桜の花の満開の頃 「ジョウビタキ」と「カイツブリ」

春爛漫

この年の3月25日。空も大気も輝くような好天に恵まれ、「昭和記念公園」を訪れると、ウイークデイにもかかわらず、貸自転車の8割ほどが借り出されていました。
この公園は広大です。それくらいの人を容れるぐらいはこのとおり。人影を全く入れずに風景を撮ることがいくらでもできました。澄んだ大気の中では、さしもの「新型コロナウィルス」も、万に一つ敷地の中に入り込んだにしても、ヒトからヒトへの空気感染を果たす前に紫外線で消滅してしまうに違いないと思われました。

日本庭園のカイツブリ

昭和記念公園には「日本庭園」という一画がしつらえられています。
松も橋も建物も小舟も・・・湧き水も、手入れが行き届きすぎていて、池には魚などは棲んでいないだろうと思われたのですが、御覧の通りです。石の上に上がり込んで日向ぼっこをしている「カメ」と「カイツブリ」のおそらく夫婦。平和です。カメはゆっくりと身体を動かしており、カイツブリはせわしなく羽繕いをしておりました。ウグイスが鳴いていました。

ジョウビタキとのお見合い

日本庭園を離れようとすると、低く刈り整えられた生垣のあたりで、「ツ・ツ・ツ」という細い鳴き声がして小さな影が動きました。
ウバメガシの枝に止まって、こちらを眺めている「ジョウビタキ」のメスです。つぶらな目を据えて動かず、私が彼女を中心に弧を描くように、横から前に、さらに斜め後ろに、ゆっくり回り込んでも、首だけを回して追うだけです。
思い付いてカメラを置き、キーホルダーにつけてある「バードコール」というものを取り出して、両手でこすり合わせて見ました。「チュル・チュル」という小さな音色に対して、ジョウビタキは興味を示したようで首を傾けました。
その様子を動画に収めようとしましたが、バードコールを鳴らすためには両手が必要なので、カメラを芝の上に直置きしなければならず、それをなかなか安定してセッティングできずに手間取りました。

途中で幾度か目をあげて確かめましたが、ジョウビタキは同じ枝に止まったまま、辛抱強く待っていてくれました。
けれど、ようやくカメラを自立させることができて目をあげると、彼女は姿を消してしまっていました。
たっぷり15分間を超えるお見合いでした。

これまでも、警戒心が低いとは言えない野鳥の、ヒバリ、キセキレイ、シロハラなどと同じようなお見合いの場を持ったことがあります。不思議なことです。
けれど考えてみれば、彼らが興味を示したのは、私ではなく、私が向けているカメラに対してなのです。もっと正確に言うと、私のカメラのレンズであるわけです。あんなに大きな目玉がじっと向けられているのでは、気候やら腹具合やら距離やらの条件によるのでしょうが、正体を確かめたくもなるのでしょう。
今日のジョウビタキも私も、春の陽気でトロトロになっていたわけではありますまい。残念なことですが・・・。
野鳥に、比較的近くでレンズを向けたことのある人には、同じ経験が珍しくないはずです。こんど訊ねてみようと思います。

ロウボウ

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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