冬。たとえば公園に植えられたサツキの下で、カサリコソリという音がします。気をそそられて覗きこみますと、スズメほどの大きさの小鳥が、動きを止めてこちらを見上げていることがあります。シャイな小鳥で、向こうから人前に姿を見せるということは、まずありません。
といって、ヒトを見るなり間髪を入れずに逃げるというのでもなく、よく言われるように「たいそう警戒心が強い小鳥だ」とは私としては思いません。
この機会に挨拶してもらいます。
アオジと申します でも、忘れてください
どういうわけか、このごろ数を減らしているようで、いくつかの県では絶滅が心配されているほどなのだそうです。そう思ってみるせいか、背中から見るとスズメに似ており、顔や首はスズメよりもさらに地味であるためか、最初の印象は暗っぽいものです。
クチバシの周囲が黒っぽいのはオス・メスに共通していますが、首から上はオスの方が濃く配色されています。地味ではありますが、よく眺めると、オリーブドラブの濃淡の様子に微妙な個体差があり、なかなかに見応えがあります。
「アオジ」という名前の由来は、昔はミドリのことをアオと云いましたから、そのアオが地の色として目立つから「アオジ」となったのだと、私は思い込んでいました。が、そんなではないそうです。
アオジはそもそも「ホオジロ」の親類で、昔はホオジロのことを「シトト」と呼んだことから「アオシトト」、これが発音しやすく「アオジトト」に、江戸時代に至って「アオジ」短く詰められたのだそうです。いにしえから、アオジはホオジロの仲間だということを知っていたのですね。どうも昔の人にはかなわないところがあります。
親子連れと思われる3羽を見てください。奥の黒っぽいのがお父さん、その前のいくらか明るいのがお母さん。いちばん右は全体に華奢で幼げに見えませんか。
絶滅?
このごろ、たとえば早朝の河川敷などを歩いていると、さきざきに藪から藪へと移る影があり、それに日光が当たるころになると、ごらんのとおりです。私としては、けっこう多いような感じがしますが、野鳥の種は年によって目立つときと、そうでないときがありますから、もう少し長いスパンで見なければいけないのでしょう。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。