冬枯れの林の中で
冬枯れの林の中で、下生えの雑草がきれいに色付いているのを、しゃがみこんで見ていた時のことです。
ひらりと動くものを感じたので、ふと目を上げると、私は結構に賑やかなエナガの群れのただなかに居たのでした。
私を包み込むように、ひらりひらり。あちらでもこちらでも。
エナガたちは絡みついて霜枯れている蔓の葉を、一つ一つ入念に品定めをしているように見えました。虫の卵などをほじくり出しているのでしょう。
それぞれ勝手に飛び移っているようでいて、群れ全体は一定の方向に一定のリズムで移動しておりました。
空を飛ぶマシュマロ けれどなかなかに
上品に色付けされたマシュマロが弾んでいるようです。
大きな頭、小さなクチバシ、柄杓の柄のように長い尻尾が印象的ですが(それで柄長)、つぶらな目がいくらか寄り目に見えるのも可愛らしさを増しています。
一円玉6枚〜7枚分ほどの重さしかありません。
これが元気に動き回る様子を見ていると、いじらしくなってきます。
春先、山桜の大木の根元などでコケをつついているエナガを見たなら、近くの木立の股を探してみると良いと思います。
コケをクモの糸で織り込んだ壺状の巣が見つかることがあります。大きくて丈夫なもので、その巧みさから、エナガはタクミドリ(匠鳥)と呼ばれることがあります。入口は風向きを考えて開けられます。
そうした巣の中にたっぷりと羽毛を敷き込んで卵を温めるのですが、ヒナを孵し終えた直後の親鳥の尻尾が上に反り返っていることがあります。長いあいだじっと頑張ったので曲がりぐせが付いてしまってしばらくは治らないのです。
小さな身体に大きな根性が備わっているのです。
ある番がカラスやヘビなどに襲撃されて子育てに失敗すると、その番は仲間がヒナを育てる作業に参画することがあるそうです。
我が子を失った悲しみを癒やそうとするのでしょうか・・・これも驚きです。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。