「アユ」の遡上を巡る宴 Ⅳ 「カワウ」編

カワウ」は、一見では黒っぽいだけで素っ気ない鳥に見えます。けれど、集団行動が良くシンクロナイズされており、飛翔するときは流れるようにきれいな列を作り、川で漁をするときも、誰が掛け声をかけているのだろうと思われるほどに、そろって展開したり集合したりして、気持ちが良いものです。

上流に向かう

 それでいて、たった1羽で岩の上にじっとたたずんで居たり、大あくびをしていたり、仲間の編隊に置いていかれた個体が懸命なスピードで後を追いかける光景が観られたりして、少しつきあっていると、可愛らしいところが見えてきます。
 空を飛ぶことができていながら、一方で水の中を魚よりも素早く泳げるのですから、相当な能力を備えているとしなければなりません。

カワウだけの勢ぞろい

 カワウが集合すると、ほとんど添え物のように、ダイサギやアオサギが岸近くにたたずむものです。カワウたちの狩りの激しさにパニックを起こした魚たちがめくらめっぽうに逃げまどうのを戴こうというつもりなのです。カワウたちだけのこうした群れはむしろ珍しいと思います。

羽根を乾かす

 暇ができると羽根を大きく広げて乾かす習性があります。長いあいだじっとしていますから、日光で充電しているように見えます。大あくびをしているとしか見えない個体も居ます。

 カワウに真正面の顔を向けられると、なんというか、不思議な仮面と向き合ったような感じになります。大阪万博のシンボルとして岡本太郎氏が制作した「太陽の塔」と似たところがあると思いませんか。

投稿者: ロウボウ

長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。 身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。

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