春の河原で奇妙な にらめっこ 「ヒバリ」」Ⅱ

 「ヒバリ」は東京版レッドリストで「絶滅危惧種Ⅱ類」に指定されています。ヒバリが生きてゆくのに必要な野原が失われてゆくにつれ、最近、ことに東京都では数を減らしているのだそうです。

ふいの出会い

 2019年2月20日(水)は、抜けるような晴天にめぐまれ、風もなく、気温が18℃まで上がるという4月並みの陽気になりました。
 私が多摩川の河川敷に付いたのは午前8時半頃でしたが、靄が軽く残っていて、堤の上の淀みで4人のお嬢さんたちがボートの練習をしているのを、遠くから逆光でとらえると、こんなふうになかなかの雰囲気です。
 失礼ながら無断での写真ですが、4人はボートを漕ぐ時間よりも笑い合っている方が多いようで、ラフティングに備えての猛訓練というよりも、女子大生の「多摩川同好会」といった雰囲気でした。 “春の河原で奇妙な にらめっこ 「ヒバリ」」Ⅱ” の続きを読む

宿命のライバル 「カラス」と「トビ」

カラス登場

 「カラス」の賢さとしぶとさは、しばしば不気味がられるほどです。
生ごみをカラスに荒らされないようにする唯一の方法は、「おはようございます。ご機嫌いかがですか」とか「こんにちは。仲良くしましょうね」と、にこやかに挨拶してやることだそうです。すると、お隣の生ごみはさんざんに荒らされても、うちの生ごみは無事なのだそうです。
 筆者も、こんな話を聞いたことがあります。

 日本の商社で働いていた或る英国人の青年が、マンションの近くでカラスが生ごみを散らかしているのを見たので、コウモリ傘の先を向けて「Bang !Bang!」と警告しました。そうしたことを数回繰り返した或る朝、部屋のバルコニーの端に1羽のカラスが止まってしきりにこちらを窺っている様子です。人差し指を伸ばして「Bang! Bang!」と警告しました。すると次の日には3羽、次には7羽10羽と増えてゆきます。ついには隣のマンションの屋根にまでズラリと並ばれることになり、ある日、出社しようと坂道を下っていると後ろから帽子を跳ね飛ばされたそうです。あれやこれやで、日本のカラスは気味が悪い(?)と言って、青年はシンガポール支社への転勤を願い出たそうです。 “宿命のライバル 「カラス」と「トビ」” の続きを読む

のっそり 「ノスリ」

寒風吹き抜ける枝の上で

 「ノスリ」はトビよりも一回り小さい猛禽類です。猛禽類ですが少し変わったところがあり、他の鳥を狙うよりもネズミやヘビやモグラの方を獲ることが多いそうです。
あまり積極的に鳥を追うことがないので、昔の鷹匠たちには「役立たず」とさげずまれていたようですが、これはヒトの都合による一方的な評価であって、ノスリには申し訳ないことです。
 ネズミなどを獲るのは名人で、長時間ひっそりとチャンスを待っていて、「野をする」ように急襲することから「のすり」と呼ばれるようになったという説があります。また空中でホバリングしていて逆落としに襲うことも有名です。 “のっそり 「ノスリ」” の続きを読む

こ気味いい 「コサギ」

白の明快さ

 日本にいるシラサギを大きさの順に並べると、ダイサギ>チュウサギ>コサギ>アマサギということになります。ああそうですか、といった名前の付け方ですね。
ダイサギアオサギコサギ、それにカワウに集まってもらいます。大きさの案配がだいたい分かると思います。
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さえずらないヒバリ 「タヒバリ」

さえずらない ヒバリ

 冬の野原、ことに河川敷を歩いていると、10メートルほど先の枯れた草むらから褐色のものが飛び出して、まっしぐらに低い高度で対岸に向かうか、行方の草むらの中に突っ込んで見えなくなるか・・・、しばしば出くわす光景です。木の枝に止まるということをせずに、褐色のものが枯草に紛れ込むのですから、正体をしげしげと見られるということはあまりないと思います。向こうさんは草のあいだから何時だってこちらをお見通しというわけですから、ヒトとコトリの大きさの違いからとはいえ、どうも分の悪いことです。
 ある日、3〜4メートル先の藪の中がチラリと動いたような気がして、・・・と、向こうさんは何かによほど気を取られていたのでしょう。居ました。両方とも「おっ 何?」という具合でした。 “さえずらないヒバリ 「タヒバリ」” の続きを読む

名の由来を知ったら もう忘れない 「キンクロハジロ」

金・黒・羽白 

キンクロハジロ」は冬によく見られるカモの仲間です。はじめてキンクロハジロと名前を教えられたときは「え、なにそれ」と聞き直してみたいほどに奇妙な感じを受けます。けれど、その由来はなんということはなく、金色の目、黒い体、白の目立つ羽、ということから「金・黒・羽白(きんくろはじろ)」なのです。もう忘れようもありません。たしかに、翼を広げると白が目立ちます。オスに登場してもらいます。

 そして、ただのカモではありません。水の中に潜って採餌します。普通は2m、15sec前後ですが、10mの深さに潜水できるという観察があるようです。カワウのように魚を捕まえるほどのスピードはありませんが、水底に潜むシジミなどの二枚貝は大好物のようで、殻ごとバリバリと食べてしまうというカモばなれしたところがあります。頑丈な嘴をしてますね。次はメスです。

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トビよ

 

トビよ 

 

  トビよ
  お前の脚に絡んだものを

  太陽にとどけてくれ
  
  どこまでも飛んで
  どこまでも飛んで
  翔ぶほど 輝きを増す中へ
  さらに翔んで

  伝えよ
  蒼い惑星は 誰に滅ぼされたかを

  トビよ
  われわれを呪うのではなく
  憐れんでくれ
  いつまでも

  トビよ
  わたしも直ぐ後ろから行く
  その終焉の輝きの中へ

 

低木の下でつつましく・・・ 「アオジ」

 冬。たとえば公園に植えられたサツキの下で、カサリコソリという音がします。気をそそられて覗きこみますと、スズメほどの大きさの小鳥が、動きを止めてこちらを見上げていることがあります。シャイな小鳥で、向こうから人前に姿を見せるということは、まずありません。
 といって、ヒトを見るなり間髪を入れずに逃げるというのでもなく、よく言われるように「たいそう警戒心が強い小鳥だ」とは私としては思いません。
 この機会に挨拶してもらいます。 “低木の下でつつましく・・・ 「アオジ」” の続きを読む

ぴょんと潜って ぴょんと出る 「カイツブリ」

 たとえば、「昭和記念公園」には「水鳥の池」と呼ばれているバードサンクチュアリがあり、ことに冬にはカモの類が多く見られます。カモたちはグループやペアを作って行動するのが普通で、小春日和の昼などには、いっせいに羽根の中に首を入れて休んだりしているものです。
 そうした中に、1羽だけでいるので却って目立つのですが、小さくて丸っこいシルエットが、ひょいと消え、ぴよんと顔を出すことを繰り返しているとしたら、それはおそらく「カイツブリ」でありましょう。挨拶してもらいます。

 忙しいけど 元気してまーす!

 しきりに潜りを繰り返すので、表面の羽根が水滴だらけですが、綿毛のような細かい羽毛が厚く用意されていて暖かそうです。カイツブリの仲間のうちでは一番小さく、チャボほどの可愛らしい水鳥です。

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カモネギどころか・・・「カルガモ」

 もともと「カモ」という水鳥は、ヒトの近くに居ながらおっとりしたところがあって、「デコイ」などのオトリに容易に騙されやすくもあり、捕まえやすい獲物だったのでしょうか・・・、「カモがネギしょって来た」「あいつをカモッてやる」などと使われるようになるほど、私たちから軽く見られているところがあります。
 そうでしょうか? けっこう貫禄のあるところで「カルガモ」に挨拶してもらいます。 “カモネギどころか・・・「カルガモ」” の続きを読む