「カッコウ」をめぐる「オナガ」「モズ」「ホオジロ」の物語

生命の種のありようの変化、つまり「進化」というものは意外に速く進行することがあり、ともすると私たちの身近に目のあたりにするチャンスすらありそうなのです。

1 話は「遺伝か環境か」というところから始まる
2 「カッコウ」の登場
3 「オナガ」の登場
4 「オナガ」の防衛
5 「オナガ」復帰の兆し
6 まとめ

1 話は「遺伝か環境か」というところから始まる

両親から受け継いだ遺伝子の配列そのものは生涯を通して不変であると考えられます。ところが、例えば一卵性双生児は互いに全く同じ遺伝子情報を持っているのですから、一方が統合失調症を発症したら相方も100%発病するかというと、これがそうではないのです。50%ほどは発病しないという事実がかなり前から知られています。
遺伝子が生物を規定する力は強大であるけれども、必ずしも運命を決定するものではなく、環境が作用するところも大きいことを示しています。
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子どもに家事を分担してもらうことの意義

1 日本の中学生は、テレビなどを見る時間が長い
2 日本の家庭は「子どもの家事手伝い」に消極的
3 母親たちの認識
4 花王株式会社と成徳大学の調査
4-1調査の要約
4-2家事に前向きな子どもたちの特性
5 家事にコミットさせるのは、子どもの人格を認めること           

1 日本の中学生は、テレビなどを見る時間が長い

いくらか古いデータであるが、2003年に国際教育到達度評価学会(IEA)が「中学生の宿題をする時間とテレビ・ビデオを見る時間」について調査をしたことがある。 “子どもに家事を分担してもらうことの意義” の続きを読む

ヒトはなんとなく奇妙な積み上げをすることがある・・・私と剪定鋏

25年ほども前になる。ホームセンターで小さな剪定鋏を買った。
こうした道具を手に入れるときは、刃の擦り合わせや握り具合などの使い勝手を素人なりに納得したいものだが、ちかごろは難しくなっている。手にとって試すことができない。似たようなものが、似たように透明な硬いフィルムでラップされ、並んだ掛け金から層をなしてずらりと垂れている。
ひとつを抜きあげて裏返すと、「いったん木を挟んだら横にこじってはいけません」などと印刷してある。買い手はそろって小学生同然のレベルと想定しているらしい。

小さな剪定鋏との出会い

運にまかせて私が手に入れた剪定鋏は、しかし大当たりだった。切れる。小さくて軽い。スコリと枝を切り終えた手応えと、元に返るバネの調子がことに良好で、長時間使っても疲れない。切れが鈍くなったら研ぎさえすれば、新品と同様にもどる。泉州は堺で作られているものだった。 “ヒトはなんとなく奇妙な積み上げをすることがある・・・私と剪定鋏” の続きを読む

子どもを情報の洪水にさらす前に

次のような順序で考えたいと思う。

1 土地を占有するという着想がもたらした一大転換
2 津波のような「情報のビックバン」
3 一緒に日常を体験するという命綱
4 難しく考えずにやることをやる
5 まとめ

1 土地を占有するという着想がもたらした一大転換

現生人類は15万年ほど前にあらわれた。なお長く、木の実などを採集し、動物を狩り、魚貝を集めながら小さな集団を成して移動しており、たとえば、「土地を所有する」などという概念は存在しなかった。 “子どもを情報の洪水にさらす前に” の続きを読む

共感と信頼感はどのようにして芽吹いてくるか

現在の赤ん坊は、人類が何万年もかかって発展させてきた「言語の習得」ということを、ほんの数年のうちに凝縮してやってのけるという驚くべき能力を備えている。

生理的な欲求をめぐる共同作業

まず赤子は、空腹、不快、苦痛などを感じると泣く。泣くという「信号」を発すると、乳がもらえ、あるいはオムツが替えられ、苦痛や不快が取り除かれる。こういうことを繰り返しているうちに、「泣けば・・・してくれるだろう」という「予測」が生まれ、親の方は「この泣き方は・・・したのだろう」という「判断」をなし、対応した結果は赤ん坊にとっても親にとっても、当たったり外れたりする。 “共感と信頼感はどのようにして芽吹いてくるか” の続きを読む

成長するものを信じて子育てをしよう

「自分は大切にされ愛される価値がある」と信じて人生を始めるのと、「どうせ自分はとりえのない嫌われ者だ」として船出するのとでは、生涯の軌跡に大きな違いが生ずるであろう。

基本的信頼感と愛着

自分を肯定するとともに他人を信頼することができるという感覚を「基本的信頼感」といい、これをベースにして他人と暖かい絆を結べる情緒的な基礎を「愛着」という。それらは安定したものか、不安定か。 “成長するものを信じて子育てをしよう” の続きを読む

うちなる隷属性に溺れるヒト それを克服する人 克服を目指す人

ヒトは群れる。現生人類がようやく発展の道をたどり始めたころからの集団のありようの一面を、次のような順序で考えてみたい。

1 権力関係の発生と複雑化
2 軍隊の怖ろしさ
3 アドルフ・アイヒマンは特異な存在か
4 心に巣食う闇の機序
5 うちなる隷属性を克服する人
6 まとめ

1 権力関係の発生と複雑化

共同で狩りをしたり集団同士がぶつかったりすることを繰り返したりしているうちに、「あの人に付いているとうまくゆくことが多い」といった手続きでリーダーが選ばれるようになる。
はじめは、狩りの手配、魚介採集の場の選定、天候の見極め、他集団との折衝などに高い能力を示す人、つまり「原始的なカリスマ性」を備えた人を中心にしてまとまったであろう。次第に決定する者とそれに従う者の関係が育ってゆく。

リーダーのカリスマ性が強ければ強いほど、納得のゆく「上位目標」が次々と示され易く、集団は周囲を取り込んで大きくなってゆく。家族、一族、部族、民族、と大きくなった集団は次第に特有な考え方しきたりを持つようになる。同じような段階を踏んで、それぞれに固有の文化を持つに至っている集団同士が遭遇した時の葛藤を解決するのはいよいよ複雑になる。混乱を収める手段は思い切ったことを要するものになってゆきやすく、価値観の相違ともなれば決定的なもので、互いに存亡を懸けた衝突となりがちであろう。
原始カリスマ」は「軍事カリスマ」となり、軍事カリスマは、そのきらめきを保つために、かならず、「血統カリスマ」「伝統カリスマ」「制度カリスマ」を目指す。集団をできるだけ強固な「命令する者と服従する者」の構造の下に置こうとする。 “うちなる隷属性に溺れるヒト それを克服する人 克服を目指す人” の続きを読む

春の河原の・・・「カワラヒワ」

春も本番となると、多摩川の河川敷はその中洲までが、いちめん黄色の花で埋めつくされる所が少なくありません。アブラナが野生化したもので、「セイヨウアブラナ」と「セイヨウカラシナ」が群落をつくって場所を取り合っているようです。
その花が終わりに近づいて実に代わるころは、「カワラヒワ」たちにとっては楽園でありましょう。

春のうららの・・・もういくつ寝ると食べごろかな

4月中頃の写真です。止まっているけっこう丈夫そうな草を見てみます。葉が茎を巻くようにして付いているのがセイヨウアブラナ、茎を巻かずにすんなり葉が出ているのがセイヨウカラシナ。するとこれはセイヨウカラシナであることが分かります。この2種類が競いあっているわです。 “春の河原の・・・「カワラヒワ」” の続きを読む

ヒトの集団の性質

チンパンジーは群れる。ヒトはもっと群れる。群れた時に、ヒトはその中でどういう相互関係を作るのだろう。そして同じような集団が出会った場合、どういうことが生じる傾向があるのだろう。

少年のグループについての研究

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裸のヒトとその能力

ヒトの正体」を考えてゆくには、先ずは「生物としてのヒト(ホモサピエンス)が備えるにいたったもの」ということからまとめてみる必要があると思う。
次のような順序で見てゆきたい。

1 チンパンジーからヒトへ
2 高い身体能力
3 高い環境適応力
4 大脳の発達 ことに言語中枢の発達
5 知的発展の加速
6 まとめ

1 チンパンジーからヒトへ

2005年にチンパンジーのゲノム(DNAの全塩基配列)が解読されたところ、現生人類(ホモサピエンス)のそれと98.5〜99%は一致していることが判明した。言い換えれば、私たちの99%近くはチンパンジーなのである。
ただチンパンジーと比べて、ヒトには有意に進化のスピードの速い遺伝子が3%ほどあるという。この3%にこそ、私たちヒトの凄さと可塑性が潜んでいるのであろう。
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