風の中の 「ウグイス」

声はすれども、姿は・・・?

「梅にウグイス」とよく言われるように、ウグイスは昔から、のどかな春の景色の千両役者とされています。
どうも、これは作られたイメージです。ウグイスは、まず、梅の花を訪れません。
(梅の花の蜜が大好きなのは、メジロ。取り違えられるのも無理はありません。一回り小型ではあるものの、ウグイス色に近いダークグリーンをしているので、つい思い入れが先走ってしまうのでしょう。メジロは、群で行動することが多く、なによりも、目の周囲が白いリングでくっきりと縁取りされているので見分けは容易なのですが)

まとまって残された、それなりの林と藪があれば、かなりの街中でもウグイスの鳴き声は身近なものの、さて、姿を見ようとすると、けっこう難しいのです。藪から藪へと低く渡り歩く習性があり、警戒心が強くもあります。
枝や葉の間から、しっかりと、こちらを見て取っているというようなところがあります。賢いのかもしれません。スズメと同じように、ヒトの近くに居ながら、ヒトというものに気を許さないのですから。

ふりしぼって鳴く

「鳴いて血を吐くホトトギス」は有名です。ホトトギスは切り裂くように鋭く鳴き、その時見える口の中が真っ赤、ということからのようです。
ウグイスはどうでしょう。

遠く谷間の向こうから、広い水面を這って対岸から、あるいは、大風に揺らいでいる森の木々の中から、散歩しているそば道の藪の中からふいに・・・
ウグイスのさえずりは、告げるように、招くように、ときにとどろくようですが,どんな時でも澄んでいて、なんというか、切なさを含んでいます。

ここに動画があります。強い風に木々とカメラが揺らいでいて、足場が悪いせいもあって、安定に欠けますが、ウグイスがさえずる時の特徴は見て取れます。

出だしの「ホーッ」で、喉とくちばしをこきざみに震わせながら胸を一杯に膨らませ、「ホケキョ」で、全身を振り絞って一気に吐き出します。
それで、さえずりとさえずりの間に、何とも言えない間が生まれるわけです。俳人は、そのあたりを凝視しています。

  鶯の 気配興りて 鳴きにけり  中村草田男

鳥のさえずりというものは、みんなそうなのでしょうが、とりわけ、ウグイスは思いを引き絞っておいて、爆発させるというやり方が目立ちます。それだけに、引き絞りの段階で気合が外れると、拍子抜けというか、たたらを踏むというか、さまざまな不発のつぶやきに終わることがあります。
それを照れているような気配が感じられて、おかしみを深くしています。そのあとに、気を整え直して澄んだ一発。何ともいえず・・・格好いいと思うのです。

終わりに、このウグイスが棲み付いている森の様子を見てください。この中の一点で、さえずっているウグイスに向き合うことができるのです。

ロウボウ

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

「風の中の 「ウグイス」」への9件のフィードバック

  1. こんにちは。
    コロナの状況下でバイトに家での父方の祖母の在宅介護にそして母方のおばあちゃんの家の行き来は相変わらず過ごしています。
    相談があります。何故だか私パニックになったりすると気づくと色んな方々に些細なことで怒っているような顔していて無意識に無自覚に起きるから逆に自分が怖くて困っています。家庭内でもバイト内でもなかなか相談しづらくて。突然唐突にこんなコメントしてしまってごめんなさい。

    1. コメントありがとうございます。
      おばあちゃんたちの在宅看護、バイト・・・大変でしょう。ことに今は、やり難くて疲れるでしょうね。
      次から次へと急かされて、パニックにもなるでしょう。
      ただ、おばあちゃんたちは、そのように面倒をみられることを喜んでいるでしょうか。可愛いい孫に、多少スローでも、余裕をもって、できれば小さな楽しみを見付けながら、日々を過ごしてほしいと願っているのでは。貴方が年を取られたら、どう感じるでしょう。
      ちょっと、他人のペースにも気付けられる・・・ちょっとです。これが貴方の幸せを左右するのでは、と思います。
      ご多幸を祈ります。

  2. こんばんは。
    ウグイスの鳴きかた、そこにおこる間、考えたことがなかった…新しいとらえかただなぁと、発見でした。
    彼らの鳴き声は、何だかやる気を起こしてくれます。自分が深呼吸することを思い出させてくれたり、励まされている気がして…。
    新しい発見、ありがとうございます。

    1. コメントありがとうございます。
      野鳥と、深ーくお付き合いされていますね。ありがとうございます。
      彼らの泣き方を、間ということに注目して観直してみたら、面白いのではないかと思っております。
      ガビチョウとウグイスとでは、ずいぶん違うと思うのです。
      又ご教示ください。

  3. はじめまして、ロウボウさん。
    いつもTwitterで娘様にお世話になっている菊屋と申します。
    まさに今日、生駒山中腹を散歩中に鶯の美声を耳にしたところでした。
    鳴き方にも理由があったのですね。
    次回はそのことを踏まえて、もっと丁寧に聞きたいと思います。
    ありがとうございました。

    1. コメントありがとうございます。
      生駒山といえば、国の「まほろば」のど真ん中ではありませんか。そんなところで、ウグイスをお聞きになれるとは、うらやましい。
      悠々マイペースといった感じで、こちらも、ゆったりとしてまいります。

  4. 私は63歳の外来Nurseです。あと2年で退職します。趣味は合唱と声楽の練習。仕事に燃え尽きるのではなく、一生懸命趣味と仕事、そして子育てをしてきました。5月の連休前、PCR検査介助を担当するか問われました。医師には標準予防策に準じる装備が与えられますが、Nurseにはエプロンは無く、手袋だけです。サージカルマスクは1日1枚のみ。N95は7日間連続使用です。通常の外来勤務でも、アイシールドやフェイスシールドは自前で購入しています。職場からの支給はありません。連休中、考えぬいた結果「No」と返答しました。怖いのです。患者のため頑張らねばという思いと、COVID感染したらどうしようと悩みぬきました。心の中で「私は使い捨てNurseじゃないんだから」と叫んでいます。全戦に立てなかったNurseです。

    1. PCR検査の介助を担当するかと問われ、連休中を悩み抜き、断ったのですね。
      それで、自分は敵前逃亡をしたナースだと、自分を責めておられる。
      失礼ながら、国家総動員令下の戦時でも、男性はともあれ、40歳を過ぎた女性はを徴収しなかったのですよ。
      今の社会が歪んでいるとはいえ、いくらなんでも、そのくらいは弁えています。そんな仕組みは有ってはなりません。
      貴女は、おそらく40年間以上も、誠意という貯金をしてきました。その払い戻しを、いくらか要求してもいいのです。
      貴方の判断は全く正しいのです。
      老後を、合唱と声楽をしながら、伸び伸びと楽しんでください。

  5. 毎日ウォーキングでウグイスの鳴き声を聴きながら、なぜ梅の季節とズレているのだろうと思っていましたが、謎がとけました。

    「梅にウグイス」のイメージの方が間違いだったのですね。

    ありがとうございます!

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