いま騒がれている昆虫 「チュウゴクアミガサハゴロモ」


庭のアケビに

 この年の初夏も7月2日のこと、植えたばかりの三つ葉アケビに初めての実が付いているのを見付けました。わずかに紫色を帯びた灰色の団子が一個だけ頑張っていて、なんとも微笑ましいものでした。

 と、実に続いている葉や蔓のあちこちに見慣れぬ茶色のものがゾロゾロと・・・鉄錆色!・・・ピンときました。 “いま騒がれている昆虫 「チュウゴクアミガサハゴロモ」” の続きを読む

転ばぬ先の杖 ステッキを作る


~朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足で歩くものはなんじゃ?~

 私もヒトのうちに属していますから、いつの頃からかしゃがんだ姿勢から立ち上がるのがしんどくなり、やがて何でもなかったものに躓くようになり、このところは普通に歩くのが不安定になってきました。

先ずはステッキを用意しておこうと

 子犬と連れだって近くの公園に行くには、先ずはシンプルな棒状の杖が頼りになるだろうとネットで当たってみると・・・あるはあるは・・・ハイキングステッキとかトレッキングポールとか呼ばれている商品が、それぞれにうたい文句も華やかに、ずらりと並んでいます。

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「方丈記」の不思議


小品でありながら

 「方丈記」は全編で400字詰原稿用紙25枚ばかりの小品でありながら、私にとっては生涯で読んだ本の中で一二を争うほどに印象深いものになっています。
 作者の「鴨長明」は琵琶や琴の名手でもあったせいか、諸行無常を結晶させたような文章が深いリズムを伴っており、読み進んでいるうちに私自身の声が自然に引き出されて音読に移っている・・・といった風です。

天災人災のルポ 

 方丈記は「災害の文学」と呼ばれることがあるそうです。
 鴨長明は何事も探求して極めようとする徹底性、冷徹な観察力、結構な行動力を備えた人でした。
 そんな人が21歳の若さで相続争いに敗れてから、30年間も、平安末期の末法感漂う洛中洛外を転々としたのですから、凄い物を見聞することになります。
 「安元の大火」「治承の竜巻」「治承の遷都」「養和の大飢饉」「養和の大地震」・・・群がり起こった天災人災の実見禄は、実際の体験から何十年も温められてから表わされたものであるだけに、簡潔でありながら叙事詩を読むような緊迫感があり、読んでいる方の緊張も次第に高まって、総毛立つような場面さえいくつかあります。

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この光景 Forever   春編


に続いて、「多摩モノレール」「昭和記念公園のサイクリングロード」「みんなの原っぱ」「子供の森」などのの光景を挙げたいと思います。

モスグリーンに霞む春  「多摩モノレール」
樹々の芽が一斉に吹き出るころ・・・山桜がそこかしこで咲き始めるころ、森や山は暖かいモスグリーンに霞んで見えるものです。そうした中をオモチャのように見える電車がゆっくり走っています。

 この動画は日野市の遊歩道の一角からほぼ西を望んだもので、近くには「都立多摩動物公園」が、遠くには奥多摩山系の山々が写っています。山々は「高尾」「陣馬」「雲取」などのはずであり、さらにカメラを少し西に振れば「富士」が視界に入ってくるはずなのですが、いずれも春霞のためにもやっていて判然としません。ただ静かで平和です。
 「多摩モノレール」は東京都の多摩地域を南北に結ぶ交通機関として2000年に整備されたものですが、その利便性が高いことから、最近、北への延伸計画が実行の段階に移ったということです。

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可愛らしい 「アオバハゴロモ」の幼虫

 

 6月中旬の良く晴れた日、何時ものように子犬と連れ立って近くの公園に行きました。
 木陰に入って真夏のような日差しを避けていると、ふと、眼の前の柵の鉄パイプに何やら小さなコンペイトウのようなものが付いているのに気付きました。3つ4つあります。何だろうと訝しんでいると、その1つがチコチコチコと動き始めたのです。
 私のカメラは望遠仕様なので近くのものを接写するのは苦手なのですが、精一杯にクローズアップした動画がこれです。

 チコチコ歩いて行って1匹のアブラムシのようなものと出会い、一旦離れて何を思ったか、後ずさりして挨拶。その様子がなんとも可愛らしい!

 腕時計と比べてみると分かるとおり、綿菓子のかけらのように見える全体は大層小さいのですが、精々アップしてみると、お相撲さんのように結構に踏ん張っているのが分かります。それがまた可愛い。

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「菩提樹」と「雪山讃歌」

 

 私はマニアックな音楽の愛好家ではありません。
 一人で工作や草取りなどをしている時などに、ふと、何やらメロディーを口ずさんでいるのに気付くことがあったり、美空ひばりはやっぱり上手いなぁ、と思ったりする・・・といった程度の音楽好きです。
 そんな私にも、長い間を呑気に付き合っていた歌が、ひよっとした拍子に、実は深刻な内容のものであったのだと分かって、独りで思い入ってしまうことが幾度かありました。とりあえず「菩提樹」と「雪山讃歌」がそうした例です。

菩提樹

    菩提樹   近藤朔風 訳詞

   〽泉に添いて 茂る菩提樹
    慕いゆきては うまし夢見つ
    幹には彫りぬ ゆかし言葉
    うれし悲しに といしそのかげ

    今日も過(よぎ)りぬ 暗き小夜中
    まやみに立ちて まなこ閉ずれば
    枝はそよぎて 語るごとし
    来よいとし友 此処に幸あり

 「菩提樹」を教わったのは、おそらく中学3年の時でした。
 教科書には2番までしか載っていませんでしたが、歌詞が難しくて半分も解らなかったものの、メロディーはすんなり入ってきたので、家に帰ってからも兄とよく合唱したものです。
 唄い出しに〽泉に添いて~とあるのを、私は勝手に〽泉に沿いて~と受け取ってしまったので、頭の中に浮かんで来るのは、大きな泉の岸に沿って何本もの樹が茂っているという広々とした明るい光景でした。音楽の先生が、菩提樹はヨーロッパでは街路樹としてよく使われる、と話してくれたことも先入観として影響したと思われます。

 つまり、少年のころの私にとっては、シューベルト作曲の「菩提樹」という歌は美しく、広く、穏やかなものでした。

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蜘蛛の子を散らすように


一度、見てみたかった

 「蜘蛛の子を散らすように」・・・何かの目的で集まっていた人たちが、いきなり慌てふためいて逃げ散るありさまを例えていうことがあります。ところが私は、クモの子が逃げる様子はどんな風かを見たことがありません。

出会えた 蜘蛛の赤ちゃんたち

 もうすぐ梅雨入りかという頃のある日、子犬と一緒に近くの公園に行くと、その日も、ちょっとした広がりは子犬と私の貸し切りでした。この頃の子供たちはあまり外に出ないようです。
 広場の奥まったところに一本の常緑樹があって風に吹かれていましたが、その葉の一部の揺れ方が周囲とは違っているのが目に留まり、目を凝らすと、つぶつぶした小さなものが黒い団子状に集まって宙にうごめいています。
クモの赤ちゃんたち! 卵嚢からこぼれ出たばかり!

 黒い団子は、親が作ったものらしい網に絡まっていましたが、よく見ると、その網が逆光に透き通って見えるあたりに、赤ちゃんの一部はすでに最初の脱皮を終えたらしく、透明な抜け殻がたくさんこびり付いています。卵嚢から出たばかりとは言え、そのくらいの時間は経っているようでした。

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つれづれフーテン老人のトランプ劇場


トランプ砲が吼える度に世界中の株が乱高下している。そのタイミングと大きさを予測できるトランプ当人とその取り巻きは、濡れ手に粟どころか札束に溺れるほどの大儲けを繰り返しているのではなかろうか。だから何度でも大砲をぶっ放す。 

・・・ど素人のゲスの勘繰りであればいいが・・・。

       目次
Ⅰ 結論
Ⅱ うらやましいアメリカの舞台
Ⅲ せっかくの恵みを活かし損ねている
Ⅳ アメリカのさまざまな歪み
Ⅴ 驚くべき富の偏在
Ⅵ それでもアメリカは膨張を続ける
Ⅶ アメリカは何処へ行く
Ⅷ 私たちは何をしているか
Ⅸ 私たちはどうすればいいか
Ⅹ そして結論の結論

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カラスザンショウとメジロ


カラスザンショウ(烏山椒)

 1月下旬、冬も真っ盛りの空が群青の蓋のように硬く見える日のことです。
子犬と一緒に落ち葉を踏みながら山道を行くと、トンネル状に笹竹が迫っていた向こうは明るく開けており、その少し手前に、沢山の小さな実を枝先に残している落葉樹がありました。

 そこにメジロの群れがやって来ています。
 大小の団子状に固まっている実は、カラカラに乾いて口を開けている小さな灰色の果皮が集まっているもので、その小さな灰色の粒の中からさらに小さな黑い粒が顔をのぞかせているように見えます。小枝には鋭いトゲがあるのも映っています。

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「赤とんぼ」の不思議


二つの「赤とんぼ」

「赤とんぼ」というと、〽ゆうや〜けこやけ〜の・・・という歌い出しの曲を思い浮かべる人が多いと思います。
 三木露風の詩に山田耕作が曲を付けたもので、〽十五で姐やは嫁にゆき お里のたよりも絶えはてた・・・などとあって「五木の子守唄」に通ずるような哀れさが醸されるのですが、最後に、〽夕やけ小やけの赤とんぼ とまっているよ竿の先・・・と、静止している赤トンボに想いを凝集させて、トンボの美しさを際立たせています。

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