迷い出た魂を元に納める方法

 木曾の実家に「ミソ蔵」というのがあった。自家製の味噌を入れた大きな樽ばかりでなく、穀類をはじめ、ジャガイモ、サツマイモ、ショウガなどが貯蔵されていた。蔵というからには、扉は結構に頑丈なものだったが、ネズミが入り込む。人が出たり入ったりする時の隙を狙うらしい。
 祖母が、アオダイショウの見込みのありそうなのをひとつがい、お百姓に吟味してもらって、ミソ蔵のなかに放したのを知って、五歳だった私はわなないた。・・・
じっくり選ばれたアオダイショウが太ったネズミをたくさん食べたなら、二・三年のうちにオロチほどに大きくなるかも分からない・・・。

「なんてことを!」
 化け物は化け物を呼び合うそうだから、これは大変なことである。 “迷い出た魂を元に納める方法” の続きを読む