日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅠ あるカップルとの会話

なんだか、大きく振り上げてしまいました。
世界の中の北欧と日本。これを見てゆくと、始めはどうにも分が悪そうに見えます。けれど、だんだんと日本がいじらしく思えてきました。
やがて「日本だってやれるぞ」となり、ついには「こうすれば、もっと良くなる」と考えられるように・・・考えられるようになりたいです。
次のような目次に沿って、何回かに分けながら、進んでゆきたいと思います。

目次
そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源について
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 幸福度ランキング そして自殺
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」
そのⅧ 世界が見る日本 なぜ最高の国ベスト3に入るのか
そのⅨ 日本の評価 世界の目と自身の目
そのⅩ まとめ
そのⅪ 私の精一杯の提言

そのⅠ ある中年カップルとの会話

北欧のゆとり? ユーモア?

BERGEN?
ノルウェーの西海岸には、大小複雑なフィヨルド(入り江)が連なっていますが、
その南端に近く、海岸線が入り組んだ奥に、ベルゲンという港町があります。
ご存知の方も多いと思いますが、ノルウェー第二の都市です。日本の北の旭川市よりも少し小さく、南の那覇市よりもいくらか大きい、人口30万人ほどの歴史の古い街です。

街の中心、つまり港からわずか10㎞ほど南に造られた一本滑走路のベルゲン空港があり、ターミナルを出てバス停に向かうと、駐車場の向かい側の崖に「BERGEN?」とありますから、一瞬「え!」となりますが、すぐに笑えてきます。


そういえば、空港建物の中でもホッコリさせられるものをいくつか目にしていました。

トイレの案内表示
紳士淑女ともに、漏れそうなのを我慢しているのが分かります。しかも等身大以上で・・・なかなかやってくれます。

回廊の途中に作られている遊具です。
空港にふさわしく、反射板で光を命中させると、上に取り付けてあるセスナ機のプロペラが回って機体も動き出すのです。子供たちが遊んでいました。極東から来たおじいさんも・・・もちろん遊びます。

空港内の書店に並べてある雑誌などです。
別荘や庭や民話への誘いがスマートです。余裕が感じられます。

ブリッゲン
港の埠頭には「Bryggen」と呼ばれる木造建築群があり、ハンザ同盟の遺構として世界遺産になっています。中世のおよそ400年間、この港は名物の「干ダラ」の輸出で賑わったのです。
ブリッゲンを表通りから見ると、3階建てほどの建物が10棟ばかり綺麗に横に並んで見えるのですが、奥は複雑につながっていて、昔は倉庫だったろうと思われる小部屋が、さまざまな店や工房になっています。古い木造だけに、廊下や窓が波打ったり歪んだりしているのが、楽しいのです。

どのような道具や釘を使って、これらを作ったかを見せているウインドウがありました。
斧や手斧の類が小ぶりすぎて、このようなもので大きな建物を作れるものだろうかと思われましたが、展示サービスとして洒落ているなと思いました。

建物群の奥には、中庭のような空間が大小に散らばっています。その一つに、太い幹から掘り出された巨大な干ダラが、子どもを背中に乗せて、不機嫌そうに横たわっていました。五百年以上も干されているのですから、あまり美味そうには見えませんでしたが、ほほえましいものでした。

魚市場で
ブリッゲンの近く、港の一番奥まったところに魚市場があり、夏場は夜遅くまで開いています。食べたいものを注文すると直ぐに料理してくれるので、テントの下のテーブルで楽しむことができます。

かねて憧れの、ぷりぷり太った「タラバガニ」に出会いました。安いとは言えないでしょうが、手が出せないというほどではありません。

頼むと、けっこうな箸も直ぐ来ました。また、食べに行きたくなります。

カップルとの会話
隣のテーブルで中年のカップルが語らっていました。この国では外食が高く付くという情報は間違っているのではと思えたほどに・・・許可を取る手立てもないので顔の写っている写真を挙げるのは控えますが・・・ビールのジョッキや大小の料理などでテーブルの上が賑やかでした。地元ベルゲン近郊に住んでいるとのことでした。共働きのご夫婦だったろうと思われます。
国内ではからきし駄目なのに、私は外国に行くと、割合気軽に見知らぬ人に声を掛けることができるのです。言葉はまるでたどたどしいながら・・・不思議なことです。

「夕方、かなりの雨が降りましたが、この辺りでは普通のことですか」
と私。
「そうですね。夏場にはけっこう雨が降ります。けれど、高い台地にある沢山の湖やダムに水が溜まってくれます。助かるんです」
「発電するのですね」
「そうです。私たちはほとんどを水力発電でまかなっています。夏は発電量が需要を上回りますから、余った分を近くの国に輸出できます。冬になると逆の流れになりますね。雨が少なくなって発電が減り、暖房のために電気の使用量が増しますから」
奥さんらしい人が、グラスを両手で支えるようにしながら、うなずいたり言葉を足したりしていました。
「電気を輸出したり輸入したりするのですか。この辺では電気を船に積めるんですか」
「電線を使うんです。北ヨーロッパは送電線で網の目のように繋がってます。電気は盛んに取引されます。エネルギー保険にもなっていると思います」
「はあ。で、沢山の湖やダムがあるわけですよね。それらが大雨で決壊するなどということはないのですか」
「聞いたことがありません。ノルウェーに自然災害は無いです。災害と言えば、あなたの国では、10年ほど前に大きな地震とツナミがありましたね。その後はどうですか」
「ほぼ復興しました」
「そう。日本人はブレイブだとは聞いていましたが、ブライトでもありますね」
「ありがとうございます。・・・伺いますが、地面が突き上げるように揺れるということを想像できますか」
「いいえ、全く。そんな・・・恐ろしい」「オーノー」
二人ともグラスを置いて、天を仰ぐようなポーズを取っておりました。

次の日から私は、北に続いているフィヨルドと高地を巡って湖やダムらしいものをたくさん見ましたが、それに組み合わされているはずの発電施設を一度も目にすることはありませんでした。そのように観光ルートが設定されているのか、発電施設が目立たないように入念に設計されているのか。いずれにしても、この国の人が自然の景観を保とうとする姿勢は相当のものだと思いました。
日本と似たところと、全く違ったところがありそうです。あれこれ考えはじめ、帰りのフライト時間をあまりもてあまさずに済みました。

次には、「自然災害」と「天然資源」についてまとめてみたいと思います。

ロウボウ

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅠ あるカップルとの会話」への2件のフィードバック

  1. ロウボウ先生
    お久しぶりです。
    北欧に旅行に行った気分になりました。
    堅いイメージがありましたが、ユーモアがある温かい国なのですね。大きな魚のモニュメントや都市の名前に「?」マーク。
    トイレのマークのユーモラスなこと!思わず笑がこぼれます。
    北海道のように気温が低いので、みんなが助けあって暮らしているのでしょうか。
    次回が楽しみでなりません。
    旅行に行きたくなりました。
    ありがとうございます。
    だんだん秋めいてきましたね。
    どうぞ、ご自愛くださいね。

    1. いつもありがとうございます。
      北欧については、世界が北欧を見る目と、北欧の人自身が北欧を見る評価とが一致してます。
      日本については、世界が日本を見る目と、日本の人自身が日本を見る評価とがまるで正反対なのですね。
      どうしてこうなるかを知ろうとするのですが。
      北海道は冬が速いのでしょうね。スウェーデンの人が日本に来て「日本は寒い!」と言ったことがあるそうです。
      ご健勝で。

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