何十年か前のこと、私は「知的障害」を有する少年たちが集団で生活している施設に関与したことがあります。彼らの表出には、民謡のように、あるいは和太鼓のリズムのように、心に響くものがあるように思うのです。いつまでたっても新鮮です。
新しく入って
考えが甘いんです
だから
うらぎられるんです
こわいから牙をむきます
けれど
ほんとうはやさしくしたい
花や鳥はあんしんです
ピラニアだって
あつかいようによっては噛みません
だから
はじめて来たところでも目につきます
小鳥の研究をして
心のなかにまき止めておくのです
けれど
月日がたてばそれは処分されます
一月のデータは十二月に処分されます
データは正確に入れておかなければなりません
ぎく!
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。