格子ばんてん 粋な若衆  「コゲラ」

日本に棲む「キツツキ(ケラ)」には、コゲラ、アオゲラ、アカゲラ、ヤマゲラ、クマゲラ・・・などがありますが、その中でも「コゲラ」はいちばん小型で、スズメほどの大きさの小鳥です。挨拶してもらいます。

はやく見ときな 行っちゃうよ

小さいだけに機敏で、木の幹をクルリと廻ったかとおもうとピョンと次の枝に移る様子は、孔子柄のハンテンをまとった江戸の火消しの若者が、ハシゴ乗りの芸をしているようにに見えます。
腹と背中をそれぞれ見てみましょう。

速いドラミング

キツツキたちは、木の空洞のような部分を叩いて叩いてコミュニケーションを取り合いますが、たとえばアオゲラのドラミングは「ココココ・・・」と分けて聞き取れますが、コゲラのドラミングは「コーッ」と短くつながって聞こえます。ある報告によると、1秒間に25回の回数なのだそうです。
写真でも、高速で木をつついているときは、頭部だけがクッキリと映っていないことがあるような気がしますが、シャッターはさらに高速で作動するものですから、これは私のような未熟者のカン違いでありましょう。
連続して木を叩くときには、木くずを避けるために目を閉じる回数が増すらしいことと、同じ目的でクチバシの周囲を長めに毛羽立てているのが分かることがあります。

 小柄な割にはガッシリした脚と太い尾で身体を支えて、ハンマーのように木を彫り続けるわけですが、その衝撃は大変なものと思われ、これがヒトであったら、たちまち脳味噌が片寄ってしまうといったふうでありましょう。
それをかわすために、クチバシの根元にクッション状の筋肉を発達させており、さらには、通常の小鳥たちの数倍にも長く進化したで、頭蓋をくるみ込むようにして守るという工夫ができあがっています。

他の小鳥群のしんがりをつとめる

林の中を歩いていて、エナガの群れと出会うと、それに続いてシジュウカラたちが、そしてしんがりに2〜3羽のコゲラが混じってくることが多いようです。
超小型のエナガたちが、まず木々にとりついたアブラムシなどを食べ、ついで小型の虫たちをシジュウカラが食べ、しんがりをつとめるコゲラたちが木の川の下に潜む獲物をつつきだすという分業があるはずです。
たがいに競わない方が有利ではないかと思われますが、私たちには聞こえない、小さな虫たちの悲鳴のようなものが、あたりにパニックを引き起こして無防備になってしまう状況を作り出しているのかも知れません。
あるいは、エナガたちが虫の多い繁みを探知する能力を備えており、そのあとに付いて行っているのでしょうか。

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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