目次
1 ホウジャクの花めぐり
2 蜜泥棒?
3 キアゲハの花めぐり 蝶たちは盗蜜者?
4 その他のチョウの花めぐり 盗蜜?
5 クマバチの花めぐり 盗蜜?
6 植物はそんなに間抜け?
7 華麗な蜜泥棒 ホウジャク
8 この大絶滅時代を
1 ホウジャクの花めぐり
また「ホシホウジャク(星蜂雀)」の登場です。
止まっている時(翅を休めているのを見かけることは滅多にないのですが)は、ありきたりの蛾としか言いようがなく、不気味に迷彩されたデルタ翼の戦闘機のようにずんぐりと不機嫌そうに見えます。その通り、ホウジャクは蛾の一種なのでした。
これが一転、蜜を求めて巡るとなると!
「公園の生垣でハチドリを見た」と騒がれることがあるように、見事なホバリングとホバリングを折れ線のように組み合わせて、腰の黄色のマークを目立たせながら、あたりの蜜を独り占めしたいとばかりに弾むように舞います。初めてホウジャクに気付いた人が、「ハチドリ?」と思ってしまうのも無理はありません。
秋口になって、アベリア、ヘクソカズラ、カクトラノオといった野花が咲き揃うようになると、ラッパ型をした花の奥に分泌されている蜜を吸い上げようとホウジャクたちは夢中になります。
この動画中の花群は「カクトラノオ」というのだそうです…茎の断面が四角(シソ科に共通)で、花房の先がピンと立てた虎の尾のように見えることから「カク・トラノオ」。
ホウジャクは、長く伸ばした口吻を迷うことなく差し入れて蜜を吸い上げ、次から次へと移ろって行きます。改めて気付いてみると、脚は行儀よく折りたたまれていて、身体が花弁に触れることが全くありません。
見ているうちにだんだんと気になってきます。
花と昆虫とは「受粉」と「蜜」とを介して、かなり厳密な「ウィン・ウィン関係」にあるのだと教えられてきたのに・・・これはどうだ。
ホシホウジャクは花粉を運ぶことなく、ちゃっかりと、花から沢山の蜜をせしめているように見えますが?
“蜜を採る? 盗る?” の続きを読む
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。