ユーラシア大陸から冬の日本へ
「ホシハジロ」はヨーロッパからアジアまで広く棲息しており、日本では主にシベリアから渡ってくる冬のお客さんです。
今のところ日本全国で見慣れた中型のカモですが、世界的に見れば、年を追って数を減らしつつあるとの警告が出されています。近年ついに「絶滅危惧種」と評定されてしまいました。
狩猟、ボートやキャンプなどのレクリエーション、河川や湖の冨栄養化・・・などによる水辺環境の悪化が原因であるとされ、これまたヒトがもたらしている災禍のようです。また一つの種を絶滅に追いやっているとは・・・申し訳ないことです。
茶と黒と白 三つに色分け
オスは分かり易く色分けされています。
頭から頸が盛り上がるように茶色、胸が黒色、背中が白っぽい灰色。ついでに、目(虹彩部)がルビーのような赤色であることもオスの特徴の一つになっています。
メスは全体を地味に装っており、どういうわけかオスと違って、目が茶色です。背中も褐色ですが、模様がヤガスリのように浮き出して見えることがあって、これをたいそう美しいと感じる人がいるだろうと思います。
ホシハジロ=星羽白
ホシハジロを漢字で書くと「星羽白」。
オスの背中を「細かい虫食い模様」と説明する人がいます。なるほど、うまい表現です。
もっとロマンチックな人がずっと昔に居ました。背全体がカイコのマユのように盛り上がって、しかも輝いて見えることがあるのを捉えて「星をちりばめたようだ」としたのです。その全体が白っぽいことから「ホシハジロ」つまり星羽白なのです。オスの特徴が出ている写真をもう一度見てみましょう。
潜水が得意 そして海を越える
ここに水中から浮かび上がってきたばかりの写真があります。羽の色と額が特有に盛り上がったところからはオスと思われ、目の色が赤くないところからはメスと思われ・・・オスメス判然としません。どちらにしろ、全身から水滴をしたたらせて頑丈そうに見えます。潜水して餌を探すのが得意なのです。
潜水が得意だということは、水中での運動に適するような機能を身体が具えているということですから、そうした分だけ、空中での能力が殺がれることになりましょう。
ホシハジロが飛び立つときには助走を要します。これは同じように潜水して餌を探す鳥たち、たとえばカワウやキンクロハジロなどに共通して見られることです。
彼らはゆっくり羽ばたくというよりも、バタバタという感じで直線的に飛びます。
それでも海を渡るのです。疲れたら波の上に降りて休むことがあるのでしょうか。
星空を落とす?
最後に、小型の2羽の水鳥とのショットがあります。2羽はヒナではありません。カイツブリたちと交流している場面です。
私たちは、こういう平和を亡ぼしてしまおうとしているのです。
長い間たずさわってきた少年矯正の仕事を退官し、また、かなりの時が経ちました。夕焼けを眺めるたびに、あと何度見られるだろうと思うこの頃。
身近な生き物たちとヒトへの想いと観察を綴りたいと思います。