腹が白っぽく見えるというわけで「シロハラ」。地方によっては「コノハガエシ」とも呼ばれます。下に潜んでいる昆虫や木の実を探すために、木の葉をひっくり返すしぐさを繰り返すからです。両方とも、なるほど分かりは良いのですが、すこし素っ気ない名前のつけ方で申し訳ないような気がします。
ツグミの仲間 徹底して地味
シロハラは「ツグミ」の仲間で、極東ロシヤ南部、中國東北部、朝鮮などで繁殖し、冬を越すために日本に渡ってきます。ツグミよりもわずかに小型で細く見え、ツグミのようなアサリ貝を思わせる繊細な斑紋もなく、幾度かホッピングしては背を一杯に伸ばしてあたりを見回すといった独特のポーズもなく、ほとんどくすんだ灰色だけという徹底した地味ぶりです。下に、シロハラとツグミのショットを並べてみましょう。
ヒト見知りが強い
加えてヒトに対する警戒心が強いようで、密な林の暗っぽい下植えで、1羽だけでカサコソしていることが多いので、あまりお目にかかることがありません。下の写真の頭のいっそう黒いのがおそらくオス、頭が白っぽくて喉に褐色の斑点が見える方がおそらくメスです。
トリにもさまざまな性格が
野鳥にもさまざまな性格があって、面白いものです。たとえば人なつこさに限っても、スズメやカラスやウグイスは、私たちの近くに生活していながら決して気をゆるさず、おいそれとは近づいて来ません。カラスに至っては、ちょっとからかうようなことをすると、私たちを敵のように見なして攻撃的にすらなることがあります。
一方、ジョウビタキやムクドリは易々と私たちに近づいてきます。ことにジョウビタキは渡り鳥でありながら人なつこく、早春に菜園にクワを入れたりしていると「はやく美味しい虫をほじくり出してよ」とでも言いたげに、すぐ近くに寄って来て首をかしげたりするものです。ムクドリも、エンドウの蔓を片付けたりしていると、その下から出てくる虫などをあてにして、3羽4羽と集まって来ることがあります。普段は「ギャーギャー」と可愛げがあるとはいえませんが、こういう時には横目でうかがうような仕草にとても愛嬌があります。
シロハラ、ジョウビタキ、ムクドリを並べてみました。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。