渓流の若衆
日本の水辺によく見られるセキレイには、キセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイの3種があります。全体をちょっと見の印象がそれぞれ、黄、黒、白であることからの上手な呼び方で、写真のように見分けは容易です。
どれも流麗な小鳥たちですが、キセキレイには「渓流の貴婦人」と呼ばれるにふさわしい落ち着いた雰囲気があり、セグロセキレイには「渓流の鞍馬天狗」と呼ばれても良いような押し出しがあります。
三番手のハクセキレイは他の2種よりもわずかに小さく、白と黒の羽色の振り分けにも個体によるバリエーションがかなりあるようです。水辺をけっこうに離れた場所でも尾を上下に振りながら盛んに活動しているので、私はハクセキレイを「渓流の若衆」と呼んでいます。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。