ハチを食うタカ 「ハチクマ」

白樺峠のタカ見の広場

タカの仲間に「ハチクマ」という種類があるというのは知っていましたが、「妙な名前だな」というだけで長い間が過ぎていました。
数年前、野鳥を撮る楽しみを覚えてから「タカの渡り」と呼ばれるものがあるのを知り、それから2年ほどして「渡り」が観られることで有名な、信州の「白樺峠」を訪ねることができました。松本市から「梓川」をさかのぼって方向としては上高地にほど近く、白樺の美しい峠の近くに「タカ見の広場」はしつらえられていました。

秋晴れに恵まれ、生涯忘れられない光景に出会いました。
霧が上がると、大小の尾根が入り組んで低まってゆく向こうに安曇野が霞んでおり、まほろばのような空間をタカが渡るのです。
上昇気流に乗って旋回しながら大きく高度を上げるのを「巻く」といい、そこから水平飛行に移って南に向かうのを「流れる」というのだと教わりました。3羽、5羽。時にはもっと多くのタカが巻き、流れてゆくありさまは能の舞台のように静かで美しく、大気が重そうに見えました。太陽を背にしたシルエットが頭上で巻くことがあって、目がくらみました。 “ハチを食うタカ 「ハチクマ」” の続きを読む