神戸連続児童殺傷事件 Ⅺ-Ⅱ 少年犯罪の俯瞰[戦前編]

 同じカテゴリーのⅪ-Ⅰ少年犯罪の俯瞰[戦後編]で、経済成長率と関連付けて、「少年犯罪は社会の動きが激しい時に増加する」とした。戦後の少年犯罪は3つの波を経たが、「バブル景気」の頃に迎えた「第3の波」は、犯罪検挙数からいうと戦後最大であったものの「学校型非行」と特徴づけられたように、内容的には「万引き」と「放置自転車の乗り逃げ」が80%近くを占めていたものであり、それからというもの「バブル崩壊」後の「失われた20年」という社会の沈滞をなぞるようにして、少年犯罪は減少の一途をたどっている。けれども、戦後どの時期においても、時々の非行群の特徴とされたものからは突出した異質の犯罪が散発していることについても要約した。

1 戦前の社会の特徴

 先ずは、戦前の経済活動というものはどのようであったかをいくらかでも知ろうとした。太平洋戦争の開戦時に、日本のGNPは米国の10分の1ほどであったということはおぼろげに承知していたが、大日本帝国の経済成長率というものはどのように推移していたのかを気にしたことはなかった。 “神戸連続児童殺傷事件 Ⅺ-Ⅱ 少年犯罪の俯瞰[戦前編]” の続きを読む