その春も、巣箱の中にヒナたちが孵ったとみえて、シジュウカラの親たちの動きはウナギノボリにあわただしくなりました。
いれかわりたちかわりに虫を運んできて、立ち去るときには、ヒナたちの出した白い糞をくわえて飛び出してゆきます。外敵に察知されないように、糞は巣からじゅうぶんに離れたところで捨てられるのです。
私が近くをうろつくことがあると、「ジッジッジッジッ」とけっこう凄みの効いた声をだします。私を威嚇し、ヒナたちには「静かにしていなさい!」と警告しているのでしょう。
わずか1日の違い 身体も好奇心も
ヒナたちの成長ぶりは物凄いものです。その日、ヒナたちは底に重なり合って息をつめ、親の警報によく従ってぴくりとも動かず、まるで一枚のビロード苔のように見えました。ところが、次の日には身体もひとまわり大きくなっていて羽毛も増え、親の警告もそっちのけで、好奇心いっぱいです。
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長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。