仁義ある闘い 「ヒヨドリ」Ⅲ

ドヤ顔のヒヨドリ

自動車で、目がつり上がって歯を剥きだしているようなフロントデザインを「ドヤ顔」と言うそうで、「どいたどいた」という気分を車に託すのがこのところのトレンドであるようです。
野鳥についていえば、とりあえず「ヒヨドリ」がドヤ顔といえそうです。「なるほど、鳥類は恐竜の子孫なのだ」と思い出させるような押し出しと、それを強調している灰色だけの衣装を選んでいます。時にカスリ模様が浮いて見えることがあって、ななか美しいのですが・・・。

ムクドリとのぶつかり合い

「新宿御苑」の林に設置されている金属パネルにコンパクトに説明されているように、ヒヨドリは都心近くでも数を増やしつつあります。
仲間同士でも、かしましくせめぎ合います。肩で風を切るようなところがあります。ヒヨドリに対抗できるのは、私が知る限り、やはり個体数を増しつつある「ムクドリ」だけのようです。鳴き声からすれば「ヒーョヒーョ」と「リャーリャー」との里山を巡る覇権争いということになりましょう。尾の長いのがヒヨドリ、短いのがムクドリです。クチバシの鋭さと金属的な顔貌、のっしのっしと地面を歩く様子など、ムクドリもなかなかのものです。

飛行術はヒヨドリに軍配

ヒヨドリが、枝からぐらりと降下して地面すれすれをかすめ、林から林へと渡る様は見事で、野鳥のうちで屈指の飛行術といえます。ホバリング能力もなかなかです。ヒトの近くにありながら、警戒を弛めないのも成功の一因でありましょう。


野菜荒らし 

雑食性ですが、どちらかというと菜食主義者で、ガラに似合わず(?)甘味のあるものを好みます。
冬もたけなわになって、野に木の実が少なくなると、野菜を狙うようになります。キャベツ、ハクサイ、エンドウなどを食べますが、とりわけブロッコリーが好物で、群になって大々的に荒らすことがあります。ふと動きを止めて、そろって周囲を警戒する様子が印象的です。


仁義ある闘い

ところがどうです。スケルトン上にまで食べられたブロッコリーを見ると、どれも中心の実の部分は残されています。芽までをも食べてしまったら、巡って次の季節、自分たちが飢えてしまうことを弁えているのです。本能がコントロールしているとすれば、その力は強力なものです。
人は実を食べ、鳥は実を残す。そう言えば、アオムシなど昆虫の幼虫も植物の芽は食べずに残しているのを、しばしば見かけます。
なんだか考えさせられます。
最後に、ヒヨドリ君に敬意を表して、お見合い写真に使っては如何かと思われるポートレイトを挙げておきます。落ち着きと賢さがうかがえる一枚です。

ロウボウ

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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