里一番の「オラオラ顔」 シメ Ⅱ

ずんぐりシルエットに蝋色のクチバシ オラオラ顔

尻尾の短いずんぐりしたシルエットは、全体にキツネ色と印象されます。
スズメをひとまわり大きくしたほどのサイズに、ひときわ立派なクチバシを備えており、それが蝋のような色をしていることから「蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)」とも呼ばれています。
「シッ シッ」と聞こえる地鳴きに、鳥を表す接尾語の「メ」をくっ付けたのが名前の由来です。


秋の終わりに、「ツグミ」や「イカル」と同じように北から渡ってくるのですが、早々に群れを解いて、冬は単独で過ごすことが多いようです。
黒く縁どられた鋭い目のせいもあってか、せっせっと落ち葉を跳ね飛ばして木の実を掘り出そうとしている様子は、塹壕を掘る歴戦の兵士のように真剣そのものです。

イカルの群れにあやかる?

「シメ」は早くから単独で行動することが多いために、同じアトリ類の「イカル」のグループに1羽が紛れ込むことがあります。
下の動画では、「イカル」が群れで餌をあさっているところに、左から1羽の「ツグミ」が現われ、次いで右から「シメ」が登場します。
見分けは付くと思います。ツグミはイカルほどの大きさですらりとしており、胸にアサリ貝のような模様があり、大きくホッピングしながら移動するのが特徴です。シメは全体にずんぐりしていて少し小さく、尾が短いのが特徴です。

「シメ」「イカル」「ツグミ」という冬鳥の3大役者が、日本の武蔵野の地の一角で揃い踏みしているということが、それだけで、私には意味ありげに感じられるのです。

ユーラシア大陸に広く生息

「シメ」は、ずんぐりと見えながら器用に適応するようで、生息する地域は広く、ユーラシア大陸の温帯と亜寒帯をベルト状に横に長く分布しています。「イカル」の生息地は意外に狭く、「ツグミ」はアジアの東部を南北に生息しています。

彼らが交じり合っている冬の日の平和を、共に味わいたいと思うのです。

そういえば、シメの生息する地域は前の世界大戦中の戦場と広く重なっているのですが、その間、野鳥たちはどのような影響を受けていたものでしょう。

あの戦争下の環境の方が、いま全世界を包み込みつつある深刻な環境汚染よりましだった、というようなことであってはどうにもなりません。
平和であってほしいのですが、その質というものを思わずには居られません。

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

「里一番の「オラオラ顔」 シメ Ⅱ」への5件のフィードバック

  1. 春分の日も過ぎ、日に日に春めいてきました。
    先生、いかがお過ごしでしょうか。
     イカルもシメも顔を初めて見ました。つくづく個性的な顔ですね。
    それにしても、野鳥の動画や写真をこのようにはっきり撮るということに、驚いています。
    野鳥はすぐに逃げるものだと、、。
    かなりの望遠だとこのように野鳥の食事風景も撮影できるのでしょうか。
    違った鳥の食事風景、本当に驚きました。
    ありがとうございます。
    人間関係の複雑さに疲弊した時は、特に癒されますね。
    「癒される」という言葉がネット上でどれほど飛び交っていることか。
    つい私も使っておりますが、病んでいる世界が浮き彫りになりますね。
     まだ、油断ならないコロナウィルス飛散です。
    先生、どうかご自愛くださいね。
     先日通勤途中に野鳥を見つけ、嬉しくなりスマホで夢中で撮影しました。
    姿ははっきりとは映りませんでしたが、鳴き声は録音できており、大変うれしかったのです。
     先生の投稿を楽しみにしております。(^^)ありがとうございます。

    1. パソコンからのコメント。
      キチンとやって来てくれています。
      ありがとうございます。

  2. 春ですね。
    先生、いかがお過ごしですか。
    野菜や植物を育てられていると以前仰っていましたが、これからの季節はぐんぐん育ちますね。

    パソコンからコメントしてみましたが、うまく送れなかったようでした。
    イカルは名前も姿も初めての鳥です。一度見たら忘れないユニークな鳥ですね。
    イカル、シメ、一緒の食事風景に驚きました。こんなにはっきりと撮影できるなんて、素晴らしいですね!
    野鳥に気持ちが安らぎます。
    ホッとします。ありがとうございます(^^)

    1. 春でーす!!
      こちら、山桜の満開を一日ほど過ぎました。
      落葉樹の新芽が、ミシミシという音が聞こえそうなほど、ものすごい勢いで天を指しつつあります。
      この頃の遠山の色付きは、モスグリーンを微妙に重ねたようで、それが霞にかすみがちで、たまらないです。
      一年に一回のことですから、繰り返し繰り返し眺めています。
      野菜を育てています。エンドウやジャガイモの成長ぶりも見事です。

      北国は、もっと鮮やかに春が来るのでしょうね。
      お元気でお過ごしください。

      1. はい!パソコンからも送ることが出来て安心しました。コメントありがとうございます。
        新芽がミシミシいうごとく成長し、遠山のモスグリーンが日々美しい、、春は何度迎えても嬉しいですね!
        こちら、まだ山には雪があり、ゴールデンウィークの頃にはすっかり解けて緑が楽しみな季節を迎えます。
        花々が一斉に咲き始め、ようやく白い世界から鮮やかな彩りの世界へと嬉しさ満開の季節を迎えつつあります。
        心なしか、すれちがう人の顔もマスクの下で微笑んでるように見えます。

        先生はジャガイモやエンドウを育ててらっしゃるのですね。 
        成長が楽しみですね。
        私は昨年植えたささぎ豆から種を採りましたので、またトライしようと思います。(^^)
        先生の投稿を楽しみにしております。
        ありがとうございます♪

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