カモ類では最もおなじみ
「アヒル」の英語はダック。
ダックと聞いて、「ドナルドダック」を思い出す人はディズニーファン。「ペキンダック」を思い浮かべる人はグルメマニア。とっさに「マガモ」が頭に浮かんだとしたら野鳥ファンというところでしょうか。
「マガモ」は漢字で「真鴨」。
カモ類の代表種で、ユーラシア大陸北部と北アメリカ大陸に広く棲息し、日本には冬越しのために渡ってきます。日本で見られるカモ類の4分の1ほどはマガモが占めるとされています。
「アオクビ」とも呼ばれることがあるように、金属光沢のある緑色の首が特徴で、よほどのことがない限り見分けは容易です。緑色の首の付け根に白いリボンを巻いているのも目立ちます。
メスはぐんと地味なのですが、背中の大き目の矢絣模様が美しく見えることがあります。
カモ猟の筆頭
他のカモよりも肉の量が多くて美味しいということから、昔からさかんに狩りの対象とされました。「カモがネギ背負って来る」と使われるほどに、ウマイ話に例えられるようになったのです。
今でも、各種の網猟や銃猟が続けられていて、オトリを水に浮かべておいて寄ってきたカモを散弾銃や空気銃で撃つという「鳥屋撃ち(とやうち)」では、デコイ(鳥の模型)として出回っているものの大半はマガモを模した作りになっています。
写真は、メスと思われるデコイです。
カモが仲間がゆっくり休んでいると思い込んで近寄ってゆくと、ズドンとかブスンとかの音とともに、あの世に送られてしまうのです。
マガモを飼育してアヒルが作られた
マガモは家禽として飼いならされ、東洋でも西洋でも「アヒル」が作り出されました。そういうことから、野生のマガモとアヒルとの間には交雑の程度によって様々な段階があり、それらを一括して「アイガモ」と呼んでいます。
マガモ ⇄ アイガモ ⇄ アヒル
アイガモは肉に脂身が多くてあまり美味しくない上に、繁殖力がマガモより強いのだそうです。これが逃げ出して野生化しました。
ヒトは、「遺伝子が汚されて真正のマガモが駆逐されてしまう」とし、アイガモを駆除することにしました。
ヒトのすることは、まあこんなものなのでしょう。欲のために生命をいじくっておいて、その結果にあわてるとは・・・。
こんなことの繰り返しが、おそらく、ヒトという種の限界を映しています。今も凄いことをしつつあります。自分たちを食いつぶすであろうAIという怪獣に餌を与えるようなものなのですが、時々刻々とAIに情報を投げ与えつつあります。
マガモたち 今を舞え!
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。