何時までも、こうした光景が見られますように・・・。
思い当たるままに、身近に見られる光景を季節ごとに分けて並べています。
夏と秋に続いて、冬の景色として「ツグミたち」「エナガの群れ」「コサギの群」 を挙げてみました。
餌をあさるツグミの群れ
ツグミは、ユーラシア大陸の北東部のシベリアなどで子育てをし、秋も深まると南下して日本列島などで越冬する、存在感のある中型の鳥です。
海を渡って日本に到達し、背骨のように連なっている山々を越えるまでは大きな群れを組んでおり(旅の安全のために有利)、冬が深まるにつれて群れを解いてほとんど一羽ずつに分かれて過ごし、やがて北に向かう時期になると再び集合して行動するようになります。
群れて落ち葉の下の木の実を食べ合っている光景は初冬のもので、夢中になって旅の疲れを癒そうとしているように見えます。
残り柿を食べるツグミ
ツグミたちは、残り柿が一番甘くなるタイミングを心得ています。柿が熟れ切って落ちてしまう直前に、これからの単独生活を思っての別れの宴を開いているようです。
エナガの冬
エナガは、小さくモコモコしていて、飛ぶマシュマロといったふうです。寄り目がち、短いクチバシ、ずんぐりした胴、長い尾(柄杓の柄のように長いのでエナガ)などが合わさってなんとも言えない愛嬌を発散させていますが、ヒラリヒラリと枝を移ってゆく動作にも独特なリズムがあって、見る者をホッコリさせてくれます。
可愛いばかりではありません。種として今を生き抜いている強さをやはり備えています。別名をタクミドリ(匠鳥)と呼ばれることがあるように、クモの糸を使って苔を織り上げて花瓶のような形をした頑丈で精緻な巣を作りますし、外敵に襲われるなどして子育てが頓挫すると、そのペアは子育て中の他のペアをバックアップする習性があります。健気で逞しくもあるのです。
コサギ 春はもうすぐ
日本に棲息する白いサギはダイサギ、チュウサギ、コサギというように、可哀そうに、あまり詩的とは言えない名前が付けられています。
コサギはカラスの脚を長く伸ばしたほどのサイズですが、小ぶりをカバーするように、兄貴分たちとは違った習性を備えています。⓵じっと留まって待ち受けるというより、積極的に動いて獲物を探す。脚を震わせて隠れた魚や水棲昆虫を狩りだすようなこともする。②大きな群れで行動することがある。
ここに挙げた光景は、春はもうすぐという頃、おそらく、アユの稚魚の大群が海から川へと遡上を始めるのを狙っての宴会であるようです。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。