朝の大移動 「カワウ」「ダイサギ」


真夏の多摩川中流の日の出は5時20分前後です。

しらしら明けの頃、残った星がいくつか瞬いて見える頃はさすがに涼しく、たっぷり夜露を乗せた草々をかき分けながら岸辺に立つと、下流から上流へ、つまり東から西へ向かう「カワウ」と「ダイサギ」の大群が見られます。この時期、伸び切った雑草がけっこう硬く横に張り出しているので、これらに弾かれて川の中に転がり落ちないように注意する必要があります。 “朝の大移動 「カワウ」「ダイサギ」” の続きを読む

キアゲハの姉


秋の彼岸の入りの日(9月20日)に、菜園に「ナバナ」と「ノラボウ」の畝を作りに出かけた。

 そこを曲がれば私の畑が見えるという小道の角、3輪の「ヒガンバナ」が燃え上がっているところで立ち止まった。花の上で1頭の「キアゲハ」が羽を広げたり閉じたりしながら、身を震わすようにしていたからである。
 「アゲ科」の蝶は、写真に撮るのは運次第といったところがある。あちこちの木や草や花に興味を示しはするものの、止まることはあまりせずに、かなり速く広く飛び続けるからである。
 野鳥については「まず1枚を撮れ」とよく言われる。野鳥をファインダーに入れたとき「もうちょっと良いアングルを」と欲張っていると、相手がいなくなってしまうことが少なくない。チャンス。キアゲハについても通用しそうである。

“キアゲハの姉” の続きを読む

ハチドリのような蛾 「ホウジャク」


チョウはヒラヒラ トンボはスイスイ?

 蝶は「ヒラヒラ飛ぶ」といわれ、トンボは「スイスイ飛ぶ」といわれます。たしかに「アゲハチョウ科」を代表として、チョウの多くはひらひらと飛びます。
 が、どこにも変わり者は居るもので、ヒラヒラどころか「ブンブン」と飛ぶチョウも居ります。例えば「セセリチョウ」は、頭大きく、胴太く、ずんぐりしています。羽ばたきも速く、ブンブンにふさわしく素早く飛行します。
 ヒラヒラ派の代表として「キアゲハ」に、ブンブン派の代表として「イチモンジセセリ」に登場してもらって写真を見てください。対照的な特徴が一目瞭然です。 “ハチドリのような蛾 「ホウジャク」” の続きを読む

アメリカは癌に変身しつつあるのか

 2017(平成29)年12月、筆者は「ヒトの正体」というカテゴリーに「アメリカはどうして銃の規制ができないのか」「狂気の核」という二つの記事を書き、現職アメリカ大統領は、「巨大水爆」を凌駕するような衝撃を、わずか「140語のツイート」で続けざまに世界に発信することを発見(発明?)してしまった「自己愛性人格障害者」ではあるまいかとした。ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領が就任してから、およそ10ヶ月後のことであった。 “アメリカは癌に変身しつつあるのか” の続きを読む

清流の宝石 夜明けの決闘 「カワセミ」 Ⅱ


多摩川中流の明け方。街灯などの光から遠ざかれば、けっこうな星空が見られるころ。

 東天の雲が刻々と色を増して輝き、やがて上流へ向かうダイサギやカワウの群が上空を通り過ぎます。雲と水鳥たちの様子に二度と同じものはないので、いくら岸辺に通っても飽きることがありません。

 そんな晩秋の朝、岸辺を離れようとしたとき、すぐ脇を定規で引いたように「ツー」と青い線が引かれていくのを2・3日続けて見ました。「カワセミ」です。   そのカワセミは、水面に張り出している灌木の一本の枝に、3日続けて止まりました。お気に入りの枝のようです。

“清流の宝石 夜明けの決闘 「カワセミ」 Ⅱ” の続きを読む

必殺の妖しさ 女郎? 上臈? 「ジョロウグモ」


ジョロウグモ」は、住宅街の中のちょっとした公園にもよく見られる馴染みの深いクモです。秋が深まるにつれてメスがぷっくりと大きくなり、黄と緑と鮮紅色の取り合わせが妖しい迫力を放つようになりますから、初めて見てギョッとし、名前を知ると生涯忘れない人が少なくないだろうと思います。

獲物よ かかれ

“必殺の妖しさ 女郎? 上臈? 「ジョロウグモ」” の続きを読む

私がボールを投げられないわけ


その頃(昭和30年代)、フィールド競技で使われる「ヤリ」は一本の木を削り上げて作られたもので、上手に投げて、正しく飛んで、金属のキャップを被せられた先端から土に刺さらないと、折れてしまうということがあった。少なくとも、私たち学生が手に入れることが出来る質のものではそういうことがあった。

 私は陸上部に属していたが、トラック競技はからきしダメ。といって、フィールド競技の投擲なども苦手。部活は勝手にぶらぶらできる気晴らしの時間と考えていた。
 ところが、その年にも「東日本医科学生陸上競技大会」というのが新潟市の「白山公園」のグラウンドで催されるという通知が私たちの陸上部にも届いたときに、「槍投げ」と「円盤投げ」参加する者として、主将(同級生)が勝手に私の名前を書き入れてしまった。日頃、「ヤリには絶対に手を触れるな!1日で折られちゃうからな」ときつく言っていたのに、どういうことだったのだろう・・・。この同級生は、皆から「あいつは出世するぜ」とよく噂されていた。案の定、やがて医学部長になり、さらに学長になって大きな勲章をもらった。私に使ったような手を繰り返したものに違いない。 “私がボールを投げられないわけ” の続きを読む

水無様 愛嬌たっぷりな女神様のお話


信州木曽町の氏神は女神様で「水無様」と呼ばれております。

 木曾川に沿って並んでいる家々から急な坂を登って山に入り、さらに北に向かって開かれている山道を行くと、杉や檜の巨木がうっそうと繁った鎮守の森があります。二頭の狛犬と、落し水にいつも濡れながら爪の中に硬玉をかかげている竜を門番にして、女神様はここに住んでおられます。霊気に満ちた結構なお住まいを「水無神社」といいます。

“水無様 愛嬌たっぷりな女神様のお話” の続きを読む

切れ易いヒト+車+高速=移動地獄

1馬力

 少年だった頃、私は兄たちと一緒に1頭の馬を飼わされたことがある。敗戦後の食糧難を乗り越えるためには、子供たちを一丸として農作業に当たらしめるのが上策であるとう父の思い付きからである。
 この馬がひとたび暴れ出すと、私たちには命がけであった。騎乗しているときに暴れられたら、一緒に砕ける覚悟で屏風のように立ちふさがっている崖に向えと教えられた。1馬力でさえこれである。
 馬と自動車については、「人の正体」というカテゴリーの中で「大きな異常に何時しか流されて・・・」「馬に嚙まれて川また川を渡る」などという記事に書いたことがあるけれど・・・

60馬力

 この頃の車は軽自動車でさえ60馬力ほどのエンジンを搭載している。ハンドルの前に60頭の馬が黒々と密集して自分を牽引している光景を想像する。馬蹄の響きや汗の臭いだけでも怖ろしい。策具で繋がれた60頭の馬が学童の列に暴れ込んだとする。たくさんの子供たちが犠牲になるのは当たり前であろう。 “切れ易いヒト+車+高速=移動地獄” の続きを読む

空に心を遊ばせる


野鳥を観察しようとしていると上に視線が向くことが多くなり、たとえば、はるか上空を行く旅客機などはうっとうしく感じるほど頻繁に目に入って来るものです。雲がそれよりも多くなるのは言うまでもありません。

不定形のものを見たとき「何かに似ているのでは?」という思いが湧くのは、私たちの本能ではないかと思うことがあります。ヒトの正体の一つは、物事の共通点を探し出しては分類したり意味づけをしたりすることでしょうから。

それこそ「そっくりさん」の雲がウェブ上のサイトなどに載せられていることがあります。ところがたとえば、火炎を噴き上げている「ゴジラ」の姿そのものに盛り上がっている入道雲などを見ると「え、ほんと、怖い」とちょっと引いてしまいたくなるのは、私だけではないだろうと思います。 “空に心を遊ばせる” の続きを読む