北へ還る前の日々に ベニマシコ

お猿の顔のように

全体に紅色と印象される、尾の長いスズメといったシルエット。
この美しい小鳥は「ベニマシコ」と呼ばれ、漢字では「紅猿子」と書かれます。
「・・・猿(ましら)のように軽々と屋根から屋根を伝って・・・」などと表現されることがあるとおり、「マシコ」とはお猿さんのこと。


納得

ベニマシコを一目見れば「なるほど!」と納得です。
全体の印象もさりながら、目の周りの紅色がとりわけ濃く、アングルによってはお猿さんにとてもよく似ているのです。
それも、サル山のボスザルといった貫録を感じさせる個体もあります。
ここに挙げた写真はどれも冬の終わり頃のものですが、夏場にはもっと鮮やかに紅く色付くのだそうです。

北へ還る前に

日本では、北海道と下北半島で繁殖し、関東地方以西で越冬するいわゆる漂鳥。
ここにある写真や動画は全て関東地方の春に撮られており、折から、桜前線の北上に前後して、ベニマシコたちも北の繁殖地への長い旅を迎えようとしているはずです。

ベニマシコたちは、車もフェリーボートも飛行機も持っていません。新幹線にも乗れません。
運任せの要素の多い長旅に備えて、今こそは、冬を枯れ残った草の実をせいぜい腹一杯になるまで食べておく必要があるのでしょう。動画を見てください。名も知らない雑草の実はほとんど落ちてしまっているようですが、ベニマシコたちは一生懸命です。

関東地方では比較的珍しい小鳥とされていますが、どのシーンからも、そのひたむきさが伝わってきます。

ぐんと地味 けれどドッシリ メス

とりわけ、メスは腰を据えてエネルギーと運とを蓄えているかのように映ってなりません。藪にオスよりも先に現れて食事を始め、あまり場所を移らずに食べ続け、オスが去ってからもなおテーブルを離れないという印象を受けたものです。

幼鳥

いくらか上流の矢張り河川敷で、ベニマシコの幼鳥に出会いました。
全体に紅の色合いが薄くて際立った特徴を出し切ってはいませんが、背中の模様からも、ベニマシコの幼鳥・オスであることが判ります。

今頃は何処に・・・

さて、この年も桜が散り始めた頃、少し前に番を見た河原にやって来たのですが、ベニマシコたちには会えませんでした。北へ旅立ったのでありましょう。
今、みんな無事で居て、何処かの藪で何かを食べられていると良いのですが・・・。

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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