残り柿に来る鳥たち 動画編

柿の木を舞台と鳥の揃い踏み
「柿の当たり年」というものがあるとみえます。
東京都の多摩地方だけのことかもしれませんが、この秋も深まると、たわわに実を付けた柿の木が目立つようになりました。
柿たちは「今年はみんな頑張って沢山の実を付けましょう」とでも声を掛け合うのでしょうか。不思議です。
いずれにしても、熟し柿をたっぷりいただけるのですから、野鳥たちにとっては有難いことです。

遠来のツグミを癒やせ残り柿
別れ前のツグミの宴柿たわわ
ツグミは胸の斑紋が美しい鳥です。斑紋は、地味だけれどもバリエーションがあって、アサリ貝の模様を見るように楽しいものです。

シベリアなどからはるばると渡って来る冬鳥で、秋も深まった頃に日本に到達しますが、しばらくは越冬地の具合を見定めるかのように群れのままで過ごし、本格的な冬を迎えるころに群れを解いて散って行きます。

両脚を揃えてホッピングし、止まると背筋を伸ばしてあたりを一心に窺う様子がなんとも愛嬌があるので人気があります。

ヒヨドリの飛翔の先や残り柿
ヒヨドリの此処ぞのはしゃぎ残り柿
ご存知ヒヨドリは、日本の低地に普通に見られるどころか、庭、公園、里山などで「ギザギザ頭の野武士団」といったふうに、このところ幅を利かしており、ヒーヨ!ヒーヨ!とうるさいうえに、ブロッコリーやキャベツなどを荒らすことがあります。
暴れん坊に似合わないようですが、かなり徹底した菜食主義者で、熟し柿やミカンといった甘い物が大好きです。

飛行術の巧みさは、ヒトの身近に暮らす野鳥のうちではおそらくナンバーワンで、スズメよりも二回りは大きな身体つきをしていながら、ハチドリのようにとはゆかないにしてもホバリングが出来るほどの腕前。ピー!ピー!と鳴きながら水平に飛翔して距離を稼ぐときは、きれいな波状の軌跡を描き、その先にはたわわな熟し柿が待っているというわけです。


柿ひとつ底まで穿つメジロかな

柿たわわ目移りをしてメジロかな
花の蜜、さまざまな果汁、樹液といった甘い物が好き。メジロが筆頭です。

小柄な体をキビキビと動かす様子がとりわけ愛らしいのですが、それでいて、結構に気が強いところがあるようで、自分よりもちょっと体の大きいシジュウカラやヤマガラと張り合っているのを見ることがあります。


アオゲラを木守に置いて残り柿

アオゲラのオラオラ風や残り柿
緑色をしたキツツキ・・・アオゲラ。堂々たる日本の特産種。ツグミよりも大きく太く、ガッシリしているのが分かります。
「魔女が近づいてくるのか」と不気味になるほどに、ピヨー!ピヨー!と大声を轟かすことがあり、これは「下に!下に!」と前触れしているのだと思えないでもありません。
おっかないのです。ツグミを苦も無く追い払っています。


ムクドリをしばし鎮めて残り柿

とかく群れることからムクドリというのだそうです。
脚を交互に出してのっしのっしと歩き、虫であろうと木の実であろうと、つつき出して食べています。リュウ!リュウ!と鳴きながら飛び立つと、腰の白いベルトと尖った翼の先が目立ちます。
顔をアップすると金属的に鋭く見え、それにふさわしく、かの野武士軍団のヒヨドリと木の実を巡って争奪戦を演じていることがあります。
そんなムクドリも、柿を食べるときは静かにしています。


木守柿落ちて野鳥の呼び交わす

さて、豊かに実っていた柿はつぎつぎに食べられ、あるいは崩れ、わずかに残った木守柿ともいうべきものも、幾夜かの霜のために朽ちて落ちます。
気合を入れ直して、野鳥たちは冬を乗り切るのです。

   ツグミ
   ヒヨドリ
   メジロ
   アオゲラ
   ムクドリ

 

 

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

「残り柿に来る鳥たち 動画編」への2件のフィードバック

  1. 今年の柿は豊作だったのですね。
    そこへいつの間にか俳人登場! 残り柿、柿たわわと導かれてさすがと!
    さらにメインの鳥が動画で登場、揃い踏み!
    またまた私の手が届かない世界ですが、拍手喝采だけでもお送りしたくなりました。
    また次の展開を楽しみにさせていただきます!

    1. お久しぶりです。
      いや、巨木の前にたたずむと、何かを語り掛けられて、引き込まれるような気配を感じることがあります。
      どうも、本当に、樹はこちらに語り掛けているらしいのです。
      最近の先端の研究によりますと、例えば、葉が害虫に食べられ始めるとその情報は他の葉にも伝えられ、その虫には苦手な化学物質が産生されるのだそうです。森の木々は地下の根で連絡し合っており、例えば、幼い木が日照不足であえいでいる時には、周囲の大人の木が養分を分けてやるのだそうです。
      植物は馬鹿にならないと感じていましたが、案の定です。
      地球上の生き物を重さで分けると、植物は8割だか9割だかを占めるのだそうです。案の定です。
      もし、若返ることが出来たなら、植物といろいろ語り合ってみたいと思うこの頃です。

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