数年前、日光へ短い家族旅行をしたことがあります。高名な滝や、きんきらに積み上げた建物群にはあまり感心しなかったけれど、杉並木を通り抜けながらのタクシーの運転手さんの話が印象的でした。その話の主人公はカラスです。
お呼びか 食事のジャマはまずいぜ 分かってるよな
日光の話に戻ります。観光客が買い与える餌や残し物でうるおったためらしく、まずハトが増え、そのハトのヒナやタマゴを満足に食べることができたためもあって、やがて日光の周辺にカラスが目立って増えたのだそうです。
土産物店が狙われ、きらきら光る売り物が持っていかれるようになり、ついに観光客の帽子やペンダント、とうとうイヤリングまでを狙って急降下するものが出はじめたのだそうです。カラスは光った物がなにかと好きで、そうしたものを巣に溜めこむ習性があるのです。互いに自慢しあうことすら、あるいはあるかもしれません。
観光協会などが相談のうえ、数百羽を間引いてくれるように地元の猟友会に申し入れると、「お安い御用!」という返事。ところが、いつもは平気でヒトに近づくカラスたちは、飛道具を見るとはるか遠くに離れてしまい、それでいて、クワやサオを担いでいる人の近くにはくろぐろと群れて遊びます。「散弾銃」となると、瞬時にそれと見て取って敬遠してしまうのでした。 “街と里山のとりしまり屋 「カラス」” の続きを読む
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。