分かりの良い名前 「シロハラ」

 腹が白っぽく見えるというわけで「シロハラ」。地方によっては「コノハガエシ」とも呼ばれます。下に潜んでいる昆虫や木の実を探すために、木の葉をひっくり返すしぐさを繰り返すからです。両方とも、なるほど分かりは良いのですが、すこし素っ気ない名前のつけ方で申し訳ないような気がします。 “分かりの良い名前 「シロハラ」” の続きを読む

時は春 「ヒバリ」 Ⅰ

 「ヒバリ」という呼び方は「日晴」から転化したもののようです。ヒバリと聞くと、真っ先に高校(?)の教科書に載っていた詩を思い出します。

    春の朝(あした)

  時は春
  日は朝(あした)
  朝(あした)は七時
  片岡に露みちて
  揚雲雀(あげひばり)なのりいで
  蝸牛(かたつむり)枝に這ひ
  神、空に知ろしめす
  すべて世は事も無し “時は春 「ヒバリ」 Ⅰ” の続きを読む

朝の大移動 「カワウ」「ダイサギ」

 真夏の多摩川中流の日の出は5時20分前後です。
しらしら明けの頃、残った星がいくつか瞬いて見える頃はさすがに涼しく、たっぷり夜露を乗せた草々をかき分けながら岸辺に立つと、下流から上流へ、つまり東から西へ向かう「カワウ」と「ダイサギ」の大群が見られます。このとき、伸び切った雑草がけっこう硬く横に張り出しているので、これらに弾かれて川の中に転がり落ちないように注意する必要があります。 “朝の大移動 「カワウ」「ダイサギ」” の続きを読む

清流の宝石 夜明けの決闘 「カワセミ」 Ⅱ

 多摩川中流の明け方。街灯などの光から遠ざかれば、けっこうな星空が見られるころ。
 東天の雲が刻々と色を増して輝き、やがて上流へ向かうダイサギやカワウの群が上空を通り過ぎます。雲と水鳥たちの様子に二度と同じものはないので、いくら岸辺に通っても飽きることがありません。

 そんな晩秋の朝、岸辺を離れようとしたとき、すぐ脇を定規で引いたように「ツー」と青い線が引かれていくのを2・3日続けて見ました。「カワセミ」です。   そのカワセミは、水面に張り出している灌木の一本の枝に、3日続けて止まりました。お気に入りの枝のようです。

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頭が高いのではありません 「カシラダカ」

 頭が高いのではありません。気が張ると冠羽が三角に立ち上がるのです。それで「カシラダカ」。

お初にお目にかかります 緊張すると毛がつっと立つのです

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ご一緒しましょ エナガ・シジュウカラ・コゲラの混群

 生物の中には、種類の違うもの同士が混じり合って行動することがあり、「混群」と呼ばれています。
 野鳥にもしばしば観られ、私になじみ深いのは、「エナガ・シジュウカラ・コゲラ+α」の混群です。ヤマガラやメジロが加わることがあるのをαで示しています。ああ、「カワウ・ダイサギ・アオサギ・コサギ+α」というのもおなじみなものでした。このときのαというのはカラスです。
 ここでは先ず、小鳥たちの混群について観ることにします。

危険を感知する能力を上げるために

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このところ失地回復中か 「オナガ」

 「オナガ」は全長40㎝近くありますが、名前の由来の通り、尾がたいそう長いので、身体だけの大きさはムクドリぐらいです。
 頭に黒いスイミングキャップを被っているように見えるほかは、全体にくすんだ水色に印象され、尾をなびかせるようにして枝を縫って飛ぶ様子はスマートで舞うように感じられ、ほかの野鳥との区別は容易です。
 スマートさに似合わず「ギューィ ゲーイ ギー」などと鳴きかわすので、姿とはちぐはぐな感じがしますが、声からも察しられるように、カラスの親戚なのです。

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残り柿に来る鳥たち

 今年、平成最後の秋はの実りに恵まれました。全国的にそうであったかは分かりませんが、東京都多摩地方では、誰に尋ねてもそのとおりだとのことでした。
 取り残された柿や、あるいはまったく手も付けられなかった柿が、そこかしこに目立ちました。そういう柿を勝手ながら、「残り柿」と呼ぶことにしました。
 里山に集まる野鳥たち、果物を好む鳥たちは殊に、晩秋まで楽しむことができたはずです。

あかあかと柿の実照らす夕日かな
へだてなく野鳥を呼んで残り柿
ヒヨドリの主人顔なれ残り柿

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みんなでグルグル 食事の時間 「ハシビロガモ」Ⅰ

 漢字では「嘴広鴨」、英語では「shoveler」。そのとおり、クチバシが長くてシャベルのように広がっていることから「ハシビロガモ」と呼ばれるようになりました。
 50㎝ほどの大きさでマガモよりもいくらか小型。雑食性で、プランクトン、昆虫、種子、魚などを広く食べるために、けっこうに淀んで栄養の良すぎるような都会の池にも飛来し、東京都区内でも、新宿御苑や皇居の濠などで見られます。

カモのなかでも色目の美しい鳥

 てんでに横並びしているところを見てみましょう。オスは頭から頸にかけて光沢のある深い緑色、クチバシは黒く、胸から腹は白、脇腹は赤味のある茶色で、羽を広げるとさらに鮮やかなエメラルド色が目に付きます。 “みんなでグルグル 食事の時間 「ハシビロガモ」Ⅰ” の続きを読む

 やっぱり可愛い チィパッパ 「スズメ」Ⅱ 

 スズメはクチバシやアシが太く、首もがっしりしており、目も賢そうです。ヒトの近くに、というよりも、ヒトの営みに大きく依存していながら、ヒトというものに決して気を許しません。賢い目が集まると、ほとんど無敵というべきで、3・4羽の小さな群れであったにしても、ネコなどの不意打ちに合うなどということはまずないでしょう。

 四季を通して私たちの近くに居るので、スズメだけでは俳句の季語にもなりにくいようで、季節感のある「雀の子」や「雀の巣」「寒雀」などとなって、ようやく句の題にもなるようです。
     
     雀の子そこのけそこのけ御馬が通る  一茶
     人に逃げ人になるるや雀の子     鬼貫
     寒雀てのひらほどの水浴びて     中村房子 “ やっぱり可愛い チィパッパ 「スズメ」Ⅱ ” の続きを読む