金・黒・羽白
「キンクロハジロ」は冬によく見られるカモの仲間です。はじめてキンクロハジロと名前を教えられたときは「え、なにそれ」と聞き直してみたいほどに奇妙な感じを受けます。けれど、その由来はなんということはなく、金色の目、黒い体、白の目立つ羽、ということから「金・黒・羽白(きんくろはじろ)」なのです。もう忘れようもありません。たしかに、翼を広げると白が目立ちます。オスに登場してもらいます。
そして、ただのカモではありません。水の中に潜って採餌します。普通は2m、15sec前後ですが、10mの深さに潜水できるという観察があるようです。カワウのように魚を捕まえるほどのスピードはありませんが、水底に潜むシジミなどの二枚貝は大好物のようで、殻ごとバリバリと食べてしまうというカモばなれしたところがあります。頑丈な嘴をしてますね。次はメスです。
潜水の達人「カワウ」の貫禄
「アユ漁」でおなじみのように、カワウは逃げまどう魚をキャッチできるわけですから、水中運動能力は電光石火というべきで、深さ平均7m(最大35m)、40secほども潜り続け、その大食ぶりは全国の河川漁業者の肝を寒からしめています。
水陸両用どころか、水・陸・空を活動の場に取り込んでいますから、さすがに空専門の鳥のようにとはゆかず、飛び立つときには助走を要し、飛び方もせわしなく翼をばたつかせて直線状に突き進むというふうで、サギやツルなどの優雅さというものはありません。
キンクロハジロもけっこうな凄味
キンクロハジロも水中と陸と空とをものにしているわけですから、黄金の目と黒い顔との組み合わせのせいもあってか、けっこうに凄味が利いて見えることがあります。冠羽が効果を上げています。
水に潜れるという能力に対して税を支払うように、やはりすんなりと舞い上がるというわけにはゆかず、他のカモたちに比べると長めの助走を必要としています。自然は抜け目なくできております。
腹の一部が白く浮き上がっている方がオス
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。