「アユ」の遡上を巡る宴 Ⅴ「大宴会」

 6月の早朝。カワウ、ダイサギ、アオサギ、コサギ、それにカラス。役者の揃い踏みのような大宴会を見ました。

カワウ 続々と飛来 集合 整列 待機

 日の出すこし前の多摩川を上空から眺めると、流れのゆったりした個所や淀みは巨大な黒い蛇のようにうねって見え、瀬となって広がっているところは、すでにしらしらと浮き上がって見えることでしょう。
 「今日の朝食をどこでとろう」と誰が狩場を決めるのかは分かりませんが、下流から飛翔してきたカワウの隊列が高度を下げて、少しためらうように旋回を始め、やがて岸近くに着水します。そうしたところには、前もって1・2羽のダイサギやアオサギが目印のように立っていることが多いような気がしますが、カワウたちがそれを指標のように利用しているのかどうかは分かりません。

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おはなしあい

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、和太鼓のリズムのように心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。
                          
    第一寮

ベンチに座っているぼくに
あっちへ行けといわないでください
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こうわをきいて

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、和太鼓のリズムのように心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “こうわをきいて” の続きを読む

献立 二食

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民話や民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “献立 二食” の続きを読む

日記

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “日記” の続きを読む

ほうどりかんそう :盆踊り感想

何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “ほうどりかんそう :盆踊り感想” の続きを読む

新しく入って

 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。 “新しく入って” の続きを読む

メダカ

 数年前、メダカを十匹ほどいただいた。妻と親しくしているその家の奥さんは、水槽、睡蓮鉢、はては火鉢、発泡スチロールの箱などに水草を入れて、いたって無造作に飼っているように見えた。「増えすぎたから持ってってください」と言われる。半日陰ほどのところに放っておいて良いのだな、と思っていただいてきた。

   小さき目を据えて目高は居りにけり          高橋淡路女

 四・五日したら、小さな目で睨みあげ、「はやく水を換えてくれなきゃ困るじゃないか」と言われているような気がしだした。ならんで睨んでいる。 “メダカ” の続きを読む

少年院で学んだこと

       
 何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。ワードプロセッサーいわゆる「ワープロ」の全盛時代でしたが、それらの操作でものをいうのはIQよりもセンスだなあ、としばしば感じ入ったものでした。少年の表出の一例を挙げてみます。ストトンと打ち込んだものだからこそ、いつまでも新鮮なのでしょうか。 “少年院で学んだこと” の続きを読む

戻ってきた失せ物 Ⅰ 双眼鏡

 私は落とし物・忘れ物をよくやる。小学5年の頃、カバンを忘れて登校してしまい、3度目には廊下に立たされてしまったことがある。カバンを忘れるほどに何に気を取られていたのか、それも忘れてしまっている。

 大学1年の夏に、「木曾駒ケ岳国有林高山植物監視員」というアルバイトをしたことがある。
 営林署から貸与された「双眼鏡」を登山道の2合目の水場で首から外したまま置き忘れて、頂上に着いたとたんに気が付いた。今はそこそこのものをホームセンターなどで安く買えるが、当時はそんなではなかった。誰よりも早くその場に行き着こうと、頂上から一気に駆け下りて回収することができた。高山植物監視員を監視している人は居なかったから、こんな無駄をしてもアルバイト料を削られることはなかったが、みっともない話である。
 だが、「あったぁ!」という瞬間は何ともいえない。岩の上に夜露を少しのせてかしこまっている様子が、ただの機器ではない互いの因縁を生みだすようでさえある。

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