美しい胸と姿勢
ツグミは、散歩好きの人には、まず馴染みのある野鳥でしょう。
スズメより二回りほどもある身体つきは頑丈そうで重量感があります。全体に地味ですが、アサリ貝を思わすような胸の模様がたいそう美しい個体があるので、出会うたびにレンズの向こうにクローズアップして確かめないではいられないような奥深さがあります。
秋にシベリアなどから渡って来てしばらくすると、ばらばらに群を解いて冬を過ごします。
シャンと背筋を伸ばし、両脚を揃えながらホッピングして枯草の下の虫をさがし、また伸びあがってあたりをうかがう、という様子も印象的です。低く飛びながら「ケロッケロッ」と小さい声を漏らすことがありますがサエズリということをしません。口をつぐんでいることから、「ツグミ」と呼ばれるようになったということです。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。