ハチを食うタカ 「ハチクマ」

白樺峠のタカ見の広場

タカの仲間に「ハチクマ」という種類があるというのは知っていましたが、「妙な名前だな」というだけで長い間が過ぎていました。
数年前、野鳥を撮る楽しみを覚えてから「タカの渡り」と呼ばれるものがあるのを知り、それから2年ほどして「渡り」が観られることで有名な、信州の「白樺峠」を訪ねることができました。松本市から「梓川」をさかのぼって方向としては上高地にほど近く、白樺の美しい峠の近くに「タカ見の広場」はしつらえられていました。

秋晴れに恵まれ、生涯忘れられない光景に出会いました。
霧が上がると、大小の尾根が入り組んで低まってゆく向こうに安曇野が霞んでおり、まほろばのような空間をタカが渡るのです。
上昇気流に乗って旋回しながら大きく高度を上げるのを「巻く」といい、そこから水平飛行に移って南に向かうのを「流れる」というのだと教わりました。3羽、5羽。時にはもっと多くのタカが巻き、流れてゆくありさまは能の舞台のように静かで美しく、大気が重そうに見えました。太陽を背にしたシルエットが頭上で巻くことがあって、目がくらみました。 “ハチを食うタカ 「ハチクマ」” の続きを読む

華麗なホバリング 「チョウゲンボウ」Ⅱ

ハヤブサとならんでインコの仲間

チョウゲンボウ」はハトほどの大きさの猛禽類です。
最近のDNA研究から、ワシやタカなどよりも、インコスズメに近い系統であることが分かってきたとのこと。
あの「ハヤブサ」も同じなのだそうです。ハヤブサといえば昔も今も、敏捷で精悍なものの代名詞のようになっています。昔々、高性能を誇った戦闘機「」。いま現在、宇宙で任務を遂行しつつある小惑星探査機「はやぶさⅡ号」といったとおりです。

ひらひらと舞い 華麗なホバリング

チョウゲンボウは、ハヤブサほど高速では飛翔しません。ひらひらという感じで飛び、しばしば華麗なホバリングを見せます。                 先端にアクセントのある尾羽を扇状にひろげて揺らいでいる様子は、地上の一定範囲をスキャンしているようにも見えます。齧歯類(ネズミなど)の尿が紫外線を反射して光るのを捉える能力があるのです。 “華麗なホバリング 「チョウゲンボウ」Ⅱ” の続きを読む

つかず離れずのマイペース 「キジバト」

独特な鳴き声は里山の呼ぶ声

「デデ・ポポー、デデ・ポポー♪」という柔らかいリフレーンは、誰にもおなじみのものでしょう。喉で鳴くというよりも腹を響かせているというふうで、独得な柔らか味とおっとり感があります。ブドウ色の胸やウロコ模様の背中の印象が「キジ」に似ているというので「キジバト」。首の青と白のマフラー、目の周りの赤いラインも特徴です。
「ヤマバト」とも呼ばれます。

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あつー やってられない 「オナガ」Ⅲ

真夏にうだる生き物たち

ヒマワリ: もう十分 はじけそう! 

オオヒカゲ: 日光 まだ追いかけてくるの

お化けカボチャ: ベストの大きさと比べて見て

オニユリ: ちょっと離れて うっとうしい!

カボチャの蔓: もう げんなり

サトイモ: わたしも げんなり

アブラゼミ: 逃げられん 力落ちてるなあ

オナガ

ヒャー!たまらん! パタパタ

もうダメ

冬のオナガ: このスマートさ

カラス鎮魂

カラスのハンギング

 夏のある日、一羽のカラスが首をくくられてポールから吊り下げられているのを見ました。トウモロコシが実ろうとしている畑、カラスは頭部の皮が剥がれ落ちて半ばミイラ化、というところまで腐敗していました。 “カラス鎮魂” の続きを読む

小鳥たちの好奇心

 何か新しいものに遭遇したとする。まず驚きや恐怖におそわれるが、とりあえず身に危険が及ばないと感じ取った時には、恐怖心に代わって好奇心というものが現われます。ある程度進化した生き物にとっては、更なる種の発展を促すための本能に基づく探索であるとも言えましょう。
 ここに挙げる小鳥たち、ヒバリ、タヒバリ、ハクセキレイ、キセキレイは、私の知る限り普段は結構に警戒心の強い野鳥たちです。にもかかわらず、目と目が合い、何かを知ろうと探り合った時を、私は持つことがありました。バードウォッチヤーなら誰でも経験のあることだと思いますが・・・。 “小鳥たちの好奇心” の続きを読む

ちどりあし? 「コチドリ」

昔からのおなじみ

 雑食性の夏鳥です。
 万葉集に「近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ」と柿本人麻呂に詠われており、清少納言の枕草紙にも「千鳥いとおかし・・・」とあるように、千鳥は昔から身近なもののようです。シギの類と合わせると、何がチドリで何がどういうシギやら、正直、私には分かりません。 “ちどりあし? 「コチドリ」” の続きを読む

きらめきの中で一休み 「クサシギ」

 5月上旬の多摩川中流。離れた中洲の向こうの瀬で、野鳥の小さな群れがくつろいでいるのを見付けました。初夏の陽光のきらめきが、無数のシャボン玉のようにあたりを取り巻いており、ファインダーの中は四角に切り取られた夢の世界のようでした。望遠レンズの醍醐味は、こういうところにもあります。

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霜の朝のソロ 「ダイサギ」Ⅲ

あした霜おく

 多摩川の中流の4月上旬。早朝。土手の草々にはたっぷりと霜が降りています。霜の乗り方が草によって違うようです。私は野草の名前をほとんど知りませんが、まるでテンプラの衣のようにまぶされてるもの、干し芋のように薄く粉が吹いているようになっているもの、まるで霜を乗せていないもの、といろいろです。草たちの種類によるのか。ちょっとした風の通り道の違いからそうなるのか。誰かに教えてほしいものです。いずれも5:40頃の表情です。

 

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アユの遡上を巡って Ⅴ-2 「饗宴」

 このところ毎年500万匹を超すアユが遡上していることからも、かつて「死の川」と呼ばれた「多摩川」は見事に蘇ったと云えそうです。ことに昨年(2018)の遡上は994万匹に達したということで、多摩川にそれだけのアユを養う力があるか」が議論になり、「少し間引きが必要なのでは」という見方もあったそうです。
 自然の摂理というものか、こうしたことに対応するように、昨年のアユを捕食するものたちの活動も大仕掛けのもので、私はその様子を「アユあの遡上を巡る宴 Ⅴ」としてブログの記事にしました。
 今年もアユの捕食者たちの活動は「饗宴」といった豪華さです。それから逆に、今年の遡上もまた相当のものだろうと期待されるわけです。

上流を目指すカワウたち

 日の出から間もない頃、陽の光を右後ろに受けて、整然としたカワウの群がいくつも通り過ぎます。6月18日 5:03  “アユの遡上を巡って Ⅴ-2 「饗宴」” の続きを読む