朝まだきの多摩川で
10月初旬の日の出は5時40分前後である。
その日も、私は朝まだきに家を出て5時少し前には多摩川中流の右岸に立っていた。頭の上には星々が見え、とりわけ「明けの明星」がまたたいており、それらを望遠レンズのターゲットに捉える練習をすることができた。時にはシャッターボタンを押したが、かすかな光を写真にするのに必要な2秒間ほども手持ちの望遠レンズを固定しておけるはずはなく、星はどれも無惨に流れて映った。けれど画像モニターの上では、青い星、赤い星の色合いはむしろ強調されていて、違いを楽しむことができた。
そうこうしていて東天を振り返ると、少しの間におどろくほどに輝きを増しており、あたりは白んで数匹のコウモリが乱舞をやめようとしている。サギとカワウが下流から上流に移動を始めるのは、5時20分ほどからである。 “戻ってきた失せ物 Ⅴ きわめつけ” の続きを読む
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。