びっくり 「チョウゲンボウ」

チョウゲンボウ」はハトほどの大きさの猛禽類で、「ハヤブサ科」に属します。猛禽類のうちでは小型ですが、黄色に縁どられたがぐんと大きく、クチバシが短く、地上の獲物を探すときの飛び方もヒラヒラと蝶が舞うように軽げ見え、全体として、何ともいえない愛嬌が感じられます。挨拶してもらいます。

撮るのは良いけど・・・あなた うしろは崖ですよ 

 背面は全体に赤みを帯びた褐色ですが、腹と翼の裏は青みを帯びた褐色の斑点がまだらに散っていて、白っぽく印象されます。空を飛んでいる姿を下から見上げると、いたって目立ちません。

ヒトの作った戦闘機も、上面を暗っぽく、下面は白っぽく塗装してあるのが普通です。自分より上にいる敵機からは、陸や海の背景に紛れて見え難く、自分より下の敵機から見上げられたときには空の明るさに紛れるようにという細工で、チョウゲンボウやハヤブサなどの先輩を真似しているのです。

うわーっ 後ろから不意打ちとは卑怯!

 さて、ある晩秋の日、私が一羽のチョウゲンボウが止まっているのを見付けて連写のシャッターを押すと、ふいにファインダーの中がなにやら白っぽく動き、ついで黒っぽくなり、それから何も見えなくなりました。
何が起こったかをここに並べてみます。もう少し引いた構図にしていれば、主役たちの全体がクッキリと納まったものを・・・まあ、迫力はあるだろうと自分をなぐさめることにしました。それにしてもカラスは乱暴者です。

 昔、凶作に苦しんでいる村に「長元坊」という旅の僧がやって来て、仏に祈ったところ、一帯は豊作に転じたということです。坊さまは姿を消してしまいましたが、それからというもの、秋になると坊さまの長元坊によく似た頭の形をした鳥がやってきては、田や畑の実り具合を確かめるように飛び回ったりホバリングしたりするので、村人たちはその鳥のことを「チョウゲンボウ」と呼ぶようになったのだそうです。そういえばこの鳥は、ダルマさんによく似た横顔をしており、旅の僧にふさわしいような髭を蓄えています。
たしかに、野ネズミなどの小動物を狩る名人なので、お百姓さんたちにはありがたい仲間であったろうと思います。この頃はさらにヒトに近づいて、都市部でも繁殖する例が増していることが観察されています。

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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