 何故?


心ひかれるウグイスの声

いまさら云うまでもありません。
ウグイスの澄んだ鳴き声は昔から人の心を引き付けてきました。
春の景色を謳った有名な漢詩に「千里鶯啼いて緑紅に映ず・・・」とあるとおりです。

こちらが待ち受けていると微妙に間合いを外されたり、喉の引っ掛かりが悪くて不発にずっこけてしまったりすることがしばしばあるので、それがまた、人を引き付けて逸らさないのかも知れません。
調子が乱れてさえも、その音色は澄んでいて、一生懸命ですから、聞いている方が切なくなってくるほどです。 “ウグイス Ⅲ 心ひかれる声 何故?” の続きを読む

静かに潜行? ガビチョウ Ⅱ


強烈なさえずり 京劇風な隈取

20年ほど前のことです。
いきなり、開発を逃れている小さな林の中に、大きく澄んださえずりが轟き渡りました。このあたりでは、ついぞ聞いたことのないものでした。
初めは、「逃げ出したカナリヤが鳴きかわしているのかな」と思われるほど美しく感じられたのですが、やがて、「いい加減で止めてほしい」と言いたくなるほどに疲れてきました。
切迫した感じで、大きく、長く、メリハリ無く続くのです。例えばウグイスのさえずりのような「間」というものがありません。
なかなか姿を見ることができませんでしたが、ある日の散歩の帰り、不意に例のさえずりが叩き付けるように耳に押し入ってきて、脇のヤブの下がガサゴソしました。

全体に茶褐色、ヒヨドリほどの大きさ。藪を縫うように、ボサボサという感じで低く飛びます。
目の周囲が、くっきりと白く化粧されています。「歌舞伎」や「京劇」の「隈取」のようです。

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里一番の「オラオラ顔」 シメ Ⅱ


ずんぐりシルエットに蝋色のクチバシ オラオラ顔

尻尾の短いずんぐりしたシルエットは、全体にキツネ色と印象されます。
スズメをひとまわり大きくしたほどのサイズに、ひときわ立派なクチバシを備えており、それが蝋のような色をしていることから「蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)」とも呼ばれています。
「シッ シッ」と聞こえる地鳴きに、鳥を表す接尾語の「メ」をくっ付けたのが名前の由来です。


秋の終わりに、「ツグミ」や「イカル」と同じように北から渡ってくるのですが、早々に群れを解いて、冬は単独で過ごすことが多いようです。
黒く縁どられた鋭い目のせいもあってか、せっせっと落ち葉を跳ね飛ばして木の実を掘り出そうとしている様子は、塹壕を掘る歴戦の兵士のように真剣そのものです。

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「月・日・星」と鳴く 三光の鳥 「イカル」-Ⅱ


黒覆面に鋭い目つき

「イカル-Ⅰ」にも記しました。
ずんぐりと見える灰色の身体の上に黒覆面か黒頭巾。そこから突き出しているピラミッドのようなクチバシ。けっこうに鋭い目つき。・・・イカルが一羽で木の枝に居ると、「こわもて」といった雰囲気です。幾度見ても、これらには変わりはありません。
冬の林を歩いていると、かなり前方の枯葉の中から飛び立ち、ほとほとと縦に掻き昇る感じで高い枝にとまり、長い間、こちらを窺っていることがあります。なかなかに用心深くもあるのです。

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ツグミ 追憶


美しい胸と姿勢

ツグミは、散歩好きの人には、まず馴染みのある野鳥でしょう。
スズメより二回りほどもある身体つきは頑丈そうで重量感があります。全体に地味ですが、アサリ貝を思わすような胸の模様がたいそう美しい個体があるので、出会うたびにレンズの向こうにクローズアップして確かめないではいられないような奥深さがあります。

秋にシベリアなどから渡って来てしばらくすると、ばらばらに群を解いて冬を過ごします。
シャンと背筋を伸ばし、両脚を揃えながらホッピングして枯草の下の虫をさがし、また伸びあがってあたりをうかがう、という様子も印象的です。低く飛びながら「ケロッケロッ」と小さい声を漏らすことがありますがサエズリということをしません。口をつぐんでいることから、「ツグミ」と呼ばれるようになったということです。

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅠ あるカップルとの会話


なんだか、大きく振り上げてしまいました

世界の中の北欧と日本。これを見てゆくと、始めはどうにも分が悪そうに見えます。けれど、だんだんと日本がいじらしく思えてきました。
やがて「日本だってやれるぞ」となり、ついには「こうすれば、もっと良くなる」と考えられるように・・・考えられるようになりたいです。
次のような目次に沿って、何回かに分けながら、進んでゆきたいと思います。

目次
そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源について
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について

そのⅤ デザインについて
そのⅥ 幸福度ランキング そして自殺

そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」
そのⅧ 世界が見る日本 なぜ最高の国ベスト3に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの

そのⅩ 私の精一杯の提言

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅡ 自然災害と天然資源


この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅡです。

目次
そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源について
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 幸福度ランキング そして自殺
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」
そのⅧ 世界が見る日本 なぜ最高の国ベスト3に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

自然災害について

ノルウェーの国土はおよそ38.5万㎢でほぼ日本と同じ大きさです。

ところが、世界の陸地の0.3%弱を占めるだけであるにもかかわらず、日本は
全世界で起こる大きな自然災害のおおよそ20%を引き受けてるという超災害大国です。地震、津波、噴火、台風などがもたらすものです。

これに対して、北欧の自然災害はほとんど0%と言っていいでしょう。

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅢ 来た道 似たところと違うところ


この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅢです。

目次
そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源について
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 幸福度ランキング そして自殺
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」
そのⅧ 世界が見る日本 なぜ最高の国ベスト3に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

来た道 似たところ違うところ

北欧と日本には、歴史に似かよったところがあります

片や北極圏に近い半島というヨーロッパのはずれで、片やしばしば地面すら揺らぐという極東の島で、厳しい自然を受け入れながら、人々は限られた範囲の中でさまざまな興亡を繰り返してきました。
考えてみれば、こうしたつつましさは、他の多くの民族にも言えることですよね。

けれど、ノルマン人と日本人は、そうしたことに飽き足らないとする民族性のためか、規模の大小は違うものの、中世の同じころに外に向かったことがあります。キリスト教の浸透に対する反発がきっかけとされるヴァイキングと、元寇に刺激されたとされる倭寇や朝鮮出兵です。

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅣ 自然との向き合い方について


この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅣです。

そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

そのⅣ 自然との向き合い方について

生活技術の発展が とりわけ北欧へもたらしたもの

ぐっと北に位置して北極圏に近いのですから、もとより北欧の自然には侮れないものがあります。長く、暗く、寒い冬の季節は、ほんの数世代前までは、人々にとって厳しい試練でした。
分厚いドアや二重窓を備えた気密な住居。コックひとつで着火するガスの配管。スイッチ一つで動き出す電化製品と安定した配電。新しい素材で量産の利くさまざまな防寒グッズなど。
これらが行き渡るまでは、炊飯のたびに寒風の中で火を起こさなければならず、洗濯したにしてもガチガチに凍ったまま乾かず、凍えながら眠らなければならない吹雪の夜もあったはずです。             

                                           (SOPIVA) “日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅣ 自然との向き合い方について” の続きを読む

日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅤ デザインについて

この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅤです。

そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

 

そのⅤ デザインについて

北欧の人々にとって、冬の寒さは着々と克服することが出来てきたものなのでしょうが、その長さと暗さはどうにもならないものであったはずです。
朝8時に出かけようとすると、日本の感覚では深夜のような暗さで、夜6時に帰ろうとすると、深夜のような暗さなのです。どう工夫しても、いくらなんでも、23.4度という地球の傾きを替えることはできますまい。

北欧と日本のデザインの似たところ

限られた屋内空間で過ごすことを強要され、太陽と緑を待つこと久しいとすれば、狭い空間をできるだけストレスの少ないようにセッティングする必要があります。それには、ちょうど日本人の感覚のように、自然のエッセンスを身の回りに置いて癒されようとするやり方が有利でしょう。
北欧デザインといえば、椅子、家具、日用品…。
その特徴として、自然素材の活用・エッセンスだけの簡素・朗らかな配色・機能性と耐久性の重視・照明の巧みな演出。
小さな生活の知恵が長い年月をかけて積み上げられたものにちがいありません。
自然のエッセンスを身近に感じたいという基本が共通していますから、北欧のデザインと日本のそれとに似通ったところがあるのは当然のこととも云えましょう。
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