日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ

この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅦです。

そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ

幾度か見てきたように、日本はおかしなほどに天然資源に恵まれていません。それでも、列島の7割近くが森に覆われているという事情から森林資源に、年間2000㎜ほどの雨が降るという事情から水資源に、周囲を海に囲まれているという事情から海からの資源に・・・それぞれ見るべきところがあるのですが、それらを活かしているとは言えません。
木材の自給率は30%ほどにとどまり、消費電力のわずか8%を水力で発電し、魚介類の自給率も60%ほどに低迷しています。
他の数字を並べると、食料自給率は40%ほど、エネルギー自給率は10%ばかりで、金属鉱物に至っては自給率ほとんど0%。金属類といえば、胴、亜鉛、鉛、アルミニュウム、ニッケル、クロム、コバルト、金、銀、タングステン、リチウムなどです。つまり、今の状況では自分で開発するよりも外国から買い入れた方が安上がりだというわけで、この国はほとんど何もかもを他所に依存しています。

さらにマイナス要因として、日本は全世界の陸地面積の0.3%のみを占めているにもかかわらず、地震や水害が多発して、全世界に生じる大きな自然災害の20%を引き受けてしまっているという不運があります。日本の国土は常にぶよぶよと動いているのです。

にもかかわらず、不思議なことです。
本来なら、極東の片隅で縮み込んでいるのが自然なところ、GDP世界第三位、CO₂排出ランキング5位、という活動を続けていられるのはどうしてでしょう。

さらにこの国は、食料消費全体の30%に相当する2800万トンを捨てているという食品廃棄大国(率から云えばおそらく世界1)でもあります。よく分かりませんが、妙なところに贅沢ですらあるのです。

ほとんどの人が「それは貿易です。原料やエネルギーを輸入して付加価値の大きいものを作り、それを世界に販売します。その黒字でやりくりしているのです」と答えるだろうと思います。私も中学生のころに「貿易立国」「貿易大国」という言葉を教わり、つい先ごろまで、そのように思い込んでいました。
これがどうも、違う流れになっているようなのです。

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか

この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅧです。

そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

そのⅧ  なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか

「日本は世界最高の国第3位」と聞かされると、「異様に高いランク付けだ」「この程度の社会でベストスリーなら、世界は恐ろしく住みにくいことになるが・・・」と実感とのズレを覚える人が少なくないだろうと思います。現に毎年、次のような日本のランキングが発信されています。いずれも低い順位です。
これらを知らされるのは辛いことですが、避けてはいけないものだと思います。

幸福度ランキング2020(国連):156か国中62位
子供の幸福度ランキング2020(国連):38か国中20位
男女平等ランキング2020(世界経済フォーラム):153か国中121位

幸福度ランキング
前の記事でも触れました。数字で測定できる項目では上位にランクされるのですが、人生や日々の生活に対する主観的な評価が目立って低いために順位が低迷しています。
子供の幸福度ランキング
肥満度や死亡率などから算出された「身体的健康」は1位であり、学習の習熟度も高く評点されるものの、15歳時点での生活の満足度などから算出される「精神的幸福度」は38か国中ほとんど最下位の37位となっています。「新しい友達を作る」といった社会的スキルなどについても自信に乏しいところが窺えます。
いずれにしろ、身体面1位に対して精神面37位というのは、日本の子供の心はどうかしてしまったのかと危ぶまれるほどに極端な落差です。
男女平等ランキング
これにも大きな特徴があります。14項目で算出されているところ、はじめの4項目である出生数・識字率・初等教育就学率・中等教育就学率まではどれも男女間に差は小さく、ランキングも立派に1位なのです。
ところが、成人を迎えるころからガクリと男女の差が開いてきます。大学と大学院就学率・就労率・類似労働における賃金・推定勤労所得・専門技術労働者数・管理職労働者数・国会議員数・閣僚数・女性国家元首の在任年数(直近50年間)・平均寿命の男女差のそれぞれについて男女の開きは大きく、これらが総合ランキングを下へ下へと沈めて惨憺たる結果になっています。

男女平等ランキングでも、北欧勢がズラリと上位を占めています。「ヴァイキングの時代から女性戦士は有名なんだから仕方がないか」とか「この調査は単純に男女の差だけを出してる。固有な文化面も勘案してくれないと・・・」などと僻んでみるのですが、日本の後進ぶりは明らかです。女性の能力を出しきることができれば、この国はダブルスコア的に強く深くなれるはずです。考えなければなりません。
子供の幸福度ランキングについても、これを押し下げているのは子供たちの主観が大きいとはいえ、今まさにその主観で子供たちは不幸を感じており、例えばイジメなどが横行するといわれる学校に怯えているとすれば、真剣に考えなければなりません。白地のキャンバスを持って生まれてくる子供たちに、色付けしているのは私たちなのですから・・・。

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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの

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そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの

不思議な国 日本

 堂々 世界1位の災害大国
幾度か触れてきました。
地球という生々しい惑星の表面を卵の殻のように覆っている薄い皮(プレート)は、およそ12枚にひび割れているところ、そのうちの4枚がせめぎ合うことで盛り上がったが日本列島なのですから、地震と噴火が多いのは当たり前のことではあります。

その列島はさらに、たとえば宇宙ステーションからは南から北に横たわっているのように見え、それを尻尾から頭まで串刺しにするかのように、台風も来襲して猛威を振るいます。
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日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!  そのⅩ 私の精一杯の提言

この記事は「日本と北欧と世界 日本だってやれるぞ!」を下のように分割したものの、そのⅩです。

そのⅠ ある中年カップルとの会話
そのⅡ 自然災害と天然資源
そのⅢ 来た道 似たところと違うところ
そのⅣ 自然との向き合い方について
そのⅤ デザインについて
そのⅥ 世界の目と自身の目
そのⅦ 日本の今の豊かさ 「貿易立国」から「投資立国」へ
そのⅧ なぜ日本は「最高の国ベスト3」に入るのか
そのⅨ 北欧よりも日本にあるもの
そのⅩ 私の精一杯の提言

私の精一杯の提言

若い方々にお願いするばかりではなく、老いたるとはいえ、私自身も次のようなことに留意したいと思います。

1 今の日本を正しく捉えよう
2 今の方向を維持するのが正解 平和の維持は必須
3 姿勢を正しく 胸を張ろう
4 社会にぶら下がるのではなく 納得のいくように変えてゆこう
5 「日本生徒会大賞」を「インターハイ」「甲子園」並みに盛大にしよう
6 まとめ

1 今の日本を正しく捉えよう

統計をちょっと見ただけでも分かりますが、日本の社会は安定しております。それどころか、犯罪、交通事故、火災発生件数などに表れているように、毎年かなりのスピードで安全度を増しています。
にもかかわらず、意識調査によれば、人々の多くが「治安が悪くなりつつある」と感じており、現に若者の自殺はじりじりと増えています。
そうした不安に呼応するように、テレビのワイドショー番組などでの「ここが凄いぞ ニッポン」といった軽いクスグリが、不安を和らげる頓服として迎えられて流行るようです。
こうした、実態と意識との乖離はどうして生じるのでしょう。

‥・エイジング・ニッポン バブル崩壊で失速 失われた20年の低迷 人口も経済も縮みゆく国 経済力はいずれG20の下位に 若年層ほど悲観的 伝統的価値観に生きづらさ 少子高齢化と人口減少の崖 次代に重荷 民主主義にも影 沈みゆく船から流出する頭脳‥・・・

これらは、この国のオピニオンリーダー役をもって任じている大新聞の報道や論調に繰り返し見られる文言です。ついには「沈みゆく島」「荒唐無稽な国・日本」などとまで決めつけられることがあります。残酷な括り方です。
熱心に読んだり考えたりする若者たちに、どんな影響を及ぼすのだろうかと考えてしまうことがあります。たとえば、「天声人語」を書き写して学ぼうとする少年少女はたくさん居るのです。

「失われた20年の低迷」とか「沈みゆく船」というのは本当でしょうか。
視点によっては、今をときめく北欧諸国をも凌いで「世界最高の国ランキング3位」を占めることがあり、「そのⅧ なぜ日本は最高の国ベスト3に入るのか」で取り上げた他にも、例えば、2019・6・29に「時事通信社」が配信した「日本のブランド力 世界一」という見方があるのです。くどいようですが以下の通りです。

日本の「ブランド力」は世界最高
英フューチュアーブランド社が25日発表。国・地域の評判を基準に算出した「フューチュアーブランド・カントリー指数」のランキングで、日本が1位となった。製品・サービスの信頼性のほか、健康的な食事や自然の美しさ、独得な文化などが世界で高い評価を得た。
同社は「国・地域の力を測るのに、GDPや人口規模、核兵器の数に意味はあるだろうか」と指摘。・・・高い技術やイノベーションを背景にした製品、サービス、西洋とは異なる無駄を省いたシンプルさなどを体現した独特な文化、こそが「日本の偉大な輸出品」だと述べた。
調査はGDPの上位75ヶ国・地域が対象。調査期間は今年1〜2月。過去1年で少なくとも1度は海外旅行をした計2500人にオンラインでインタビューを実施。さらに、交流サイト(SNS)に見られた各国・地域に関する投稿を多数の言語で分析し、22項目で採点した。
日本は5年前の調査でも1位だった。2位はノルウェー(前回6位)。3位スイス(同2位)、4位スウェーデン(同4位)、5位フィンランド(同13位)。上位の国々は総じて、生活の質や環境への優しさなどが高く評価された。
米国は5つ順位を落として12位に転落。トランプ大統領の言動が影響したとみられるという。EU離脱で混迷する英国も7つ順位を落として19位。近隣諸国では、韓国が20位(同20位)、中國は29位(同28位)だった。

頑張る ひよわな花 
75か国のうちのトップ。
国土面積世界80番目の小さな列島、エネルギー自給率10%そこそこ、食料自給率40%、木材自給率30%。資源に乏しいどころか、泣き面にハチのように、活断層で縦横にひび割れた堂々の自然災害大国。
原油の輸入路が少し波立っただけでも、ひやひやしなければならないような脆弱な基盤の上に咲く花は、ひよわに見えながら、けっこうに逞しく脈動しているのです。
「貿易立国」と「投資立国」というシーソーのバランスを上手に取りながらGDP3位という活動をしており、それは、そこに住む人々が「動」と「静」の相反するエネルギーを同時に際立たせながら備えているからなのですが、そのような在りようが「荒唐無稽な国」「沈みゆく船」であるはずがありません。

現在の日本の「対外純資産」が365兆円に達するという世界一の規模で、しかも着々と増え続けるのを見て、「日本は海外にもう一つの日本を作り出そうとしている!」というようなコメントさえ外国にあるのです。涙ぐましいほどです。

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私考ヴァイキング船 運命の舟の興亡

海よ

初めてボートに乗り移った時のことを憶えています。おそるおそるでした。
足のすくみがそのまま伝わってしまうように敏感に揺れるので、すぐに座席にへたり込んでしまったのですが、山奥の小さなダムの水面から見上げる景色は普段とは全く違ったものでした。遠い少年の日の不安と憧れ。そうです。揺さぶられるようだったのを憶えています。

私は山国で育って長く過ごし、大学を終えてから上京しました。汽車がひどく混んでいて、客車と客車の連結部分に立ちどおしだったので、トンネルに入るたびに、まだ熱の残った石炭臭い煙にたっぷりと燻しあげられたものでした。
数か月経っての夏、新人歓迎旅行というのがあって、伊豆の海を見ることができました。夜の宴会で挨拶の順番が回ってきたときに、「私は山国で育ったので、海が懐かしくてなりません」と切り出したところ、座がどっと沸いて、先輩の一人が「それを言うなら・・・海が珍しくてなりませんというのだ!」と大声を上げたものです。
けれど、今でも思うのです。間違っているのは先輩たちなのです。いくら山国で育ったとはいえ、私はすでに知っていました。かつて海は、今よりも圧倒的な主役であった時があり、生命はさまざまに生まれて溢れ、その一部が陸に上がって私たちの祖先になったのです。海を懐かしんではいけないわけがありません。

ある時、溺れそうになった人が、偶然、そこに浮いていた木片にしがみついて助かった、というのが始まりだったのでしょう。人のなした最も重大な発明の一つに、舟があります。
長い時をかけてじりじりと、時に天才的な着想によって飛躍的に進化し、丸木舟という形になったのは1万年ほど前のこととされています。
それからの人の歴史は時々の舟のありようと密接な関係があります。文化が船を作り、舟が文化を造る。この壮大なサイクルは複雑で、どちらが頭でどちらが尻尾なのか、分からなくなってしまうほどです。
私は思います。海を渡りたくて船を作ったのではなく、それだけの船があるから、海に出たいと願えるようになったのです。舟が先なのです。ことの始まりは、溺れそうになった人の目の前に木が待っていたのですから・・・。

物を運搬する効率がずば抜けて良いというのが、舟の一番の凄さです。抜け目のないヒトが放っておくわけがありません。
漕ぎ手1人で5トンの荷物を積んだ舟を進めることができ、帆を使えばさらに多くのものを運ぶことができます。現在、航空機(ジェット貨物機)の運搬効率を1として比較してみると、トラックがおよそ8〜10倍、コンテナ船およそ100倍、石油タンカーおよそ800倍という計算があります。今でも私たちの生活の基盤を支え続けており、うっかりすると命運に係わっているのだと分かっていただけると思います。

ダブルカヌーとヴァイキング船 南太平洋と北大西洋

今からおよそ1000年前といえば、日本では平安時代に相当していて「古今和歌集」「源氏物語」といったふうに比較的穏やかに印象されますが、北大西洋と南太平洋では同じ時期に、大きな海の活動がなされていました。
北のそれは「ヴァイキング時代」と呼ばれる世界史の一時代を画したきらびやかなものであったのに対し、南のそれは「ホティマツア」と伝承されている男が率いた、たった一度の、ポリネシアの島から東方に向った航海でした。
ホティマツアの航海はたった一度でしたが、私の心の中の天秤では北と南の二つは同じ重さなのです。ブログで別に記事にしたように、彼が祖になって残したイースター島の巨石像たちは、絶海の孤島という一点に封じ込められていたにもかかわらず、ものの興廃を超えた何かを見据え続けているように思えるからです。
それぞれの主役であった、ダブルカヌーとヴァイキング船を取り上げてみたいと思います。

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コロナ疲れのみなさんへ

自粛とコロナストレス

自分は、80過ぎて畑仕事に勤しむ農夫です。
腰を痛めていますが、膝を曲げたり伸ばしたりする動きにはあまり響かないので、晴れた日には、ああ、また畑にいけるな、と思います。
空を見上げるのが好きです。空を自由に飛び回る鳥が大好きです。

さて、最近、SNSというものをやる娘から、新型肺炎の来襲がストレスになって心身のバランスを崩してしまったり、鬱になってしまっている人が多いと聞きました。
当たり前だと思います。

私は、80歳まで、精神科医として務めてきました。
経歴の40年ほどは法務省で、罪を犯した少年少女たちの育て直しと支援に関わり、植物で言えば、適した土と、適した時に水をやり、持っている生きるチカラを最大限に活かそうという仕事に携わりました。
そのあとの15年は街の精神科医として友人のクリニックに務めたのです。
そんな経験から、この、今までにない出来事で、人々が心身に影響を受けないはずがない、と言い切れます。
植物で言ったら、急に新しい環境に置かれ、どうしたらよいかわからなくなってしおれている、とでも例えられるでしょう。

まずは、その状態を受け入れることです。
おかしくなって当たり前。
コロナが降り懸かってきている異常な事態を受け入れましょう。
怖がっている自分を受け入れるのです。でも、けど、だけどではなく、怖いという気持ちを受け入れましょう。
まずはそこからです。 “コロナ疲れのみなさんへ” の続きを読む

イースター島 ロンゴロンゴ私考

大海原

これまた、かなり前のことになりますが、「大いなる西部」というハリウッド映画がありました。グレゴリー・ペックとチャールトン・ヘストンが共演した、後味のさわやかな作品でした。
東部で船の船長をしていた男が、招かれて西部を訪れ、近隣の大牧場主たちが集まったパーティーで話しかけられます。「広いだろう、こんなところ他にはないからね」 元船長は返します。「いや、あります」 「どこに?」 「海です」・・・・・座が白けてしまいます。

前のブログで大平原を取り上げましたから、今度は、大海原の旅に思いをはせてみたいと思います。

太平洋の島々

まず、太平洋を中心にした地図です。
薄いオレンジの線でに囲ってある範囲で、ポリネシア語などを含む「オーストロネシア語族」と分類される言葉が使われています。その範囲は、北端は台湾、南端がニュージーランド、東端がイースター島、西端はアフリカ大陸近くのマダガスカル島、に達するという広大なものです。

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コロナ疲れの皆さんへ:農夫からのお返事

自粛とコロナストレス

みなさんその後いかがお過ごしですか。

数日前、わたくしは、コロナ疲れで苦しいおもいをしていらっしゃる方が沢山いるという話を娘から聞いて、ささやかなメッセージを託しました。

それが、SNSというもので皆さんに届けられると・・・思いもかけず、張り詰めた風船に、私が針を刺してまわるということになってしまったらしいのです。うろたえてしまいました。
なんと多くの人が張り詰めて生きているのでしょう!

その音色はさまざまでしたが、一つの例外もなく、私からのメッセージを受け取り、かみくだいて、まっすぐに返してくれるという、しなやかさで包まれた魂の叫びでした。

そこから一歩を進んで、
「泣いたら、すっきりしました。明日から、また私を必要としてくれる方々のために、頑張ります」
このような気持ちを私に返して下さった方のどんなに多いことでしょうか。

ぐっとこみあげてくるものを押さえなければならないことが幾度もありました。

私の中で、何かが再生される気配を感じました。歳を取り、とうとう私も枯れてきたなぁ、とおもっていた心がざわめき、
「ああ、日本は大丈夫だ、みなさんに支えてもらっている」
と感じました。癒やされたのは私の方でした。心から、御礼申し上げます。

今回の、皆さんとのやり取りの中には、普段とは違う重いものがあるなと感じられてきましたので、もう一度、手紙をしたためている次第です。

コロナとの戦いは、長期戦になってしまいました。
「人と人が接触する場面」が危険というわけですが、人の社会は「人と人との関わり合い」で成り立っていますから、みんなが危険を避けようとしたら社会は沈没してしまいます。
危険を避けようにも、それが出来ない職種や現場があります。というよりは、社会活動の大部分がそれです。
医療、介護、子育て、食品サービスなどはもとより、それらを支える流通、交通、エネルギーなどのインフラも、第一線は人の心というものを必要としています。
金銭で雇われていようと、一時的に金銭で買い物の代行を頼まれようと、どのような事情であろうと、最後の一点では、なにものにも代えがたい人の手が必要なのです。

そこをコロナは直撃してきました。八割の対人接触を控えるようにという要請は厳しいものです。そうした要請に反するのではないかと、後ろめたくすら感じながら、人々は不安を必死に押し殺して、恐怖をなだめなだめ、一日また一日と、自分が支えなけばならない持ち場に通っています。それを支援するために、全く違った立ち位置から、力を尽くしてくれている人もいます。
何を「拠り所」にしていれば、そういうことができるのでしょう。

疲れを回復できる、安心して寄りかかれるところ。
無条件で自分が受け入れられるところ。
共感と信頼が結び合うところ。
絆と愛に満たされたところ。
強い価値観や信念の世界。
自分だけの創造の世界。

「なにそれ、あらたまって」と思われそうです。
けれど、自分によく尋ねてみてください。一人暮らしであっても、家庭をお持ちでも、一日一日の実践ができているからには、あなたは、それを可能にする「拠り所」をきっと持っています。あいまいで、完全なものでなくても、そこに通ずる方向が見えているはずです。
あなたは本当に強い人です。

コロナ来襲をチャンスととらえて、「拠り所」を強化することができますように。繰り返しになりますが、完全なものである必要はありません。そこに通ずる道が見えれば、それが拠り所になりますから。
それを「安全基地」として、一人でも多く方が凌ぎ続け、さらにはコロナ後も発展することができますように。

さて、これからが、今回、言いたかったことです。
抑うつ状態が深くなってしまって、立ちすくみ、日常生活が難しくなっている方も少なくないと思います。日常のリズムが乱されると、そのようなことが起こりがちです。
自分は何の役にも立っていないのではないかと罪悪感に苦しみながら、自粛生活を送られている方もいるでしょう。普段受けている介護や託児などのサービスが突然遮断され、恐怖におののいている方もおられるでしょう。

さらに沈んでしまって、
自分の「拠り所」よってエネルギーを保ち、なんどもなんども、自分を奮い立たせてきたけれど、どうにもエネルギーが切れ、現実感が無くなってしまった、
自分を支えてくれる「拠り所」にまで怒りを感じるようになってしまった、

あるいは、死まで考えてしまうようになってしまった、
何時かは強くなれるものの、今は行き詰まっているあなたに、求められれば、私は次のように答えます。

自由と選択はあなたにあります。
自分は離脱する、それも勇気ある決断です。
戦いの最中ではありますが、「戦時中」ではないのですから。

あなたはこれまで、苦しんで皆に尽くし、誠意という貯金をいっぱいしてきました。その払い戻しを求めていいのです。
(経済活動が低迷していますから、残念ですが、取り分は少しは目減りしているでしょうけれど。)
あなたの命を殺してしまっていい「仕組み」などないのです。

強い人は強い人なりに、今、そうでない人はそうでない人なりに。

私達にはできます。私は信じています。

キジの母と子。朝の散歩です。

 

草原へのはてしない憧れ 「大草原の小さな家」

「大草原の小さな家」シリーズ

全9冊と関連図書。私も大好きです。
アメリカ開拓時代の圧倒的な自然を生きる、つつましく不屈な一家の年代記。

幌馬車の旅、猟、耕作、家畜の世話、料理、冬の備え、天災との闘い、丸木小屋の手作り・・・。それでいて、折々を楽しむ感性。一刻一刻が輝いています。

ローラ・インガルス。何時も目をまんまるにしている女の子。
この子が明るく語るのですが、天性の観察が行き届いているので、当時の日常の様子を知ろうとするのには、一級の資料になっているようです。ガース・ウイリアムズによる絵も素晴らしいものです。

ことに、母さんが作ってくれる料理についての語りが面白いうえに正確なことから、「小さな家の料理の本」といったレシピ集などが作られており、これらすらが、世界中で読まれているようです。

料理ばかりではありません。
猟銃の手入れの仕方、鉛の弾丸の作り方、罠の扱い方、獲物の処理の仕方、燻製の方法、馬や牛の扱い方、メイプルシロップや蜂蜜の収集と精製の仕方、丸木小屋の組み上げ方、暖炉の積み上げ方などなど・・・幼い女の子が、よくぞここまで見ていたもの・・・、レトロでアナログな大人にとっても、たまらないことの連続です。相応に想像を働かさなければならないところが、また、良いのです。

ログハウスの驚嘆

北方の「大きな森」からはるばる幌馬車の旅(最初の長旅)を続けてきた一家は、中南部オクラホマ州の一点に着きます。何も無い大草原でした。父さんがいきなり叫びます。「ここだよ!さあ、ここに家を建てよう」。1869年(明治元年)のことでした。

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虫からの警告? エール?

庭に置いてある小鳥の餌台が崩れかけてきたので、少し大き目なのを作り直しました。

できれば、屋根をヒワダ葺きにしてやろうと、杉か檜の倒木を当てにしていたところ、晩春の一日、里山の林の中で絶好なものに出会いました。
朽ちつつある杉の丸太でした。

丸太の表面に

厚い杉皮を簡単に剥ぎ取ることが出来ました。
すると、ボロボロと落ちる粉状の屑に続いて、どう見てもアルファベットの綴りとしか見えないものが目に飛び込んできました。

高さ4㎝ほど、綴りの長さ40Cmほど。樹の皮と幹の表面との間を、くねくねと、確信ありげに・・・(姿が見えないから名前も分かりません)が喰い進んだ跡でした。

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