生命は なぜ 生きようとするのだろう

「砂漠は生きている」というウォルト・ディズニーの映画があった。「地球は青かった」とユーリ・ガガーリンは宇宙空間から報告した。
「空に飛鳥なく地に走獣なし」と詠われているような乾燥の大地にも生命は躍動している。一方、この球体の7割を占めて全体を青く輝かせている海洋は生命のスープである。

生命の逞しさ

その地球は、かつて数億年もの間、全球が凍結して真っ白く輝き続けていたことがあるという。そうした数億年をも生命の一部は耐えて生き延び、さまざまに分かれ、満ち満ちた。
あやふやな単細胞らしきものから発展した、ふてぶてしいほどの、この逞しさはどうだろう。
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名前の由来は・・・「番」?「晩」? 「オオバン」

真冬のあさまだき、東天が紅く輝き始めるころに多摩川のへりに立ちますと、まだネオンや街燈の色を映してちらちらしている水面に、なにやら生き物が居る気配がしました。
何だろうと怪しみながら撮ったものがこれです。原版のままだとほとんど何も見えませんから、明るさを増して示すように調整したものです。

しだいに明るくなってきますと・・・ “名前の由来は・・・「番」?「晩」? 「オオバン」” の続きを読む

これからへの想い・・・軽・小・環・低

1 地域内循環型経済と自立のためのキーワード
2 転と楽
3 軽
4 連
5 連の発展
6 まとめ

1 地域内循環型経済と自立のためのキーワード

かつて、日本経済が絶好調の頃に「日本列島改造論」が言われ、高速道路、新幹線、海峡をまたぐ大橋、空港、原子力発電などを整備することで、都市部と地方とをスムースに連結し、そうすることで産業や人口の分散が図られるだろうと期待された。「重・大・速・高」がモットーとされたと言えそうである。各地の公共事業などは活況を呈し、「バブル崩壊」の前夜には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という日本礼賛の書がベストセラーとなった。
しかし、都市と地方を直結することは、さらに容易に人々を大都市に吸い上げることにもなり、新興国の追い上げやグローバリズムの進行が逆風となって、日本は「ひよわな花」と見られるようになり、社会は失速してしまったとされる。

失速や停滞ではなく、その向こうの安寧。一定の特色ある地域がその圏内で完結的に循環する方法はあるかとしたときに、筆者のような素人にもまっさきに浮かぶのは、かつての列島改造論とは真逆の「軽・小・環・低」といったモットーであり、「」…考え方の転換と、「」…そうした生き方に楽しみを見い出せるか、といった素朴なキーワードである。 “これからへの想い・・・軽・小・環・低” の続きを読む

「鳶が鷹を産んだ」は不公平な比較 「トビ」

トビ」は誰にもおなじみの猛禽類です。タカ目タカ科に属し、体長60cm、翼長160㎝ほどにも達する大型の鳥です。
杭などに止まっている姿は濃い褐色のかたまりに見えますが、大気に乗って滑空しているトビを下から見上げると、羽に白色の斑が微妙に散らされていて、なかなか渋いものがあります。挨拶してもらいましょう。

真上を失礼! 驚かしたかな

「トンビにアブラゲさらわれた」のとおり雑食性であり、主に動物の死骸や生もの(残飯)を食べるので、狩猟一本で生きる他の勇猛なワシタカ類に比べて一段落ちるという印象があるようです。それで「鳶が鷹を産んだ」という言い回しが生まれたのでしょうが、はたしてこれは妥当なのでしょうか。 “「鳶が鷹を産んだ」は不公平な比較 「トビ」” の続きを読む

目の前の課題

1 「騎馬戦型社会」から「肩車型社会」への移行
2 「孤独死」と「一人死」と
3 常態への軟着陸

自分たちの山と土と海。これらとまともに付き合うことを、次第に私たちはないがしろにしてきた。
百坪(330m)の畑があればヒトは飢え死にしない」と、私たちの祖先はいみじくも言い切っている。そのへその緒を切るようにしてふわついていると、必ず不安がはびこって来る。それは次のように極端な課題になって私たちを追い詰めてきている。

 「騎馬戦型社会」から「肩車型社会」への移行

少子高齢化の勢いはすさまじい。昭和40年(1965)には10.8人の現役世代が1人の高齢者を支えている「神輿型社会」であった。平成27年(2015)には2.3人の現役世代が1人の高齢者を支える「騎馬戦型社会」になった。これが2065年ともなると、1.3人で1人を支えなければならない「肩車型社会」に移行すると予想されている。 “目の前の課題” の続きを読む

置いて行かれている国土を見る

1 概観
2 農業
3 林業
4 漁業
5 まとめ

1 概観

別の稿で触れたとおり、昭和30年代の半ばごろから、我が国では世界史上でも稀とされる経済成長が長く続き、第一次産業を担う農山漁村地域から都市部へと若者たちを吸い上げることになった。
こうしたことが地域の生活基盤と経済活動に支障をきたすに至り、すでに昭和45年(1970)にはいわゆる「過疎法」が施行され、以降、3回にわたって改訂を重ねて、「予防」から「自立」というふうに対策の力点が変わってきているが、見るべき効果をあげているとはいいがたい。

過疎地域」とみなされるには、人口要因、財政要因、公共施設整備状況などを総合して細かく規定されている。たとえば人口については、昭和45年(1970)から平成27年(2015)までの45年間に32%以上の減少をきたしているとか、あるいは人口減少率は27%以上にとどまっているものの、住民の高齢者率が36%を超えるようになっている・・・とかである。 “置いて行かれている国土を見る” の続きを読む

空飛ぶ子ネズミのように見えながら・・・ 「セッカ」

長めの尾を入れても12㎝といいますから、スズメよりも一回り小さな小鳥です。小さな体が、淡い褐色の下地に黒褐色のまだら模様という地味な装いをしているので、ススキの茎に止まって朝風に羽根が逆立っている様子などは、いよいよ心細く見えます。

よくとおる澄んだ声で「ヒッ ヒッ ヒッ」と鳴きながら上昇し、「ジャ ジャ ジャ」とすこし濁った声で下降します。小刻みに羽根を動かしていますが、その割に、空気をつかんで飛翔するという感じではなく、おおぎょうに言うと、溺れているという印象を受けるほどです。 “空飛ぶ子ネズミのように見えながら・・・ 「セッカ」” の続きを読む

平和のための創造

1 日本の若者たち・・・うかがえる完全主義
2 日本国憲法の創造性
3 JICAの実績を継ぐもの
4 まとめ

1 日本の若者たち・・・うかがえる完全主義

毎年発行される内閣府からの「子ども・若者白書」「少子化社会対策白書」に見るように、日本の若者はこのところ、自己評価が低く、社会を厳しいと受け止め、成功の保証のないことに手を染めるのを避けたがり、将来を悲観的に予測する、といった傾向が諸外国に比べて高くなっている。 “平和のための創造” の続きを読む

「カッコウ」をめぐる「オナガ」「モズ」「ホオジロ」の物語

生命の種のありようの変化、つまり「進化」というものは意外に速く進行することがあり、ともすると私たちの身近に目のあたりにするチャンスすらありそうなのです。

1 話は「遺伝か環境か」というところから始まる
2 「カッコウ」の登場
3 「オナガ」の登場
4 「オナガ」の防衛
5 「オナガ」復帰の兆し
6 まとめ

1 話は「遺伝か環境か」というところから始まる

両親から受け継いだ遺伝子の配列そのものは生涯を通して不変であると考えられます。ところが、例えば一卵性双生児は互いに全く同じ遺伝子情報を持っているのですから、一方が統合失調症を発症したら相方も100%発病するかというと、これがそうではないのです。50%ほどは発病しないという事実がかなり前から知られています。
遺伝子が生物を規定する力は強大であるけれども、必ずしも運命を決定するものではなく、環境が作用するところも大きいことを示しています。
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現在の若者たちはどのように育つか

戦後ほぼ一貫して育まれ続けた社会通念と構造。これが多分、誰もが予想しなかったような速度で変遷した。1980年代の終わり頃からであるという。
その原因を乱暴に要約すれば、その頃から決定的になった「IT技術の爆発的な発展普及」と「新興国の台頭」とであろう。ITの発達によってもたらされる情報をてんでんに拾うようになったことで人々の価値観と欲望は多様化し、消費をするにあたっては、情報がピンポイントで得られるようになっただけに、何をどのように選択するのが賢いか、というパフォーマンスへの評価が次第にマニアックに厳しくなってゆく。

1 終身雇用制の瓦解がもたらしたもの
2 目標とされる成人像の変化
3 揺れる学校生活
4 まとめ

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