ミサゴ 大きすぎた獲物にてこずる

「ミサゴ」はトビほどの体格をした猛禽類ですが、白さが映えるせいか翼が大きく見え、とりわけ、羽ばたきがしなやかに見えます。
「野鳥」のカテゴリーの中で、少し前に紹介しました。
https://row-bow.tokyo/wild-birds-2021-12-30/

ホバリングの華麗さ 長い待ち時間

水中の魚を襲うタイミングを計るための停止飛行(ホバリング)の華麗ぶりが有名ですが、その一方で、これという枝に止まったまま一時間も二時間も獲物を待ち続けるという辛抱強さを見せることがあります。
対岸からの撮影のために、光学ズームを超えて電子ズームに入っていて、あまり鮮明な画像を得られてはいません。ここに写っているミサゴは、なんだかふくれっ面をしているように見えます。

おなじ猛禽類のノスリも、小動物を捕らえる際にホバリングを使えるというところと、枝の一点でじっとチャンスを待ち続けるという習性とがミサゴに似ており、そうしたせいか、ミサゴとノスリがあまり離れないところに止まっていることがあります。互いに無視し合うようにひっそりと・・・おなじ樹にたたずんでいることさえあります。

近くも近く、ミサゴの後ろに、ノスリに特有のカーキーなベスト風の胸の模様が見えます。

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重さ比べ エナガ・メジロ・シジュウカラ

多摩川のススキの群生

冬の東京近辺は、北陸地方に住んでいる人たちには申し訳ないと思われるばかりに、天候に恵まれます。この年も正月を挟んで小春日和が続きました。

多摩川中流の、とある堰を乗り越えて落ちる流れの中で、3羽のカワウと数羽のセキレイが、贅沢な光のきらめきを楽しんでいるのを見掛けました。
カワウたちがのっそりと日向ぼっこをしているのと対照的に、どんな餌を探しているのやら、リズミカルにステップを踏み続けているのはキセキレイです。

周囲の河原一面に広がっている尾花の連なりは、ススキのものです。
本来、ススキは乾いたところを好んで、株ごとに根を縦に張るので、茎は株立ちになって中心から周囲に広がるように伸びるのですが・・・画面を見るかぎり、多くの茎が互いに垂直に立ち上がっているので、「オギ(荻)じゃないの?」と疑いたくなるほどです・・・。

けれど、この群生は間違いなくススキなのです。
ススキは刈り取りに強く、刈れば刈るほど増えるといった特性を備えていますから、思えば、まとまった雨が降るごとに状況が一変する河原こそが、ススキのしぶとさが発揮される舞台であるのでしょう。
目の前のススキの茎たちが垂直に伸び立っているということは、先年の夏から冬にかけては、河原の土や石がごっそり持って行かれるというような大雨が無かったからだとして良さそうです。
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大きな白い翼 しなやかな羽ばたき    「ミサゴ」

鮨の始まりになったという伝承

トビほどの大きさをした猛禽類の一つに「ミサゴ」という種類があります。別名を「ウオタカ」と呼ばれることがあるように、魚を獲物にしています。
魚を捕らえるために水の中に突っ込むときの「ビシャ!」という音が変わって「ミサゴ」呼ばれるようになったという説があります。
こんな伝承があります。

・・・漁師が、ミサゴが食べ残して隠した魚を見付け、ご飯に乗せて食べたところ、微妙に発酵していて大層に美味しかった。これが鮨の始まり・・・。

生鮮のものをネタにしている「握り寿司」ではなく、少し発酵(?)させた「ばってら鮨」や「松前鮨」などのヒントとなったのかも知れません。
それで、全国の寿司屋さんを調べると、「みさごずし」という看板が一番多いのだそうです。

多摩川の中流の堰で

多摩川には幾つもの堰(せき)があります。飲み水の確保や潅漑のために、江戸時代に作られたものも少なくなく、例えば、「羽村の堰」で取り入れられてはるばる江戸の街に向かった「玉川用水」は、その設計の巧みさと難工事とが「玉川兄弟」の偉業として有名です。

この晩秋、多摩川中流の堰に拡がった浅い池の対岸に、私は一羽の猛禽らしい姿を見付けました。枝の上で、何かをつついているようです。
初めは「ノスリ」か「オオタカ」かな、と見当を付けました。けれど、全体の色味の印象から、どうも違うようだと感じました。

冠羽 白くて大きな翼

対岸の白っぽい点は結構に遠くであったので、130倍に近い超望遠でアップしましたが、最近のカメラは強引なまでにブレ防止機能が組み込まれているとはいえ、手持ちでは、さすがにぐらぐらして長くは持ち堪えられません。私の腕力では・・・。

けれども、一部を除いては純白の胸と脚、頭には冠羽(冠状に逆立った羽毛)が認められ、頑丈な脚で枝に押し付けているのは大きな魚(おそらく鯉)であることが判りました。

大きな獲物を丸いものの上に踏まえているのは難しいらしく、羽ばたきを繰り返してバランスを取ろうとしています。手を焼いているというよりも、楽しんでいるように見えました。
その羽根の裏の色。これで決まり。
「ミサゴ」です!

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キツツキの異端児 ユニークさゆえの汚名 アリスイ

河川敷での出会い

多摩川の河川敷には、大小の「クルミの木」が流れに沿うように並んで生えている処がよく有ります。
大雨が降って水かさが増した時に、実が下流に運ばれて芽吹くのでしょう。太った実がたわわに付いているのを見るのは楽しいものです。

晩秋のある晴れた日、中流の河川敷の藪を分け行って、ひときわ大きなクルミの木に近付くと、数羽の「ガビチョウ(画眉鳥)」の群れに出会いました。名前のとおり、目の周りのくっきりした隈取が際立った特徴です。写真を一目見れば頷けるでしょう。
   ガビチョウ
聞いている方がくたびれるほどの大声で長々と鳴き続ける鳥ですが、その割には低い藪の中を好んで、しかも用心深く、この時もそそくさと移動して行ってしまいました。

と、はじめは枯葉が揺れたのだと思いました。
クルミの木の下枝の向こうで枯草色のかたまりが動き、その中に目玉らしいものが見えました。
初めて見る野鳥でした!

  アリスイ 横向き大きさはガビチョウほど。つまり、スズメを一回り大きくした見当。頭から尻尾まで徹底して地味づくし。地味も地味。失礼ながら、先ず連想したのがワラジ(草鞋)。それも、使い古した手ぬぐいを裂いて編み上げたワラジでした。

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御馳走を探す小鳥たち キュート派3 ヤマガラ

人なつこく ユーモラス

散歩の途中の公園や雑木林などで、スズメほどの小鳥がそこかしこと飛び動いているのが目に付き、黒いマフラーと茶色のマエカケが目立つようであれば、それはほぼ間違いなく「ヤマガラ」です。

「エサ台にピーナツを置いていたんだけど、だんだん近寄るようになって、とうとう手の平から持っていくようになったんだよ」という話を聞くことがあります。
ヤマガラは、とても人なつこいのです。それに、仕草や表情にどこかユーモラスというか剽軽というか、特有な雰囲気が感じられるものです。写真を見ただけでも分かるのではないでしょうか。

人なつこいどころか、ものすごい芸をこなしているのを見たことがあります。

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御馳走を探す小鳥たち キュート派2 メジロ

きりっと締まったウグイス色 真っ白なアイリング

メジロは、ウグイス色の小さな身体がきりっと締まっており、真っ白なアイリングをトレードマークにしています。

ヒナを育てる時には虫を捕らえますが、そのほかはかなり徹底した採食主義者で、ことに花の蜜が大好物です。庭のちょっとした生垣や小さな公園の花木を訪れ、しかも人をあまり怖がらないので、私たちには馴染みの深い野鳥の一つです。

つまり、甘い物が好きなのです。花蜜の他、熟し柿、ミカン、オレンジジュース、砂糖水などに集まることから、「庭に小鳥を」となると早くから訪れることが多く、一番の人気者になりましょう。「梅に鶯」ならぬ「梅に目白」なのです。

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御馳走を探す小鳥たち…キュート派1 エナガ

小枝を渡ってゆく綿毛

白っぽい綿毛のかたまりのようなものに、鉛筆の芯ほどのクチバシをチョンと付けて…群れのそれぞれが小首をかしげ、羽を一閃させては、あちらと思えばもうこちら、「チュリリ・ジュリ・チュリリ〜」とつぶやきながら、それぞれに忙しげに枝から枝を飛び移ってゆく……かわいいのです。

体長13.5㎝というからスズメと同じほどの大きさなのですが、重さはスズメの24gに対して8gという3分の1の軽さ。8グラムといえば、一円玉8枚ほど!
綿毛のかたまりから突き出している尻尾の長さが体長の半分を超える7.5㎝もあって、これが小さなヒシャクに付いている長い柄のように見えることから「エナガ」……軽いわけです。 “御馳走を探す小鳥たち…キュート派1 エナガ” の続きを読む

とことん地味ずくめ タヒバリ Ⅱ

タヒバリはセキレイの親類

姿と動作にそれが現われています。
セキレイと同じように、シルエットがスマートで、腰と尾をリズミカルに上下させ、飛ぶときは波を打つような飛跡を残します。

けれど、セキレイたちがどれもすっきりと色分けして装っているのに、タヒバリは徹底して地味づくりです。

そもそも「田雲雀」という名前は、「ヒバリに似た小鳥だがよく田んぼで見られる」ということから付けられているのです。

水辺だけに頼らず、野原や田畑でも安心して動きまわれるようにカモフラージュに専念したので、だんだんに同じような場所に住むヒバリなどに姿が近づき、セキレイからは離れていったのかも知れません。 “とことん地味ずくめ タヒバリ Ⅱ” の続きを読む

渓流の若衆 ハクセキレイ Ⅱ

渓流の若衆

日本の水辺によく見られるセキレイには、キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイの3種があります。全体をちょっと見の印象がそれぞれ、黄、黒、白であることからの上手な呼び方で、写真のように見分けは容易です。

どれも流麗な小鳥たちですが、キセキレイには「渓流の貴婦人」と呼ばれるにふさわしい落ち着いた雰囲気があり、セグロセキレイには「渓流の鞍馬天狗」と呼ばれても良いような押し出しがあります。
三番手のハクセキレイは他の2種よりもわずかに小さく、白と黒の羽色の振り分けにも個体によるバリエーションがかなりあるようです。水辺をけっこうに離れた場所でも尾を上下に振りながら盛んに活動しているので、私はハクセキレイを「渓流の若衆」と呼んでいます。

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渓流の鞍馬天狗 セグロセキレイ Ⅱ

日本固有種

日本の水辺でよく見られるセキレイには3種類があり、個体の多さから並べると、ハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイとなります。
その特性などについては、同じカテゴリーの他の記事を見ていただければ参考になるだろうと思います。

セグロセキレイは、セグロ(背黒)と付けられているように全体に黒っぽいのですが、眼の上と喉を残してしっかりと黒い頭巾をかぶったように見えるので、私は「快傑黒頭巾」あるいは「鞍馬天狗」というあだ名をつけています。

この端正な小鳥は、アオゲラ、ヤマドリ、キジなどと並んで日本固有種なのですが、残念なことに、このところ生息地域を減らしつつあるということです。 “渓流の鞍馬天狗 セグロセキレイ Ⅱ” の続きを読む