「カンムリカイツブリ」は、日本で見られるカイツブリ類の中では56㎝という最大種で、多くは冬鳥として海外から渡来します。
特徴となっている長い首を真っ直ぐに立てていることが多いので、凛として目立ちます。オス・メス同じデザインで、背中は黒褐色、首の前面と腹は白ですが、夏には登頂に黒い冠毛が生え、頬から後頭にかけても黒縁の飾羽を付けますから、いっそう颯爽として見えます。
どういうわけか、冬の装いから夏の装いに移行する時期が個体によって大きな差があることは注目されているようで、1月にすでに夏服に着替えてしまっているのもあれば、5月になっても未だ冬の衣装でいる個体もあるということです。
夏に向って着替え中ですよ
この写真は2月に撮られていますが、カンムリがあまり大きくなく、頬に飾りはなく、背中の色もそれほど濃くありません。
夫婦らしいのに 衣装のセンスは行き違うようで…
これらは4月に撮られています。いつも離れずにいて、羽づくろいやストレッチ(?)なども一緒にしていましたから、おそらく夫婦でありましょう。大きな方をオスとすると、こちらの冠羽と頬の飾羽はかなり生え変わっているのに、小さい方のメスは全体に白っぽく、目下、夏羽に移行中ということでしょう。
トリにもリュウマチがあるのかな
羽づくろいを終わると、それぞれに脚を空中に出して伸ばし始めました。朝のストレッチというところでしょうか。
が、野球のグラブを想わせるような弁足はいささかグロテスクで、日頃の凛とした印象とはマッチしません。脚を空中に出す様子はしばしば写真に撮られているところからすると、これもカンムリカイツブリに特有な習性なのでしょうか。
それにしても水鳥たちは、身体の方は上等な羽毛でたっぷり包まれているから大丈夫だとして、むき出しの脚の方は、冷たい水に漬けっぱなしでどうして平気なのでしょう。
シモヤケなんかにはならないのかな。リュウマチなんかにはならないのかな。たちの悪いインフルエンザには罹るのにな。
いっぱいに関節伸ばしをしているところを見ると、何か意味があると思うのです。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。